谷の楓掬い ー本気の片鱗ー


2017.05.14

9時半…毎週義務づけられている掃除が終わると同時に寮を出て採集へ向かいます。
少しずつ道も覚えてきて行くたびに到着時間が早まってる気がします。




今回も近くの谷へ向かいます。
前回行った時は既に楓の花が咲いていたものの「まだ本気出してない」状態でした。
あれから、GWをはさんで二週間経って今に至ります。


トラガ
Chelonomorpha japana Motschulsky, 1861

流石に二週間も空くと雰囲気がガラリと変わっていて、葉は完全に出てるし、各種の蝶やトンボも視界に入ってくるし、一部の花は既に散っていました。

楓掬い…さすがにちょっと遅すぎるのでは!?
もう全部散ってたら終わりだ…(汗)

と不安になっていましたが、




20170515111448819.jpg



まだギリギリ残ってました(汗)
しかしこんなでもちゃんとカミキリは採れてくれるのだろうか…?

先輩に聞いた話だと、本気を出した楓は一本で5種類のグラフィラ(正確には4+1種?)が採れるらしいのです…

Glaphyra(グラフィラ)
…ヒゲナガコバネカミキリの事で、一部は別の属に入るのでまた別の呼び方をされる。
この呼び方を割と最近知った(笑)

カミキリの和名呼びを避ける習慣は一体なんなのでしょうか(汗)
ヒゲナガコバネカミキリって言ってくれれば一発で分かるのに…

グラフィラはまだ言いたくなるのが分かる気がするけど…(笑)
その話は置いておいて、

現在の時刻は10時を回ったところ。
ヒゲナガコバネカミキリが一番採れる時間は昼間みたいなので、まだ少し早いかもしれない。

けど、既にたくさんの虫が飛び交ってるのが見えるのでとりあえず掬ってみることにしました。

前回同様8mの玉の柄を使いますが、前回少し裂けてしまったので


補強しました(アルミテープ巻いただけ)
雑…

これでも特に問題なく今日1日使用できました。


それでは花掬いスタートです!




ミヤマルリハナカミキリ
Kanekoa azumensis Matsushita et Tamanuki, 1942

この時間帯の最優占種は…ミヤマルリハナカミキリでした。
めちゃくちゃ採れるって聞いてたのでなんか納得してしまうのですが、普通はキバネニセハムシとかヒナルリハナとかなんじゃないのか…?
(この日は何故かヒナルリハナカミキリを一頭も見かけませんでした)

ちなみに、私はまともに楓の花救いやるのは今日が初めてです。




左: キバネニセハムシハナカミキリ
Lemula decipiens Bates, 1884

右: ホタルカミキリ
Dere thoracica White, 1855

ミヤマルリハナカミキリが圧倒的に多いですが、他のカミキリも。
キバネニセハムシハナカミキリはちょいちょい入ります。
ホタルカミキリはミヤマルリハナの次に多かった印象です。




左: キンケトラカミキリ
Clytus auripilis Bates, 1884

右: ヘリグロベニカミキリ
Purpuricenus spectabilis Motschulsky, 1857

キンケトラカミキリ…いつか見たいと思っていたカミキリだったのでとても嬉しかったです。
黄色いトラカミキリを採るのは初めてでした。格好いいですね…
他にもヒメクロトラカミキリがたくさん入ってきました。

ヘリグロベニカミキリは花の周囲を何頭も飛んでいました。


なんか花掬いに夢中になっちゃってるけど…違うだろ!?

あくまでヒゲナガコバネカミキリを採りたいのであって、それが採れ始める時間に花掬いできればいいじゃないか。
その他のカミキリだって昼でも採れるはずだし。

スウィーピングでタマムシ採るなら午前中がチャンスなんだから…そっちを優先しないでどうするんだよ(汗)


花掬いはこの辺にして、、、、、、、、












ミドリツヤナガタマムシ日本・極東亜種
Agrilus sibiricus fukushimensis Jendek, 1994

続行しよう。

花の周りを飛んでるヘリグロベニカミキリを掬った時に一緒に入って来ました。
カエデがホストの綺麗な初採集ナガタマムシです。
まさか花掬い中に採れるとは…



花を訪れているのはカミキリだけではありません。


左: ダイミョウヒラタコメツキ
Anostirus daimio (Lewis, 1894)

右: トラフシジミ
Rapala arata (Bremer, 1861)

ダイミョウヒラタコメツキも何頭か見かけました。
(ここで何頭かキープしておけば…)

トラフシジミ…以前やらかして標本作れなかったので今回はしっかりやりたい。
こちらも何頭か花を訪れていました。




左: イタヤハマキチョッキリ
Byctiscus venustus (Pascoe, 1875)

右: ファウストハマキチョッキリ
Byctiscus fausti Sharp, 1889

綺麗なチョッキリ二種も、それぞれ一頭ずつ採集できました。
これも採りたいと思っていたのでとても嬉しかったです。



花掬いに夢中になってたらもう昼前になってました(汗)
もともと寮の掃除があって日曜日は朝早く来れないのが勿体無いです…
(土曜日は天気悪かったので)

河川敷でやった時は昼前でもちゃんとナガタマムシ採れてるので頑張ればいけるはず…

あるゾウムシを狙ってサクラの葉を掬ってみたら、網の中に入っていたのは_____







あれ……?

今日の目標の一つ、ヒゲナガコバネカミキリの仲間が網の中に既に入ってました(笑)
多分、楓掬ったタイミングで入ってたけど気づかずにスルーしてたんだと思います(汗)
思ってたより小さくて一瞬分かりませんでした…

これがグラフィラか…格好いいですね。
この、小さくなってもちゃんとカミキリの形してるのがいいですね。
(タマムシは小さくなると一般人にはタマムシと分からないような形になってしまいますから…)


とりあえず最低目標は達成したので、後はナガタマムシ狙いのスウィーピングに全振りしてもOKでしょう!!(笑)





クヌギやコナラなどの葉もしっかり出てました。これなら絶対タマムシは採れる…というか既に楓で採れてるし(汗)
河川敷で言う所の4月中下旬って感じの葉っぱの出具合(?)でした。

周囲をスウィーピングしていくと、まず入ったのはタマムシではなく…




ハルゼミ
Terpnosia vacua (Olivier, 1790)

他のセミが夏に出るのに比べて早い時期に現れるという…ハルゼミ。
昔から図鑑で見て知ってたけど、今までほとんど鳴き声を聞いたことがなく本気で存在を疑っていたほどでした(汗)
この場所では真夏でもないのにたくさんのセミの鳴き声が聞こえてきて不思議な気分でした。

幸運な事に、全く鳴かないオスが低い木のスウィーピングで入ったので採集です。


この後、クヌギやコナラをひたすらスウィーピングしていきますが…採れない(汗)
伐採木を見に行っても、いない。
河川敷みたいにクヌギに普通にダンダラチビタマムシがいたりするわけでもない。

どうした!?
まだ河川敷の方が凄いように思えるぞ!?

ここの実力はこんなもんじゃないはず…
さすがにちょっと時間帯が悪すぎるか(汗)
(伐採木に来てない事に関してはさっぱり分からないんだけど…)

タマムシ以外の方はかなり充実していて、思わず採集するか迷ってしまう虫も多かったです。
でも、GWに調子乗りすぎて標本作りに追われる事になったので今日はちょっと控えめ(笑)

高所のクヌギを掬っていたら真横をカラスアゲハかミヤカラか分からないものが通っていき、足元をニワハンミョウかミヤマハンミョウか分からないものが飛び立っていく。
スウィーピングでは微妙に採集するか悩むようなオトシブミやゾウムシがたくさん入ってくる(汗)
(今回は採集するか迷うようなものは逃がす、と決めてやってました)

湿地にはメミズムシが何頭もいて、おそらく未採集と思われるヤンマが飛んでいくのも見た。
ウスバシロチョウとかもちょいちょい見かけて、なんだかいつかの東京採集を思い出すような虫の多さでした(汗)



時刻はちょうど12:00頃。
そろそろヒゲナガコバネカミキリの追加が得られそうなので一度楓の木に戻ります。





おっ2頭目!と喜んだ10分後…





網の中から次々と現れ…


こんな事になっていた。(汗)

網の中から出て来たヒゲナガコバネカミキリは15頭(汗)
まさに今の時間がピークだったようで、何度同じ場所を掬っても毎回2桁以上のヒゲナガコバネカミキリが入ってきました。

ヒゲナガコバネカミキリが増えた一方、それ以外のカミキリが全然入らなくなりました。
ミヤマルリハナも、各種トラカミキリも…
ダイミョウヒラタコメツキも…




シロトラカミキリ
Paraclytus excultus Bates, 1884

かろうじて入ったのはシロトラカミキリでした。
これはキンケトラ以上に嬉しかった…



この辺りでこの時間の花掬いは終了。
採集したカミキリを複数頭まとめてチャック袋に入れていたのですが、互いに殺しあってボロボロになってしまい…

ここで、ちゃんと調べて今までに採集したヒゲナガコバネカミキリがほぼ全てカエデヒゲナガコバネカミキリだと判明しました。
傷ついたカミキリをほぼ全てリリース。ダイミョウヒラタコメツキもリリース(その後追加なし)
あまりにもボロボロになりすぎて逃しても意味なさそうなキンケトラ一頭は持ち帰る。

今までこんな事は一度も無かったので結構ショックでした…
とりあえず今回はチャック袋を折って隔離したりしながらなんとか持って帰りました。

選別作業が終わり、その後はスウィーピングとか色々やってるうちに涼しくなってきて夕方スウィーピングの時間帯に入りました。









風通しとか立ってる位置とか日当たりとか…かなり条件良さそうなクヌギを見つけました。
(昼も掬ったけどダメでした)

正直この木が一番有望に見える…

諦めずに掬っていくと…








ツヤケシナガタマムシ
Agrilus nipponigena Obenberger, 1935


教えていただいた方ありがとうございましたm(_ _)m
結果、ツヤケシナガタマムシとなりました。
(離れた場所にカキみたいな雰囲気の木はあったけど…?)



やっと入った……
良かった。ちゃんと河川敷じゃない所でナガタマムシのスウィーピング採集できるようになったよ…



隣にあったオニグルミから来たのか、他にこんなものも。





ブロイニングカミキリ
Saperda ohbayashii Podany, 1963

見た目も名前もカッコいいカミキリが採れました。
どこでも見られるカミキリでは無いっぽい。ラッキーでした(汗)




ヤナギ。

ここの周辺のヤナギでは昼間にもスウィーピングを行なったのですが、




左: ヤナギハムシ
Chrysomela vigintipunctata (Scopoli, 1763)

右: カメノコテントウ
Aiolocaria hexaspilota (Hope, 1831)

カメノコテントウは昔から見たかった虫の一つだったので嬉しかったです。
おそらくヤナギハムシの幼虫を食べてるんでしょう…
(ヤナギハムシは幼虫が大半でした)



ヤナギではシンリョクナガ狙いで夕方スウィーピングもやってみます。








ヤナギチビタマムシ
Trachys minuta salicis (Lewis, 1892)

既採集種のヤナギチビタマムシが一頭だけ入りましたがシンリョクナガは得られず。
ここでなら採れると思うんだけど…







寮の仕事がある関係でそろそろ終わりにしなければなりません。
最後に楓の夕方花掬いをやってみました。





相変わらずカエデヒゲナガコバネカミキリが2桁…(笑)
若干予想はしてたのですが、夕方になると若干ヒゲナガコバネカミキリの勢いが落ちてヒメクロトラやキンケトラカミキリ、ミヤマルリハナカミキリなど朝に多くみられたカミキリが復活していました。

時間帯によって採れるカミキリが変わってるのは確かなようです…
カミキリも種類によって時間帯住み分け(?)的なものがあるんでしょうか。



という所で本日の採集は終了。
目標のグラフィラはとりあえず一種のみ(同定ミスなければ)。

どうやら、楓の花が本気を出していた時期を逃してしまったようですが…それでも十分すぎるくらい満足できました。
来年はキャンパスが移る関係で同じ場所には来れないと思いますが、向こうは向こうで凄そうなのでまた来年新たなヒゲナガコバネカミキリが採れたらいいなと思います。

過去に色々とあってカミキリにプラスイメージが持ちにくかったりするところもあるんですが、
個人的にヒゲナガコバネカミキリ超好きになりました。

これは、集めてみたいかも…
結構ほどよく種類あるみたいですしね(笑)



今日はタマムシの方も思ったほどでは無かったものの採れてくれたので安心しました。
(河川敷に頼らないと全く採れないんじゃないかと不安で…)

まだナガタマムシが掬える時期は、伐採木に来る時期は続くはずなのでまだまだ新たなタマムシを求めて積極的に採集行きたいです!!


【結果】 ※色付きは自己初採集

ミドリツヤナガタマムシ
Agrilus sibiricus fukushimensis Jendek, 1994
1ex.

ツヤケシナガタマムシ
Agrilus nipponigena Obenberger, 1935
1ex.


ヤナギチビタマムシ
Trachys minuta salicis (Lewis, 1892)
1ex.

ハラアカモリヒラタゴミムシ
Colpodes japonicus (Motschulsky, 1860)
1ex.

アトグロジュウジアトキリゴミムシ
Lebia idae Bates, 1873
1ex.


フタホシアトキリゴミムシ
Lebia bifenestrata Morawitz, 1862
1ex.

カエデヒゲナガコバネカミキリ
Glaphyra ishiharai (Ohbayashi, 1936)
12exs.

シロトラカミキリ
Paraclytus excultus Bates, 1884
1ex.

キンケトラカミキリ
Clytus auripilis Bates, 1884
3exs.

ホタルカミキリ
Dere thoracica White, 1855
2exs.

ミヤマルリハナカミキリ
Kanekoa azumensis Matsushita et Tamanuki, 1942
2exs.

ブロイニングカミキリ
Saperda ohbayashii Podany, 1963
1ex.

ゴマフカミキリ
Mesosa myops myops (Dalman, 1817)
1ex.

アトモンサビカミキリ
Pterolophia granulata (Motschulsky, 1866)
1ex.


ヘリグロベニカミキリ
Purpuricenus spectabilis Motschulsky, 1857
1ex.

ニワハンミョウ
Cicindela japana Motschulsky, 1857
1ex.

イタヤハマキチョッキリ
Byctiscus venustus (Pascoe, 1875)
1ex.

ファウストハマキチョッキリ
Byctiscus fausti Sharp, 1889
1ex.

クロシギゾウムシ
Curculio distinguendus (Roelofs, 1874)
1ex.

ヒラズネヒゲボソゾウムシ
Phyllobius (Phyllobius) intrusus Kono, 1948
1ex.

カメノコテントウ
Aiolocaria hexaspilota (Hope, 1831)
2ex.

ヤナギハムシ
Chrysomela vigintipunctata (Scopoli, 1763)
1ex.

トビサルハムシ
Trichochrysea japana japana (Motschulsky, 1857)
1ex.

セモンジンガサハムシ
Cassida versicolor (Boheman, 1855)
1ex.

アオバナガクチキ
Melandrya gloriosa Lewis, 1895
1ex.

ヨツボシヒラタシデムシ
Dendroxena sexcarinata (Motschulsky, 1860)
1ex.

未同定甲虫
1ex.

ハルゼミ
Terpnosia vacua (Olivier, 1790)
1ex.


トラフシジミ
Rapala arata (Bremer, 1861)
1ex.

トラガ
Chelonomorpha japana Motschulsky, 1861
1ex.







実は今回の採集からTG-4という、多くの虫屋さんに使われている(気がする)デジカメを使い始めました。
本当は祝ってもらうのもおかしい気がするのですが、合格祝いってことで親が買ってくれました。

実際に使ってみるとこれが難しくて…家でゆっくり撮った標本写真というか展足後写真を除けば現時点ではスマホ写真の方が遥かに綺麗に撮れる状態です(笑)

慣れるまで微妙な写真が続くかもしれません…(汗)
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コメント

非公開コメント

こんにちは。

盆地人と申します
いつぞやの高校生さんでしょうか。
華麗に復活されているようで大変嬉しく思います
未同定タマムシはダイミョウに非常によく似てる気がしました。

>>盆地人さん

お久しぶりです。
はい、以前は「高校生のガチ昆虫採集記!」ってブログをやってた元高校生です(汗)
なんやかんやあって大学に進学し、現在は長野暮らしになりました。
またよろしくお願いしますm(_ _)m

ナガタマは「ツヤケシナガではないか」と教えていただいたのですが、確かにダイミョウにも似てる気がしますね…また今度調べてみます(汗)