エゾエノキの精霊


事の発端は、テスト前最後の採集を終えた後の週末。
既にテスト後の採集や奈良帰省について考え始めていて、長野にいるうちに採りたい虫の候補として挙がった虫の1つが「トオヤマシラホシナガタマムシ」でした。
トオヤマシラホシナガタマムシはエノキによく似たエゾエノキにつき、シラホシナガタマムシによく似たタマムシです(汗)

そんなトオヤマシラホシのつく、「エゾエノキ」という木を近頃意識して探すようになっていました。
実際は多産地が近くにあるので、電車でそこまで向かうプランを立てていたのですが…

ネットで調べていたら…どうも地元で採集できる可能性が浮上しました。


それならばと、近場でエゾエノキがありそうな場所を片っ端から調べることに。
Google Mapsでみつけた、とある場所にエゾエノキらしき大木が生えているのを運良く見つけられたので、それを確かめに行くことにしたのです。





2017.07.24



平日ですが時間に余裕があったので、空きコマを利用して行きました(汗)
必死に自転車こいで、到着。

どれがGoogle Mapsで見つけた木だろう?と歩き回っていると、一本大きなケヤキが。
しかし、葉っぱの形がすごいエゾエノキっぽい…

写真と照らし合わせて…



「やらかしたな、これ」



完全に無駄足になってしまった(汗)

まあそんな簡単に見つかるものでもないだろうし…仕方ない。




と、思って数分後…今度は奇跡的に本物のエゾエノキを見つけました。
あまり太くは無いけど、2本あった。
しかも、明らかにナガタマムシの脱出孔が複数空いていて……




確信した。

「やっぱり、この辺りにもいるんだ…!!」

2m網しか無かったので少ししかスウィーピングはできず、やはり採れませんでした。
こうなった以上、地元で決着をつけるしかない………





2017.07.28

テスト直前ですが…

色々考えてたら採集に行きたくて仕方がなくなってしまいました。
受験生時代から何度このパターンにハマって来たことか…

がっつり採集に出るわけにも行かないので、授業後の夕方からまたエゾエノキのポイントを見にいくことにしたのです…


もしかしたら近くの他の場所にもエゾエノキが生えているのではないか_____

そう思ったので、以前見たポイントも確認した上で、新たなエゾエノキがありそうな別の場所にも向かってみました。




これが見事に思った通りで、新たなエゾエノキを2本確認できました。
こちらのエゾエノキはどちらもかなり大きめの木で、樹皮には無数の脱出孔が空いていました。

ここは…絶対にいる。


テストが終わったら、必ずまた来るから……!!!

そう誓って、その場を後にしました。
(この日は本当に思いつきで行ったため網すら持っておらず、スウィーピングは当然できなかった…)





2017.08.03

「夏休みだああああああああ!!!!!!!」

部活に翻弄されることも、受験勉強に苦しめられることもない。
昆虫採集を始めてから、こんな夏は初めて。

今年は、今までとは比べ物にならないくらい自由な夏になる…

色々と計画は立ててるけど、まずは決着をつけに行かなければ。

運のいいことにこの日は二限で終わりで午後休。
昼飯を食った後すぐ、約束の地へ向かうのでした…




今回は、2回目の探索で見つけたより有望なポイントに真っ先に向かうことにしました。
曇りの予報でしたが、運良く日が差し込んでいます。





トオヤマシラホシは枯れていないエゾエノキの幹に産卵に訪れます。
なのでまずは樹皮をじっくりと見ていくのですが…いない(汗)

気温的にはいてもおかしくなさそうなのですが…見つかるのは寄生蜂の類ばかりでした。
そもそも多産地ではないと思うので…まあこんなものなのか?




樹皮がダメならスウィーピングをやるのみ。
日当たりのいい枝は結構多いので、発生していれば間違いなく入る。




__30分位たったのか。



今までにないくらい、丁寧に掬ったけど入らず。
もう一本のエゾエノキも掬ったけど入らず。


やっぱり、ダメなのか…


既にこのポイントでの発生は終わってしまったのか……?




不安に駆られる頭の中をよぎったのは、コクロナガタマムシの記憶だった(汗)

掬い方に問題があって…入ってない可能性はある。
ていうかその可能性の方が高い!!
こんなに良さげな木で、採れない訳がない…諦めんなお前!!



少し力強く、同じ木をスウィーピングをしてみました。
網の底にカメムシでもハムシでもない何かの姿が見えた____





「これだあああああああ!!!!!!!!」

前回のロニノ事件の影響で、かなりしっかり掴んでいないと写真を撮る気になれなかった…(笑)
シラホシナガタマムシと比べると体はより太めで重量感があり、圧倒的に光沢が強くて美しい。

本当に、地元にもいたんだ…!!







トオヤマシラホシナガタマムシ
Agrilus ventricosus Fairmaire, 1888


日本産最美麗ナガタマムシとか言われてたような…
実際、今まで私が採集したナガタマムシの中では確実にNO.1の美しさです。
「精霊」って呼ぶのにふさわしい風格を持った、本当に素敵なタマムシだと思う。

正直未だに採集できた事が信じられない…(笑)



この後、追加を狙ってさらに30分ほどスウィーピングを続けましたが同じ枝先を交互に掬ってるだけなので流石に追加は得られず。

まだ採集できる時間は残ってるので、ここからさらに移動して谷に向かうことにしました(笑)



虫の写真しか撮ってませんが…

ベニナガタマのエノキを今日もチェックしてみました。
流石にスウィーピングでも入らなくなっていて、大半のナガタマムシのシーズン終焉を感じました。
気づけばもう8月ですからね…

ただ…雰囲気はガラリと変わって夏の虫が現れていました。





オオムラサキ
Sasakia charonda charonda (Hewitson, [1863])

エノキの葉に…オオムラサキが止まっていました。
実は私、オオムラサキは今回が初採集です…

見るの自体は初めてではなくて。
過去に出会った場所は全て、「昆虫を捕まえないでね」的な看板がある場所でして(汗)
オオムラサキ○○○とかそういう類の公園…

いつも、目の前の樹液に集まってるオオムラサキを歯痒い思いをしながら見ることしかできなかったんです。

昔からずっと採りたかった。
日本の蝶の中では一番憧れが強かったのが、オオムラサキでした。

強いていうなら♂が良かったけど、また出会う機会はあるはず。
(この日、樹液に飛来していた♂がいたのですが…ボロボロだったので見逃すしかなかった)





オニヤンマ
Anotogaster sieboldii (Selys, 1854)

水辺に限らず、谷全体がオニヤンマ天国と化していて…絶えず自分の周りをオニヤンマが飛び交ってる状況でした(笑)
オニヤンマがいるとどうしても追いかけたくなってしまい…1ペアだけ採集しました。
今の時点で色残しがどの程度通用するようになったか確かめたい。

♀の採集がもしかすると人生初だったかもしれません(汗)
少なくとも標本持ってないし、標本やり始める前に採集したオニヤンマも片手で数えるくらいしかいないので…

完全に忘れてました(笑)


タマムシ(ヤマトタマムシ)の方も、♂がまだ正規ルートで採集できてないので…この夏でしっかり採っておきたい(汗)
ちゃんと、エノキの梢を飛んでる個体を…




左: オオフトヒゲクサカゲロウ
Italochrysa nigrovenosa Kuwayama, 1970

右: ヒメカマキリモドキ
Mantispa japonica MacLachlan, 1875

オニグルミでオオフトヒゲクサカゲロウ、クヌギでヒメカマキリモドキが入りました。
この日はいいアミメカゲロウの類と縁のある日でした。




ヤクハナノミ
Yakuhananomia yakui (Kono, 1930)

タマムシは一切入りませんでしたが、カッコイイ大型のハナノミにはテンションが上がりました。(クリのスウィーピングにて)
どうやらこれ…分布が限られるかなりいい虫だったみたいです(汗)
とんでもないラッキーだった…


ある程度スウィーピングをやり切ったところで、再びエゾエノキポイントに寄ってから帰ることに。



20170804080215ae7.jpg
一頭採集できた木も掬いましたがダメ。
最初に見つけた方のエゾエノキポイントにも向かったのですが、流石に追加は得られませんでした。


あの一頭は本当に大きかった。

多産地に頼ることなく 、自力で見つけた場所で採集できた事がなにより嬉しかったです。

夏休みはまだまだ始まったばかり。
まだまだたくさんの素敵なタマムシに出会えますように…

いや…

出会えるかどうかは、自分の腕にかかっている。


【結果】 ※色付きは自己初採集

トオヤマシラホシナガタマムシ
Agrilus ventricosus Fairmaire, 1888
1ex.

ジュウジアトキリゴミムシ
Lebia retrofasciata Motschulsky, 1864
1ex.

ヤクハナノミ
Yakuhananomia yakui (Kono, 1930)
1ex.


オニヤンマ
Anotogaster sieboldii (Selys, 1854)
2exs.

オオムラサキ
Sasakia charonda charonda (Hewitson, [1863])
1ex.


ヒメカマキリモドキ
Mantispa japonica MacLachlan, 1875
1ex.

オオフトヒゲクサカゲロウ
Italochrysa nigrovenosa Kuwayama, 1970
1ex.





以下は第一回探索(07.24)の際の採集品のメモ

ナミガタチビタマムシ
Trachys griseofasciata E. Saunders, 1873
1ex.

ウスバカミキリ
Megopis sinica sinica White, 1853
1ex.


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