アオタマムシとの再会


2017.08.05

昨日フライングしたけど一応、今日が夏休み初日。
長野にいる数日の間に狙いたい虫は3つでした。
1つが、前日採集したトオヤマシラホシナガタマムシ。

そして、今日狙うのが…2つ目、アオタマムシです。


アオタマムシといえば、私も2014年の夏に有名産地でどうにか1頭だけ採集することが出来ました。
あれから3年経ち…次は自分でポイント探すところからやってみたい!とずっと思っていました。

長野県では少ないというモミ群落、ブナ、イヌブナが多く生えている所を探し…一つの場所に目星をつけていました。


しかしながら…天気がかなり微妙。
アオタマムシは日差しが差し込んで気温が上がらないと…モミの立ち枯れに飛んでこない(と思う)

有名産地の方は時期的には終盤。季節感のズレは多分あるから大丈夫だと思うけど、できるだけ早めに行きたかった。
この日か次の日に行かないと多分厳しい…
(それ以降天気予報が悪くなる一方なので…)
候補の2日はどちらも曇りの予報…

両日とも11時ごろには完全に雲に覆われ…15時頃には雨が降り始める…最高気温は30C°、そんな感じでした。
GPV気象予報を何度も繰り返し眺め、雲の動きを比べて考えた末に思い切ってアオタマムシ採集に出る事にしました。

今日出ずに、後悔したくはないから…


ダメならイヌブナのスウィーピングで採ってやればいいだけの話…!

とか思っていたのだが。






なんだこれ(笑)

到着してみれば、青い空に輝く太陽。
もうこの時点で天気予報が間違ってる気がするのですが…油断はできないので急いで山に入っていきます。


当初は長野県内でアオタマを狙う気でいたし、そう宣言してたのですが…岐阜県まで足を伸ばした方が何かと都合が良さそうだったので岐阜県でやることにしていました。
山に入り、登り始めたのが9時過ぎでした。




山に入って僅か10分ほどで、一本目のモミの立ち枯れが見つかりました。
事前に調べた通り、この辺りはモミの大木がかなり多いようです。

イヌブナはもう少し標高を上げないと現れないと思ったので、ここは無視してさらに登っていきます。
ここが恐ろしくて、一見道のように見える方角に進むとスタート地点に戻されるというトラップがありました(笑)

モミが多い方向に進むのが正解なようで…良かった。
かなり狭く、斜めになった道や張り巡らされた蜘蛛の巣が、この山に来る人の少なさを物語っていました。


尾根上にはモミやホオノキの大木がかなり多く見られました。
他はミズナラ…あとは分からない(汗)

一応、モミによく似たツガも混ざってるみたいなのですが…(アオタマムシ自体はツガの立ち枯れにも来るらしい)




モミは葉先が二裂して尖る、と習ったのを思い出しました。
この辺りにあるのはやはりモミのようです。

ウラジロモミと比べると樹皮が茶色っぽいのもモミの特徴だったはず。




これは確かモミの立ち枯れだったと思う…
モミの立ち枯れも思った以上に頻繁に見かけます。

今回の採集において、唯一の不安要素が「モミの立ち枯れがどのくらいあるか」だったので…この感じなら十分期待はできそうです。
そういえばモミの木にオオトラカミキリの食痕は一切見当たらなくて少し意外でした。
雰囲気的にはあっても良さそうだったけど…



これはミズナラ…だと思う。
ミズナラの立ち枯れもなぜか結構ありました。






最高の雰囲気の場所にいい立ち枯れが…





モミでは無かった。惜しい!!
この気には特に虫は飛来していませんでした。雰囲気は良さげだけど…








ようやく「いい感じだな」と思える木を見つけました。
もう少し時間が経てば木にも陽の光が当たりそう。

とりあえずぐるっと回ってみると、キノコに何か付いているのが見えた。


なんだただのヒラタシデムシの類か…
大木が多く、薄暗い林では虫が少なかったので、普段ならスルーしていたかもしれないこの虫を一応採ることにしたのですが…

これがどうもいい虫だったようで…


オオヒラタコクヌスト
Peltis gigantea (Reitter, 1882)

まずシデムシですらなかったという…

とりあえず、採っておいて良かった(汗)


虫の良さは現地でも今でもイマイチピンと来てないけど、
見た目的にもどうやらいい立ち枯れのようだ…

次はこの立ち枯れで本当にアオタマムシが採れるかどうか、確認していきます。



一つ目。


近くにイヌブナ(ブナ)があること。
モミの木のすぐ下でブナ系の葉っぱは見つかるのですが…木は見つけられませんでした。
周囲に大木が多いので、離れた所にある木から伸びた枝から落ちた葉が…ここまで辿り着いたのかも?



二つ目。


それらしい脱出孔があること。

過去の自分がちゃんとブログに残していた写真を引っ張り出して…比較してみました。




サイズ感は全く一緒、少し形は違うけど…タマムシらしい特徴(上下で穴の広がり方?に差がある)が確認できました。
脱出孔の内部に残った削りカスはかなり新しいように思える。今年出たばかりかもしれない…


完璧だ…

この場所、本当に採れるかもしれないぞ!!!






ここで待機しようと決めたのが11時頃。
予報では曇りのはずですが普通に晴れています…このチャンスを無駄にするわけにはいかない!!!


___数分後。




やっぱり…私は待つのが苦手です。
自分から積極的にアプローチをかけていけるスウィーピングと違って、待機では常に不安がつきまとうのです…
他の立ち枯れを見に行こうにも、坂を上り下りするのが大変だし…ここ以上に良さげな立ち枯れはそう簡単に見つからないと思う。

スウィーピングしようにも枝が高すぎる。
焦る気持ちをグッとこらえて…その場に座って待つことにしました。

前にアオタマ採集やった時も、確か同じような感じだった。
ずっとソワソワしてて落ち着かなかったんだっけ…



11:34

その時は来た。
いつかそうだったように…ふとモミの木を見ると何かが歩いている。

写真を撮る余裕はなかったけど、網でつついて落とすのは以前より格段に上手くなっていた気がする。



無我夢中で、その虫を掴んで控えめに叫んでいた___















アオタマムシ
Eurythyrea tenuistriata Lewis, 1893


「よしっ…やったああああっ……!!!!!」

久しぶりのアオタマムシの採集では…やっぱり以前と変わらない痺れるような感覚があった。
しばらく全身の震えが止まらなかった。
ポイント開拓から自力でやって来て、ちゃんと採れた…これが何よりも嬉しかった。

初めて自分の力で辿り着けた一頭…

この一頭は…絶対無二の一頭なり…!!!



とか…謎の余韻に浸っていた(笑)

Twitterで勝利報告をしたりして…40分後。











早くも2頭目!!!!

「焦るなよ焦るなよ!!」
「まずは写真、まずは写真、まずは…写真撮ろう(汗)」

「大丈夫大丈夫、自分を信じろ、絶対できる!!(?)」



絶対………








「はああああああああ!!!????(思考停止)」

写真撮ってる最中に新たな個体が突然画面内に出現(汗)
やらせなし、2頭のアオタマムシが一緒に写った奇跡の一枚が完成した…

この二頭は低い位置にいるので全力で落ち着いて、素手で押さえ込む。
結局、常に動き回るため生態写真はブレブレになってしまいました…




なんていうか…信じられなくて。
緊張感というか、興奮…?
過呼吸みたくなってました。死ぬかと思った(笑)



アオタマムシはこんな風に…突然目の前に現れるのです。
イヌブナの高い枝からモミの立ち枯れの上部に飛来し、少しずつ下に降りてくる…そんな感じでしょうか。
なので、遠くから眺めていても飛来した事を確認するのが難しく気がついたら目線の高さまで降りてきているのです(汗)


だから飛来っていうより出現っていう感じなんです(汗)
本当、心臓に悪いですよ…(笑)

どうして下まで降りてくるのかさっぱり分かりません。
この習性さえ無ければ、非常に採集が難しい種になっていたと思います…




2,3頭目を確保してから…さらに30分後。




4頭目が出現…
(すごい分かりづらいですが、捲れた樹皮の直下に当たる部分にいます)

アオタマが現れるのはいつも決まって日陰側だった。
初めて有名産地で出会った時も確かそうだった気がする。

ここに来て、早くも慣れてしまった自分がいた(笑)
完全に落ち着きを取り戻し、アオタマの様子を見ながら今度こそは、と生態写真に挑む。



……。






降りて来ないのかよ…(汗)



上に登り始めたのでネットでつついて網に落とす。今回も綺麗に決まった。
結局ここで、採集したアオタマを置いてヤラセ写真を撮っておくことにした。






アオタマムシ
Eurythyrea tenuistriata Lewis, 1893

昔よりはずっとマシな写真が撮れた。
「アオ」って一単語で表すのが勿体無いくらい…虹色の輝き。
多くの人が虜にされ毎年毎年有名産地へ向かっていく…

そんなアオタマムシに、少しだけ嫉妬のような感情を持っていた事もありました。
他のタマムシにももっと目を向けてほしくて…ブログでもTwitterでもこれでもかというくらいタマムシを推してきた(笑)

効果はあったのだろうか…?



それはともかく。




アオタマは不思議な形で擬死体勢をとります。
足を広げ跗節を反らせて…黄色い液を吐く。腹も曲げる。

他のタマムシだと…確かウバタマムシが同じような擬死体勢をとってましたが、液を吐くのはやっぱり独特な感じがします(汗)
多分…クロタマムシも同じような行動を取るんだろうと思う(取りました)。




4頭目の写真撮影に夢中になっていたら…5匹目が出現。
ここまでくると完全に舐めてかかるようになり、降りてきたアオタマに急接近して写真を撮りにいったり。



してたら逃げられました(笑)

アオタマは一瞬の隙をついて茂みの中に消えていった…

それから、ほんの10分ほど経って。






飛んでいった方向とは反対側に当たる自分の後ろ…やはり日陰側から飛来したアオタマムシが目の前の立ち枯れに止まりました。
方向的に、持っていた緑色の網に向かって飛んできたようにも思えたけど…

多分逃げられたものと同個体。





下まで来てくれたものの結局動きを止めてくれず、これが精一杯でした…

5匹目を採集。



うん…もう充分だ。




20170805222740b84.jpg
時刻は13時を回ったところ。

この一本の立ち枯れで2時間待機して…5頭ものアオタマムシを採集する事が出来ました。
この場所は多産地だったのか…なんにしてもこの木は御神木だった。
5頭目あたりで、採らざるを得ないみたいな気持ちになって…少し申し訳ないとすら思った。

このまま待てば更に追加があるかもしれないけど…半端な気持ちで採集するのは嫌だ…

ここを離れよう…

こんなにたくさんのアオタマを恵んでくれて…本当にありがとう。


御神木に向かって合掌していたちょうどその頃、雲が多くなり始めていた…



登って来た道でもなんでもない尾根を下っていく…
若干遭難しかけたせいなのか、行きと帰りで見かけた立ち枯れの本数が明らかに違った気がする。
そもそも、こんだけしか登ってなかったの!?って思ってしまうくらいあっという間に下りきってしまった。


行きと帰りで通った場所が少し違ったような気がする…

またここにアオタマを採りに来ることは…少なくとも一人で来ることは多分無いと思うけど、
正直もう一度あの立ち枯れに辿り着ける自信がない(汗)


あれはきっと、幻の場所だったんだ…




山を出て…まだ時間がある。
天気がもつ限りスウィーピングをやることにしました。

来る途中で見つけていた良さげな道。
車が通れない道の両側に生えている植物を掬っていきました。
(写真撮り忘れました…)

地元の方でも既に大半のナガタマのシーズンは終わっているので大して期待はしてなかったのですが…ここでとんでもない奇跡が起こった。







タゾエナガタマムシ
Agrilus tazoei Y. Kurosawa, 1985

アオタマと同じ珍品度★★★(やや少ない)のタマムシなのですが…
ホストはクズ、フジ。

どこにでも生えているクズですが、このタマムシはどこでも簡単に採れるわけでは無いみたいで、イマイチ掴み所がなく採り方が分からなかったタマムシなのです…

アオタマより絶対レアだ…(汗)
これは副産物的な扱いをしていい虫ではない(汗)


石川遠征以来、クズをかなり掬うようになっていたので普段の癖で掬っただけなのですが、まさかこんなあっけなく出会いを果たすことになるとは思ってもいませんでした…
一応、タマムシ大図鑑では8月も出現期に含まれていたので時期的にはなんとか間に合った形みたいです。






このクズを掬ったら入ってきました。
なるほど…こういうクズがいいのか(誤解を招く?)

地面に這うように生えているタイプのクズより、こんな風に樹木に巻きついているクズの方が、枯葉や枯れ枝を含めたスウィーピングがやりやすいです。なんとなくこういうクズが良さそうだなとは思って積極的に掬ってましたが…

本当に運が良かった。
追加を得るために必死でスウィーピングしましたが、やはりアオタマのように上手くはいってくれませんでした。
色々掬ってると、クズもさっきのものみたいに比較的周りに邪魔なものが無くて掬いやすいものと、ツルや他の植物が邪魔で全然網が深く入れられないものがあって、そういう意味でも採りづらい虫なんだろうなと思いました…



他にも少しだけ虫を得て、だいぶ天気が怪しくなって来たので駅に戻ることに。



駅に着くやいなや…急な雨が降って来た。
なんだか…今日は上手くいきすぎてて本当に怖かった。
天気予報が外れて晴れてくれたのが本当に大きかった。曇りだったらスウィーピングも出来ずに酷い目にあっていたと思う…
不安だったけど…今日行って、本当に良かった!!!


こうして、大勝利、大満足で帰ることができたのでした。





全て自己採集のアオタマムシ。
赤みが強いもの、青みが強いもの…運良く両方採れましたが、全体的に大きい個体が多い気がする。
3年前とは違って今回は自力でポイントを探し当てることができた。複数得ることができた。
反応を見る限り有名な場所でもなさそう…採集者どころか、登山客すら一人も会わなかったし(汗)
そして本命以外でいい虫も採れた…


あの頃と比べて、少しは成長できてるのだろうか…



このままの勢いで、3つ目…最後の目標を達成して、長野を後にする事が出来るのだろうか…

いや、絶対できる!!!



【結果】 ※色付きは自己初採集

アオタマムシ
Eurythyrea tenuistriata Lewis, 1893
5exs.

タゾエナガタマムシ
Agrilus tazoei Y. Kurosawa, 1985
1ex.


アカガネチビタマムシ
Trachys tsushimae Obenberger, 1922
2ex.

オオヨツスジハナカミキリ
Leptura regalis (Bates, 1884)
1ex.

セミスジコブヒゲナガカミキリ
Rhodopina lewisii lewisii (Bates, 1873)
1ex.


ヒロオビジョウカイモドキ
Laius historio Kiesenwetter, 1874
1ex.

オオヒラタコクヌスト
Peltis gigantea (Reitter, 1882)
1ex.

マルウンカ
Gergithus variabilis (Butler, 1875)
1ex.
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント