奈良 帰省採集2017夏_3日目: ギリギリセーフ?


2017.08.11



「ん"ん"ッッ!!!!」



なんというか…水底から引きずり上げられるような妙な感覚とともに目が覚めた。
意識がはっきりするまでかなり時間がかかった。今日1日もつかな…?(汗)




現在…朝の4時です。

これでも昨日よりは遅いけど…(汗)
今日も昨日と全く同じで、父親の釣りに便乗して採集するパターンです。


父親曰く、「今日行く所の方が昨日の場所より(虫的な意味で)いい感じなんじゃないか?」との事でしたが…



ほんと、こっちの方が全然いい感じだ(笑)
確かに昨日の場所まで行かなければ採れなかった虫もいるでしょうが…歩いて沢沿いを登ったりする必要が殆ど無く車降りてすぐの地点から採集開始できる状況でした。

昨日よりも天気はいいようで、明るくなるのも早かった…



樹種はヤシャブシ・シデ類が圧倒的に多く、次にアカメガシワ、他にはカシ類なども少し混じる程度です。
冗談抜きで9割くらいはヤシャブシ・シデ類でした…

昨日壊れた枠は、帰宅後にどうにか修理して使える状態にはなりましたが…いつまで耐えられるか分かりません。
とにかく優しいスウィーピングを心がける事に(汗)

ヤシャブシには「ルイスナカボソタマムシ」がつき、このタマムシの発生期は6〜8月。つまりまだ可能性はあります。
石川で随分ひどい目にあったので正直もうヤシャブシ掬うのは勘弁してもらいたいのですが、ここまで多いと掬わざるをえない…(汗)


そんなヤシャブシのスウィーピングで最初に目に付いた虫がこれでした…







エダナナフシ
Phraortes illepidus (Brunner von Wattenwyl, 1907)

少し変わった色のエダナナフシだなあ、位にしか思ってなくて写真撮った後リリースしてしまったのですが…このエダナナフシはどうやら♂だったようです。
後により大きくて単色な「いつものナナフシ」も入ってきました…



(小学館の図鑑NEO 昆虫より)

ここがっつり山地のはずなんだが…
ナナフシは単為生殖が有名な虫で、場所にもよるかもしれませんが♂は基本的に珍しかったりするのです…(汗)

これが本日最初のやらかしでした(笑)
さっきの写真だと分かりづらいですが、♂は腹部の末端付近が膨らむのが特徴みたいです。しっかり覚えておきます…

よく考えたら普通のナナフシモドキの標本すら一頭もないのでいい加減ナナフシも採集しておきたいです(汗)



ヤシャブシのスウィーピングはキリが無さそうなので、一度他の樹種に目を向ける事にしました(汗)
オニグルミが一本だけあったので掬ってみたら、案の定…オニグルミノキモンカミキリが採れました。
もうお馴染みになってきてるので写真すら無しです。(撮り忘れただけなんじゃ…)

それでやっぱりカラカネチビナカボソは…(汗)



次に、ヤシャブシに次いで多いアカメガシワ
アカメガシワにはムネアカチビナカボソタマムシがつき、発生期は5〜9月。この時期でも十分狙えるタマムシです。

実際、以前帰った時(→採集記)にも二頭採集していました。

既採集種とは言え、タマムシが少なくなりがちなこの時期でも安定して採れるタマムシの一つなので…頼らずにはいられません(汗)




大きなアカメガシワが結構たくさんあるので簡単に採れると思っていたのですが…そうは行かず、写真の左側に写ってるアカメガシワを散々掬ってようやく一頭採れました(汗)




ムネアカチビナカボソタマムシ
Nalanda rutilicollis (Obenberger, 1914)

3年ぶりの採集になる、小さくてもとても綺麗なタマムシです。珍品度は★(最も普通)なのですが、ここでは全然そんな感じはしない…




時刻は7:30頃。
ここに5,6月頃に来れたらもっと楽しいだろうな…と思う。

ムネアカチビナカボソを採った今、ルイスナカボソはアレとしてこれ以上何が出来るのか分からなくなってきた。
とりあえずヤシャブシのスウィーピングは続けるものの、やっぱりタマムシは入らない。



ヒメナガヒラタムシ
Tenomerga japonica (Tamanuki, 1928)

気になったのはこの虫。原始的な甲虫と呼ばれるナガヒラタムシの仲間です。
掴むと「ジリジリ…」というか「シュルシュル…」みたいな音で鳴く(?)のです。
録音しても音が全然拾えなかったくらい小さい音なのですが、どうやって鳴いてるんでしょう…

普通のナガヒラタムシの方も同様に鳴くらしい…







なんだっけこの木…と思いながら掬ってみる。
花が咲いていたらしく、多数のアシナガバチが入った(汗)

そんな中、一頭だけ入っていたのが……





コクロナガタマムシ
Agrilus yamawakii Y. Kurosawa, 1957

コクロナガだ!!!!

石川遠征でかなり情けない思いをさせられた…コクロナガタマムシでした。発生期は6月下旬〜8月中旬という事でギリギリセーフだったみたいです(汗)




カラスザンショウにしては葉っぱが短い気がしますが、コクロナガが採れるとすればサンショウ系なのは確か。
枯れてる部分も多くいい感じです。
ここでリベンジできるとは思わなかった。

いや、今回は一頭だけでは終わらせない…!!



さらに徹底的に掬っていくと、ものすごい数のアシナガバチに混ざって…








ものすごい数のコクロナガが入ってきた(笑)

石川遠征のアレは一体何だったのか、と思わずにはいられません。
一応珍品度は★★★(やや少ない)ですが、採れるところでは大量発生するタイプの虫なんでしょうか…

掬えばいくらでも入るものの、さすがに全部持ち帰るのもと思ったので6頭で止めておきました。



これで自力採集は達成…という事でいいでしょうか(汗)



そしてこのサンショウで、コクロナガ以外にも入った虫がいました。




キイロアラゲカミキリ
Penthides rufoflavus (Hayashi, 1957)

それがこの…キイロアラゲカミキリです。最初カミキリだと思わなくてスルーしかけた(汗)
分布は局地的で本州西部が中心になってるようで…割といい虫だったみたいです。

この虫の奇主植物がカラスザンショウのようなので、さっきの木もやっぱりカラスザンショウなのかも。



その後はヤシャブシしかない地帯が続き、アカメガシワを掬ってもムネアカチビナカボソの追加はなく…厳しい時間が続きました(汗)








カラスアゲハ
Papilio bianor dehaanii C. et R.Felder, 1864

やけに綺麗なアゲハが飛んできたので、まさかと思ってネットインしたら…綺麗なカラスアゲハでした(汗)
そういえば夏型は初採集になるのか…
ミヤカラとかもいるのかなあ…



ほんとに綺麗なカラスアゲハだ…



しばらくして、目の前を飛んでいたアゲハが止まったので近づくと、ボロい個体だったので写真だけ撮ってスルーすることに。




あれもカラスだよなー



と、思っていたのだが

どうやらこれが…ミヤカラ、ミヤマカラスアゲハだったようです。
ミヤカラって分かってれば絶対スルーはしなかったのだけど、やってしまった…

やっぱりさっきのカラスアゲハはすごい綺麗な個体だったから…騙されたのか(汗)
自分でも両者の見分け方は分かってたはずなのに(汗)


あとになって結構…ヘコんだ。





沢沿いに降りてしまうとヒルがいる、と言われてたので林道から外れないように気をつけていたのですが…少し下ったところにある立ち枯れが気になって見に行くと…












やられた。(人生初)

腕に妙な感覚を感じて…まさかと思って見たら左腕に吸い付いていた。
本当に全く気づかなくて、ものすごく焦った(汗)

父親から渡されてたキンチョールをぶっかけて撃退。
早い段階で気づけたからなのか、血が止まらないとか痒くて仕方ないとかそういった症状は起こりませんでした。
これまたギリギリセーフだった…いやほんとに、ヒルは怖い…

これでかなり精神的に削られて…この後は特に何も出来ず合流地点で待機___





勘弁してくれ。

少し休もう、と林道の日陰部分に座ったら目の前にヒルがいた…
一度やられたからなのか、逆に落ち着いていて…ヒルの観察をすることに(笑)




ヒルの基本姿勢はこれ。地面から生えるように静止しています(汗)
通りかかった動物に引っ付いてよじ登り、血を吸う…

意外にも、目の前に動物(人間)がいるからといって向こうから寄ってきたりはしないようでした。
ただし、息を吹きかけてみるとものすごい活発に動き始めてこちらへ近づいてきたので、やっぱりこの手の生き物特有の二酸化炭素感知の能力があるらしい…

やっぱりむやみに藪に入らないとか、草木に体が当たらないように気をつけるのがいいのかもしれない…無理だろうけど。

気をつけなければ…別に毒はないんだけどなんか苦手だ、この生き物は(汗)



ヤマビルの観察を終え、念のため…した後は、近くの木を一通りスウィーピング。
ムネアカチビナカボソの追加をここでようやく得て、この日は昼頃で終了の流れ。




20170820234845cb1.jpg
帰り、父親が釣った魚の処理をしてる間、少し時間があったので近くで散策してたのですが…
(ちなみにこの日は30匹弱釣れたらしい)

道を歩いていると目の前を何かが飛ぶのが見えた。

なんとなくハンミョウの類に見えたけど、ニワハンミョウとかがいる時期じゃなさそうだし…なんだろう。



全く思い当たる虫が浮かばなかった。





目を凝らすと、こちらを向いている虫が見つかった。


「____これって、もしかして…!!」


その虫の正体に気づき、落ち着いて網を被せる…


ずっとずっと出会いたかった虫だったはず…なのに、

いつの間にか忘れてしまっていた…






ハンミョウ
Cicindela chinensis japonica Thunberg, 1781

はんみょおおおおおおおおお!!!!!!

最後にこの虫を見たのは、5歳くらいの時に屋久島に行った時…だから。
なんと15年近くこの虫を見ていなかった(汗)

今までに出会いそうなタイミングはいくらでもあったのになぜかこの虫とは縁がありませんでした…

採集するの自体はもちろん初めてになります。
本当に格好いい虫だ…久々に見て感動しました。
もう正直この地域にハンミョウはいないんじゃないかと思っていたのですが、よくぞ生き残っててくれた…



ラストで本当に嬉しい虫が採れてくれました…





その後は一旦家に戻りましたが、この後まだやることがある(汗)

昨日設置したベイトトラップの回収です。


1箇所目。


メインの沢が思いの外微妙だったので、斜面から水が滲み出てる環境に適当に6個ほど掛けてみましたが惨敗。



2箇所目。



わずかに存在する広葉樹林の一角に20弱かけました。




こちらも限りなく惨敗に近い結果となりました…
ただ一つのコップに2頭ゴミムシが入って、それ以外は皆無(汗)



左: マルムネヒメナガゴミムシ
Pterostichus latemarginatus (Straneo, 1936)

右: ケブカヒラタゴミムシ属(Rupa)?

かかったのは、春に帰った時にも採集したマルムネヒメナガゴミムシと初採集のヒラタゴミムシでした。
ケブカヒラタゴミムシは2種いるらしく、見分け方がよく分からないので保留です…



今回に関してはどう考えても場所が悪かった…
あくまでメインはタマムシなので、設置や回収の際に時間がかかりすぎないように近くで全て済ませるつもりだったのですが、近くにいい場所がほぼ無いことが分かった(汗)

山を登るか、別の広葉樹林や沢を目指すかする必要がありそうです…
単純にオサムシ狙いなら北部の実家付近の山とかでやったほうが良さそうかも。

ナガゴミムシが採れそうな沢の雰囲気をこの冬に長野で掴めたらいいな…と思います(汗)



トラップの回収を終えた後は、少しだけスウィーピングもやっておくことに。





実はトラップの設置場所からほど近くに、過去にムネアカチビナカボソタマムシを初採集したアカメガシワがあります。

今回はどうだったかというと…







一掬いで2頭入りました。
やはりここのアカメガシワは小さな木だけど謎の安定感があるようです。


今年はこれだけでは終わりません。







この真ん中あたりにある、黄色っぽい葉っぱの植物が…“スダジイ”です。



写真で撮っても何故か全然実物の色の通りに撮れないのですが…葉の裏が金色になっているのがスダジイの特徴の一つです。
前回はシイ・カシ類程度にしか分からなかったけど…スダジイと分かる今はここで狙えるタマムシがまだいるのも分かっている、分かってはいる…(汗)

活動期に8月が含まれるタマムシの一つ、クリタマムシのホストにスダジイが入っていたのを覚えている(汗)
あくまで含まれているだけであって、多分期待は出来ないんだろうけど…やってみるしかない。


ムネアカチビナカボソのアカメガシワのすぐ上にあるスダジイを、掬えるだけ掬ってみた………



そしてここで、全く想定していなかった虫が入ったのでした………








「チビタマ!!??」

成虫で越冬して初夏まで活動し、晩夏に新成虫が出る秋のタマムシだと思ってました。
つまり、真夏の今の時期は丁度入れ替わり、幼虫とか蛹の時期なんだろうと…

そのためチビタマムシ類はターゲットとして全く意識していませんでした…


このチビタマムシはかなりスレてるのでおそらく越冬個体の生き残りだとは思いますが、それでもこの種の名前は一瞬で分かった…


スダジイで採れる、こんなチビタマムシといえば……!!!





サシゲチビタマムシ
Trachys robustus E. Saunders, 1873

サシゲチビタマ、私もようやく採れましたよ…
初採集種となるサシゲチビタマムシでした。

この時期に、ここで初採集種が得られると思ってなくて驚きました…

追加を期待して周囲のスウィーピングも続けるつもりでしたが、ちょうど豪雨が降ってきたので強制終了。
ギリギリでなんとか一つ成果を上げることができました。

タマムシに限った話じゃないですが色々と嬉しい成果が多かった反面、失敗も目立った1日になりました…





【余談】

確か、この日の夕方だったと思う…

父親が釣りの餌用に職場に作られた蜂の巣を取ってきたようで、それを持ってきていました(この時点でだいぶ意味不明ですが…)
その蜂の巣の運搬中に羽化が始まったらしく、車内にいきなりアシナガバチが湧いて…首についてたりして(笑)ビビりました…
羽化直後だから刺されなかったのかも知れませんが、これも本当にギリギリセーフでした(汗)


それでこの日、父親が羽化しそうなハチを片っ端から引きずり出して抹殺してたので…少しだけ標本用に貰いました。




キアシナガバチ
Polistes rothneyi iwatai van der Vecht, 1968

結構かっこいいんだけど…なかなか採集しようという気になれなかったキアシナガバチでした(汗)
というか、こんな大型のアシナガバチの巣をなんで取ってこようなんて思えるんだよ…(笑)
この個体は運良く♂で…もう一頭貰ったのですがそちらは♀でした。


ちなみに…父親はこの巣から採れた蜂の子を使用して30匹くらい釣ったそうです(汗)

成虫の一部は標本となって…
まあ、普通に駆除されるよりはマシな結果になったのかな…?(汗)




【結果】 ※色付きは自己初採集

ムネアカチビナカボソタマムシ
Nalanda rutilicollis (Obenberger, 1914)
4exs.

コクロナガタマムシ
Agrilus yamawakii Y. Kurosawa, 1957
6exs.

サシゲチビタマムシ
Trachys robustus E. Saunders, 1873
1ex.

ハンミョウ
Cicindela chinensis japonica Thunberg, 1781
1ex.

未同定ハナノミ
1ex.


マルムネヒメナガゴミムシ
Pterostichus latemarginatus (Straneo, 1936)
1ex.

未同定ヒラタゴミムシ
1ex.

キイロアラゲカミキリ
Penthides rufoflavus (Hayashi, 1957)
2exs.


オニグルミノキモンカミキリ
Menesia flavotecta Meyden, 1886
2exs.

ヒメナガヒラタムシ
Tenomerga japonica (Tamanuki, 1928)
1ex.


カラスアゲハ
Papilio bianor dehaanii C. et R.Felder, 1864
1ex.

キアシナガバチ
Polistes rothneyi iwatai van der Vecht, 1968
2exs.

関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

>>非公開さん

お久しぶりです。

はい…やっと採れました(汗)
やっぱりいいチビタマですね!
長野だとスダジイは関東以上になさそうなので…奈良で採っておけたのは中々良かったような気がします!

そうでしか…私も、今年は採集したタマムシ(ヤマトタマムシ)は迷ったのですが…飼育することなく〆てしまいました。
その分しっかり標本にした、つもりですが…
前半戦で調子乗りすぎて標本や情報の整理がとんでもない量になってしまってるので今ひたすら頑張ってる所です(汗)

とりあえず中途半端にならないようにしたいです…


チビクワは小学生位の時に一度見たきりですね…
今改めて考えると、そういえば他にも狙える虫いたなーって色々と思い出して後悔したりしてます…(笑)

ブルー・ビーって何のことか分かりませんでした(笑)
そんな呼ばれ方があるんですね…私はまだ見たことありません(汗)

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

>>(非公開)さん

出会うと感動する虫ですよね。
長野県に移動してからは場所によってはかなり普通に見られる虫になりました(笑)