ルリクワガタを求めて


2017.11.12

この日は今年の冬の目標の一つ、ルリクワガタ類の♂を求めて、久しぶりに遠出する事にしました。
この間のマイマイ採集で悪い流れは断ち切れた(はず)、ここからは遠征で挽回します!
こっちは雪が降り始めるまでが勝負なのに10月ほとんど何もしないまま終えてしまって少し焦っています(汗)

どこに行くか少し悩んだのですが、ルリクワガタ以外にも狙える虫がいそうな方面へ向かう事に。




いつかそうしたように…よく分からんバス停で途中下車したのは、7時ごろでした。
ここはかつてエサキキンヘリを狙って訪れ、爆死した場所の近くです(笑)

トウカイコルリはこの近く…でもないけど同じ山塊の別の山で確認されているようなので多分この辺りでも大丈夫なはず(汗)
どの程度標高を上げるべきなのか正直よく分かってないのですが…とりあえず植生図でブナ群落を探してそこまで辿り着ける地点を選びました。

一応…前回のエサキキンヘリ爆死採集の時に行きたかったポイントがちょうどブナ群落の近くだったのでそこに向かうつもりでしたが…


工事中。
関係者以外の立ち入りを禁ずる。



終わった……(笑)
まさか立ち入り禁止だとは思わなかった。
他に行く場所とか全然考えてなかった………

その場で地形図と睨めっこして、最寄りの沢へ向かう事にしました。
(沢沿いの方が湿った材が多そうなので…)




そこに向かう途中で、さらに小さな別の沢を発見し…吸い込まれるようにそこへ入る(笑)
いかにも高山の沢って感じの雰囲気が漂ってて…

ここめっちゃチビゴミ採れそうじゃねえか…とか思った。
もっと標高の高い地点にはなりますが、先輩はここからそう離れていない山でオンタケナガチビゴミムシを採ったらしい…

そう、今日の目標はトウカイコルリだけではないのです。



石起こしに夢中になりそうなので、グッとこらえて沢を登りつつ材を探していく。
ここは標高もイマイチなのでチビゴミムシに関しての期待度はぶっちゃけ近所の沢と変わりません。

だから、チビゴミ堀りをやるならトウカイコルリを採ってからだ。


沢を登りながら地面に埋まってる材を引っこ抜いていく。
まだブナ群落には全然入ってないけど、トウカイコルリはブナ以外の材にも入るみたいなので…





もうあった(汗)

見るからに新しい産卵痕だったのでもちろん…幼虫が数頭出てきました(汗)





とりあえずこれで付近にルリクワガタの類が生息している事が確定しました。
(場所間違ってなくて本当に良かった…)




しばらくしてまた材を見つけましたが、ここからはなにも出ず。
これは古すぎるのかな…


とりあえずこの小さな沢の普通に登れそうな範囲は登りきったので、ここで折り返す。
沢沿いの石起こしもちょくちょくやりますが、感じることがある。
ガロアムシがめちゃくちゃ多い(汗)

そもそも起こした石の下が既に地下浅層的な雰囲気の漂う空間になってることも多くて…石起こしだけでガロアムシがいくつも見つかりました。
雰囲気だけはすごくいい感じだな…

掘りたい衝動に駆られていたら……






ガロアムシの一種

自己初…成虫が出た。
幼虫と比べてかなり大きくなり、色も濃くなる…別格です。

これでさすがに折れて、とりあえず少しだけ掘ってみることにしました(笑)




教科書通り、一段ずり落ちて水が流れている地点…伏流している地点もあって、その辺りを重点的に掘ってみましたがイマイチいい感じの場所に辿り着けず(汗)
ガロアムシは石起こしではよく出るのですが、深く掘るに連れて出づらくなっているような気がする…


ある程度納得がいったところで、本来向かうつもりだった沢へ移動します。




途中、川沿いにはヤマハンノキが多数生えていて、大きなヤナギも複数まとまって生えていました。
エサキキンヘリ狙いならやっぱりこっちの方がよさげな雰囲気だ…

材とかも見れる範囲で少しチェックしてみましたがそれらしい脱出孔とは見つかりませんでした。






次の沢は沢そのものが護岸されててつまんなそうだったのもあるし、単純に登る気になれなかったのですぐ撤退しました…(汗)
さっきの所の方がまだ良さげだ。

ケヤキがやたら生えていたので樹皮めくりはやりましたが案の定なにも…






先ほどの沢に戻り、トウカイコルリと早く決着をつける事に(汗)
先ほどの探索で人が普通に登れる範囲はある程度見た、つまり……






ここからは…つらい(汗)

今まで登ったことがないような急斜面を這いつくばるようにして登っていく。
この先にあるはずのブナ群落を目指して…




普通の土ならまだしも、足元がこんな感じの礫で埋め尽くされていて、常に不安定です…
何度も足を滑らせてヒヤヒヤさせられる(汗)
周りの木にしがみついたりしながら、少しづつ登っていく。

もちろん、途中にある材もチェックしていく…




良さげ…に見えたけど幼虫すら出ない…




埋まってるような湿った枝に産卵するのが(トウカイ)コルリ、立ち枯れとか乾燥した材に産卵するのはホソツヤルリと覚えていた。
ここは確かホソツヤの分布域には入ってなかったと思うんだけど…
(この材は硬すぎて割れなかった)

このとき私は忘れていた。
もう一種、ルリクワガタがいることを…




201711152152457e6.jpeg
ある程度体を安定させられる所まで登ったけど、ミズナラ林が延々と続いている気がする…(汗)
一応、産卵痕のある材は確認できてるし、無理にブナ群落を目指す必要はない。

ひたすら落ちている材をチェックしていく…




材の多さの割に産卵痕は意外と少ないような気もしますが、頑張って探していればポツポツと見つかりました。
しかし割ってみてもなにも出ないことが多く、つらい時間が続く…

30分〜1時間に1本、産卵痕付きの材が見つかるというようなレベルです。
正直、ここあんまりいいポイントではない気がする(汗)





左: ヒガシツヤヒサゴゴミムシダマシ
Misolampidius imasakai Akita et Masumoto, 2016

右: ミヤママルクビゴミムシ
Nippononebria chalceola (Bates, 1883)

ちょくちょく甲虫を補給しながらひたすら耐える…
ルリクワ採集ってこんなに出ないものだったっけ…!?

成虫どころか幼虫もそんなに出てこない…おかしくないか……!?

早く…早く終わらせよう、終わってくれ…!!!



キツい斜面での採集に、体が悲鳴を上げ始めていた。
時刻は15時。日没の時間を考えると後2時間程度が限界。

非常にまずい流れがきているのを感じていた…


「また…なのか」

「また、こんなみっともない結果で終わるのか…」



心が折れかけていた。
頭の中を流れるBGMでギリギリ持ちこたえる。まだ諦めない。
粘り続けて…また一本の材に手を伸ばす。


脱出孔はある。


「ちょっと期待しちゃうじゃないですかー(笑)」
「またまた…もう騙されないからな?(笑)」
「いい加減にしろよお前(笑)」

材に語りかけながら割っていく。
…気づいたことがある。

限界が近づくと、採集中に独り言が多くなる(笑)


後どのくらい頑張れるかな…と思いつつ、材を両手でねじるようにして割っていく…






割った材から…明らかに見たことのない姿の生き物が顔を覗かせていた。






ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus Lewis, 1883



「わああああああああああああああ!!!!!!!!!」

「良かった…本当に良かった…」

「ありがとう」



今回は私の粘り勝ちだった…
思わず斜面に倒れこんだ。
一発で♂を引けたのは奇跡としか思えない…

で…一つ誤算が。
この虫は…トウカイコルリでは無かった(汗)

普通のルリクワガタの方でした。
分布とか全然把握してなくて…この辺りにいるとは思ってませんでした(汗)
ルリクワガタは立ち枯れや倒木などに産卵するようで…立ち枯れの産卵痕や、埋没してない材に見られた産卵痕がこの種のものであったと分かりました…
このルリクワガタを出したのも普通に落ちてた材でした(そこそこ湿ってはいたけど)

この一頭を出した時点で満足してしまい、追加もろくに探さず一気に斜面を滑り落ちたので本来の狙いだったトウカイコルリが周囲にいたのかどうかは結局分からずじまいです…

一応目標はルリクワガタ類♂の採集なので種類はなんでも良かったのですが…

そういえば幼虫の方も3頭採集しましたが…正直羽化させられる自信はない(汗)
夏の高温を乗り切る術がないのです。




何時間もかけて登った斜面を、材をチェックしつつあっという間に滑り落ちる(笑)
残り時間は1時間ほど。

残り時間でチビゴミを探す。

ぶっちゃけ、ルリクワの追加狙うより可能性ある気がした(汗)


時間的に掘れる穴はひとつだけになりそうなのでよく考えて場所を選ばなければ…




なんか地下浅層の位置がイメージしやすそうだからここでいいや(適当)




地下は小さい礫が多めでなんとも言えない感じ…
ちょうど地下水脈とぶつかってしまったので、あまりにも水気の多い場所は避けつつ掘る…
ガロアムシは出ないもののヤスデやダニ、ハサミコムシなど出てくる生き物は多い気がしました。

30分ほど掘ったところで、目の前の礫をゴミムシが歩いているのが見え(上からの土砂崩れ)


ちょっと待てえええええーーーーーー!!!!!


崩れてきた土砂を受け止め、必死にかき分けると出てきた…


見たことのない姿をしたゴミムシが………





「これは…そうだよな?」
「チビゴミムシ…なんだよな!?」


「なんだよ……完全勝利じゃねえか…!!!」


拳を突き上げて天を仰いだ。


オンタケナガチビゴミムシかと思ったのですが、どうも違うらしく体色や前胸の形からイナナガチビゴミムシではないかと考えた…
オンタケナガチビゴミムシと同所的に生息する所では生息域が低くなる、という条件も満たしている。
これだ、間違いない…そう思った。


この後、追加を得ることはなく…周囲が完全に暗くなる前に沢を脱出。
ギリギリでバスに間に合い帰宅…という感じで今回の採集は終わりました。




初めてルリクワガタ類の採集に出たのは2013年…4年前だった。
遠出しての採集って経験自体が無くて、爆死して…翌年のリベンジで♀1頭を得た。

そして今年ようやく♂を採集できた。

ルリクワガタは、幼い頃図鑑で見て憧れた虫の一つでした。
その虫を手にする日が来るなんて本当に全く思わなかったな…

4年もかかってしまいましたが、また一つ幼い頃に憧れた虫を手にすることが出来ました。
ルリクワガタ採集自体は、まだ近場で採れるものでもやり残した種がいるので続けていくつもりです。
もっと綺麗な種もいますしね…


ルリクワガタだけじゃなくてちゃんとしたそれらしいチビゴミムシも採れて…久しぶりに大満足の採集に…

これで終わって欲しかった…




この日採集したチビゴミムシの写真を改めて撮って、Twitterにあげた所で当たり前の違和感に気づいた…

チビゴミムシがこんなにデカいはずがない(汗)

まさかと思ってちゃんと調べると、あるゴミムシが完全一致してしまった…




チャイロホソモリヒラタゴミムシ
Colpodes kyushuensis hondonus (Habu,1974)

もりひらた……?


つまり。


これはチビゴミムシではない…!!!!

一応、地下浅層や洞窟で得られることもあるゴミムシなのだそう。
何もかもが間違ってたわけではないかもしれない、けど…

あの状況で、ここまでそれっぽい形のゴミムシが出て、
体長以外全てが都合よく当てはまるイナナガチビゴミムシというのがいて…

まんまと騙されてしまった訳ですね…



こんなに、あの言葉を心の底から叫びたくなったのは初めてかもしれない。


だからこそ、気持ちを込めて言うよ…








納得いかないなコレ!!!!!!!!!!

納得いかないです…


そんなわけで、せっかくルリクワガタを採集できて目標達成!という所ですが派手に喜びすぎたせいでかえって後味が最悪の採集になってしまいました…(笑)
果たして、まだチビゴミムシに挑めるチャンスはあるのでしょうか…



【結果】 ※色付きは自己初採集

ミヤママルクビゴミムシ
Nippononebria chalceola (Bates, 1883)
1ex.

チャイロホソモリヒラタゴミムシ
Colpodes kyushuensis hondonus (Habu,1974)
1ex.


ヤセモリヒラタゴミムシ
Colpodes elainus elainus Bates, 1883
1ex.

ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus Lewis, 1883
1ex.+幼虫3exs.


ゴマダラオトシブミ
Paroplapoderus (Agomadaranus) pardalis (Snellen van Vollenhoven, 1865)
1ex.

ヒガシツヤヒサゴゴミムシダマシ
Misolampidius imasakai Akita et Masumoto, 2016
1ex.

未同定ハネカクシ
1ex.

未同定ハネカクシ
1ex.

未同定ガロアムシ
1ex.

未同定イシノミ
1ex.
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント