突撃、雪中コアオ採集!!



クリスマス(イブ)が今年もやってきました。
毎年多くの(主に独り身の)採集者がこの日に採集に出かけていきます…

哀れんでもらいたいのか、笑ってもらいたいのか。
まるで、「かわいそうな自分」を周囲に見せつけるように…



今年は…今年も私はその一人になりました(笑)
23日でも良かったのですが、クリスマスイブに予定を作らなければならないという謎の使命感からこの日を長野での2017年ラスト採集の日に選びました。


最後の採集は何を求めてどこへ向かおうか。
採りたい虫はウバタマムシくらいしか思いつかなかったのですが、正直どうすればいいのやらという感じで…

2年からはキャンパスが変わる関係で南の方に移動してしまうので、せっかくなら北の方で何か程よい難易度の虫がいればそれを狙いに…


あ、北の方なら…アレがいたか!!!









2017.12.24

前日に隣の部屋がエキサイトしていたので、眠るのに若干苦戦した(笑)
案の定寝坊したけど、電車には余裕で間に合いました。
もう寝坊にもだいぶ慣れてきてしまっています(時間に余裕を持たせてる)

ひたすら電車に揺られて北へ向かって行く。


そしてその最中に、重大な失敗に気づいてしまうのでした……








目的地の駅に到着。
言えることはただ一つ。



まっっっしろ、だなあ。



言えない。

雪が積もってるのが想定外だったなんて言えない…


大学周辺ではまだ雪が積もってはいません。
(軽く積もったことはあったけど数日で溶けてしまいます)

考えてみればこっちの方の天気予報は雪マークばっかりだったし、平均気温も明らかに低かった。
そりゃあこんなことになってるのも当たり前じゃないか(汗)


電車で北上するにつれて雪が多くなり…笑えない感じになってきたけど後戻りもできませんでした。
往復きっぷ買ってしまったから(笑)



というわけで予定していた通りの駅に降り立ったのでした。雪は深かった。
なんか入りやすそうな道沿いの林を探そう…



雪の積もり具合は元奈良県民、元埼玉県民の私にとっては明らかに“異常”なレベル。
向こうでは数年に一回ありそうな大雪…よりもヤバイかもしれない。ほぼ未体験の領域かもしれない(汗)


いや、でも見た目の割に普通に歩けたりするものなんじゃないか?

思い切って雪の上に足を乗せ……



「ズボッ」




「ぐはぁ!!30センチ!!!(適当)」


分かってた。
道の脇でこのレベルだから……

これはもう、覚悟を決めるしかないのだと。



ひたすら歩いて、川沿いの林に続く道まで来たものの そこに道と呼べるものは見えず(汗)
足跡があったのでそれを辿っていくことにしました。


雪の道へ突撃開始…わずか数秒で足元が膝までビショビショになった。
雪が積もってることを考えてなかったため長靴も何もない…ただの登山用の靴なので全く歯が立ちません。

深い雪の中を歩くこのシチュエーションは、色々な言葉を思い起こさせる(汗)


(いつもならここで頭に浮かんだ修造語録がそのまま文字に起こされるわけですが…なんか書いてて虚しくなってきたので今回は全カットです)


だいぶ変なスイッチが入ってしまったようにも思えるけど、気合いも入った。



雪の積もった斜面を木の枝にしがみつきながら徘徊していく。
深くはまって太腿まで足が濡れようが、転んで滑り落ちようが…構わず材を探し続ける。
立ち止まったら足が冷えるだけだから(笑)




一応、材はちょいちょい見つかるし割ることもできるようです。
(凍りついていて全く何も出来ないっていう最悪のパターンだけは回避できた)

とはいえ、場所にもよるけど50cm以上は積もっているであろう雪のお陰で…ほとんどの倒木がそもそも発見できない状態になっています(汗)




急斜面には雪が深く積もってないことが多く、倒木も発見できました。
針葉樹の倒木なのですが、私は未だにマイマイカブリを針葉樹から出したことがないので感覚がイマイチ分かりません(汗)

ボロボロに朽ちている部分をやみくもに割っていると、まさかのものが出てきてしまいました…







「なっ………!!!」




「なんじゃそりゃあああああ!!!!!!!!!」







紛れもなく、ウバタマムシの一部でした。
Twitterの方では色んな方が拾ったウバタマの写真をあげていましたが、私は探しても全然ダメで。

やっと出てきたかと思えば一部のみとか…どんだけ嫌われてんだよ(汗)

ウバタマ(一部)の登場によりその材がマツ類であることが分かったため、ひたすら割って生きたウバタマムシを探してみましたが……







シナノアオオサムシ
Carabus (Ohomopterus) insulicola shinano Ishikawa et Ujiie, 2000

何故かシナノアオオサが出たのみでした。
大分北上してますが、ここのアオオサはまだシナノアオオサになるみたいです。
(この後、同じ倒木の根に絡んだ土から一頭追加した)

結局ウバタマムシにつながるものは得られず、この日他に松の倒木も見つかりませんでした。
アカマツ自体周囲に全く生えてませんでした。あの一本だけだったのかも。



その後も雪の積もった斜面を這うように進み続け…材や立ち枯れを見つける度にチェックしていくもののなかなか上手くはいきません。
というか全然先に進めない(汗)



いつのまにか時刻は13時近くになっていて、かなり嫌な予感がし始めました。




そんな中見つけたのがこの針葉樹の倒木でした。
樹皮がめくれかかっている上に“かなりいい感じ”がした…アキタクロナガとか出てきそう。

期待を込めてそっと剥がしてみると……










「あああーー居た!!!!(1頭目)」

「あああーーー居た!!!!!(2頭目)」








そこにいたのは紛れもなく今回の目標… マイマイカブリでした。
1頭目のこの個体は少し分かりにくいですが、



2頭目は…





見たことのない綺麗な紫色をしていました…
そうです。これこそが今回の目標種!!

コアオマイマイカブリ
Damaster blaptoides babaianus Ishikawa, 1984


です!
長野県には北からコアオ、ミヤマ、ヒメと3つのマイマイカブリが生息しています。
私はヒメとミヤマしか採ったことが無いので今回はコアオを狙ってみよう!ということで長野県北部の河川敷にやって来たのでした。
これが自己採集マイマイカブリの2つ目の亜種になりました。

ただ単にコアオマイマイカブリを採るだけならここまで北上する必要は無かったのですが、南限に近い地域だと青い個体ばかりになってしまうようで…ミヤママイマイカブリと区別がつかないなんて微妙な感じになってしまうのも嫌だったので、「ここならさすがに紫色の個体も出るだろう」と思った所まで来たのです(汗)

そして予想通り、紫色の個体が採れました。
本当に良かった…

頑張ってここまで来た甲斐がありました…




ようやく気持ち的に落ち着いたので改めて自分の足元を見てみる… なんだこれ、ひどいな(笑)

もう正直だいぶキツイのだけど…この後どうしようかな。
すぐにでも暖かい場所に避難したい気分だった(汗)

こんなに雪が積もった場所での採集は初めて、な上にこの装備なので…足の方がそろそろヤバいのではと____

動いてないと凍るからとにかく先へ進もうか(笑)




ぱっと見普通に雪が積もってるように見えても下が急斜面になっていて…油断すると膝の上まで余裕でハマってしまう(汗)

ていうか冷たい!!!

写真撮ってる場合じゃねえよ!!冷たい!!ほんと冷たい!!!!




とにかく動き続けていないと本当にMy leg is ice.になりかねないので、追加を求めてさらに先へ進む事に(汗)




およそ1時間後。
いくつかハズレの立ち枯れを引きましたが…ここでようやく良さげな枯れ木を見つけました。
ちょっと削った後の写真になってますが、元から結構削られた感じはあったような…?

微妙に採集者の痕跡があるような気がしています。
まずこんな雪深いところに誰かの足跡が残ってる時点で不自然なのですが、その足跡が自分が行こうとした所と同じ立ち枯れに向かって続いていたりしていたので…(汗)

で、写真の枯れ木を削ってみた所コアオマイマイカブリ…の断片が(汗)
クラッシュしたかと思いましたが、材の中でバラバラになっていた死亡個体でした。
この木は出る!と信じてさらに崩していくと…







コアオマイマイカブリ
Damaster blaptoides babaianus Ishikawa, 1984

かなりの小型個体(31mm)な上に、右の上翅が歪んでしまっている奇形個体ですが…
前胸は綺麗で明るい青色に紫がわずかに混じる感じで、上翅は緑色を帯びているとても綺麗な個体でした。
しかし、この材からこれ以上の追加は得られませんでした…




斜面を徘徊したり、道らしき場所を歩いたり。
見つけた立ち枯れや倒木を調べますが、なかなか出ません。

斜面には湿度の高い粘土質の崖も多くて、掘ってみたら案の定シナノアオオサが出ました。
この地域のアオオサはシナノなのですが、クロオサムシの亜種は別になっていて…エチゴクロオサムシになります。
なのでそちらに出てきてもらいたかったのですが…ダメでした。

他にはスジアオゴミムシやクロ?マルハナバチなど初めて掘り出した虫もいました。
あと、なぜかルイスアシナガオトシブミが掘りで出てきました(汗)



そんな感じで色々やっていましたが、次第に川辺にヤナギの木が見えてきたので降りてそちらで探してみる事に。




20171225212015815.jpeg
人の足跡は無い、白銀の世界。
余裕でかまくらが作れそうなレベルの雪が積もっている。

改めて考えるとこんなにすごい雪が積もってる所なんてほとんど来たことないよな…?
普通はもっと雪遊びを楽しむ所なんじゃないのか?


一人でか?

クリスマスイブに、一人でか!?(笑)



「ああああ、もっと熱くなれよおおお!!!!」

ちょっとだけヤケになって雪の中を走ってみると一瞬で膝の上までハマって抜け出せなくなった(笑)




「どれだけ雪に足を沈めないで歩けるか」という謎の挑戦が開始されたりしながら…ヤナギの立ち枯れを探していく。
ここまではさすがに先に来た採集者も手をつけていなかったようで、良さげな立ち枯れは何本か見つかったのですが、どこも虫が出てこない…
というか今日、材からはゴミムシ一匹すら出て来てないような気が(汗)

ここって結構薄いポイントだったのかなぁ…




時刻は15:30を回った頃…早くも日が傾いて来ました。

一応、「紫色のコアオマイマイカブリの採集」という目的は達成されているのでここで引き返して最後にもう一度ウバタマムシを狙いに松の倒木へ向かうことにしました。

ここまででコアオマイマイカブリは3頭。
あまり採集数にはこだわりたくないのですが…せっかく遠くまで採りに来たのでもう少し多くの個体を、色んな色の個体を見てみたかったという思いも少しある。ような気がする。

いやいや、よく考えてみろよ?

昨シーズンまでずっとやってきた埼玉の河川敷はもっともっとキツかったはずだ。
1日やって3頭採れたなら自分を褒めていいレベルだっただろうが(汗)


いつからこんなに贅沢になってしまったんだろうな……



これで納得、してるようなしてないような微妙な気持ちの中、松の倒木を目指していると…




樹種はよく分かりませんが、行きではスルーしていたらしい倒木がありました。
この倒木も樹皮下がいい感じになっていて、いかにもアキタクロナガが出てきそうな____











コアオマイマイカブリ
Damaster blaptoides babaianus Ishikawa, 1984

出てきたのは、コアオマイマイカブリでした。
前胸は紫色を帯びた綺麗な青色です。
ほんとにアキタクロナガみたいな越冬の仕方してるなぁ…


さらに倒木の反対側にまわって剥がれかけた樹皮をめくってみると、





コアオマイマイカブリ
Damaster blaptoides babaianus Ishikawa, 1984

さらに2頭追加!
一頭は紫色がかなり強めの個体でした。


そして…







コアオマイマイカブリ
Damaster blaptoides babaianus Ishikawa, 1984

ダメ押しで一頭追加。
この一本の倒木から4頭を採集し、あっという間に合計が7頭となりました。
7頭も採れれば満足です。最後の最後で採れて良かった…

ところで。

ここのマイマイカブリは樹皮下がお好きなのだろうか…?


7頭中6頭は樹皮下からの採集でした。
アキタクロナガの感覚でやるのがこのポイントでの正攻法だったのかもしれません。



マイマイカブリに関しての未練がなくなったところで、ウバタマムシとの決着をつけにいきました。
暗くなり始めるまで粘って材を割りましたが…何も得られず、結局何の感覚も掴めないまま終わってしまいました…

古い文献ではウバタマムシの県内での記録が何故か少なかった(県南部寄りの記録が多かった)ため市内での記録が一切書かれていなかった地元で採るのは厳しいのかと思っていましたが…これだけ北部でもちゃんと生息しているなら地元でだって見つけられるはず!

あのウバタマのエリトラから、完全に枯渇していたタマムシ成分(?)を少しだけ補給して希望をもらいました。
この冬の間に必ず見つけ出してみせる…!!





というわけで…今回の遠征採集は終了です。



こちらが今回採集した…私にとって初めてのコアオマイマイカブリになります。
どの個体も前胸は少なからず紫色を帯びていて…ミヤママイマイカブリでは見られないような色をしています。


(♂前脚跗節裏の比較)
左: ミヤママイマイカブリ
右: コアオマイマイカブリ

こちらも違いがはっきりしていて、コアオの方が明らかに絨毛が発達しています。



なんにせよ目標を達成できて、長野での2017年の採集を綺麗に締め括れて良かったです。
あれだけ雪がキツかった中で7頭ならまあ頑張った方なんじゃないかと思いますが…(汗)

もしまた北部の方で冬場に採集に来ることがあったら…雪のない季節に来たいですね(笑)
後は…ちゃんとした雪対策を準備しておかないと(汗)

今までの私にとって、マイマイカブリという虫は…「大金払って遠征してまで採りに行く虫ではないか」というような微妙な存在だったのですが今回ので少し気が変わったかもしれません。


そのうち行こうかな……キタカブリ。



の前に!!!

もう数日後に埼玉に帰省します。
埼玉に帰ったら例のタマムシへのリベンジと、恒例化してしまっているいつもの場所での採集をやるつもりです。

2017年の採集はまだ終わりません。



お願いだから…最後くらいタマムシに会わせてくださいよ!!??



【結果】 ※色付きは自己初採集

ウバタマムシ(一部)
Chalcophora japonica japonica (Gory, 1840)
0ex.

コアオマイマイカブリ
Damaster blaptoides babaianus Ishikawa, 1984
7exs.


シナノアオオサムシ
Carabus (Ohomopterus) insulicola shinano Ishikawa et Ujiie, 2000
3exs.

スジアオゴミムシ
Haplochlaenius costiger (Chaudoir, 1856)
1ex.

ルイスアシナガオトシブミ
Henicolabus lewisii (Sharp, 1889)
1ex.

ヨツモンカメムシ
Urochela quadrinotata (Reuter, 1881)
1ex.

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