タマムシを待ちわびて

2018.04.22

大学周辺の樹木が葉を出し始め、夜回りで見られる虫も大きく変化しました。
もうそろそろ、タマムシが出始めるはず…

ちょっと気が早いとは思いましたが、タマムシ採集欲にいい加減耐えきれなくなってきたので…今シーズン初のスウィーピング採集に出ることにしました。


あんまり朝早く出過ぎても途中でやる事なくなりそうなので、十分に気温が上がる10時頃にポイントに入れるように出発しました。
今回訪れたのは、以前に下見にも行ったポイントです。(→採集記



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(4/22)
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前回訪れた時との違いは明らかでした。
(偶然にも前回と同じ場所で写真を撮っていた)

草地を飛び交うモンキチョウ、ツマキチョウ、ウスバシロチョウ…
足元からやたら飛び出してくるニワハンミョウ…




ナラノチャイロコガネ
Proagopertha pubicollis (Waterhouse, 1875)

花にも色々な甲虫が訪れていて、そこら中で小さな甲虫が飛び交っている(汗)
飛び交う虫はヨモギハムシ、ヒロゴモクムシ、マルガタゴミムシなどが多かったですが、ナガタマムシっぽいのも見かけた気がした(汗)

別の地域とはいえ、同じ長野県内でも去年はここまででは無かった(汗)
今年の虫の出の早さを改めて実感しました。


我慢できずに周囲のヤナギを掬ってみると、大量のナミテントウ、マルガタゴモクムシ、ヤナギハムシなどが入ってきました。
そして何とここで長竿が折れる(汗)

去年の夏頃に完全に折れたのですが、適当にアルミテープ巻いて短くして無理矢理使っていたものでした…
一応、新しい長竿を頼んでありますが、折れた方もこれはこれでちゃんと直しておきます(汗)

無理にスウィーピングすると先が抜けて枠ごと谷底に落下しかねないので、ここからはよく考えて慎重にスウィーピングを行なっていきます。




道沿いにはタンポポがたくさん咲いていて、もちろんあの虫もいました…!




クロヒメヒラタタマムシ
Anthaxia reticulata shinano Y. Kurosawa, 1963

こちらの地域では、成虫越冬する種以外で基本的に最も早く現れるタマムシがクロヒメヒラタタマムシになるようです。
タマムシの季節の到来を告げる種です。今年も出会えて良かった。

今年は去年訪れていた場所と比べて日当たりのいい場所が多く、タンポポ自体もたくさん生えていたのでより多くの個体に出会うことが出来ました。
ヤマブキの花に来ている個体も多かったです。




カエデの花はもう少しで開きそうな感じでした。
GWは奈良と埼玉に帰る予定を詰め込んでしまったので、花掬いをやりにくるタイミングを作れなかった(汗)
去年と同じ失敗をしてしまいました。今年はGW一週間後だと完全に散ってしまってる気がする…





「カエデの花」と言ってもこのポイントに生えているカエデにはいくつかの種類があるようなので、種によって花や葉の出具合は大きく異なっていました。
上の写真のカエデは花は全くですが葉が完全に出ていたので、ミドリツヤナガを期待してスウィーピングをやってみました。


ある程度掬って網の中を確認すると、何かキラキラしたものがたくさん入っている…


左から
ドロハマキチョッキリ
Byctiscus puberulus puberulus (Motschulsky, 1860)

イタヤハマキチョッキリ
Byctiscus venustus (Pascoe, 1875)

ファウストハマキチョッキリ
Byctiscus fausti Sharp, 1889

一瞬にして3種の美麗ハマキチョッキリが揃いました(汗)
イタヤはやや少なめですが、他の2種は掬えばいくらでも入るという状況で…どれも満足するまで採集できました。

さらにここでかなり黒っぽいチビタマムシが1頭だけ入ってきましたが…黒めのナミガタでした(笑)
ナガタマムシは入らず。

ヤマハンノキなど他の植物もスウィーピングしていきますが、これといってタマムシが入りそうな感じはしない。
(というかそもそもこの時期にヤマハンノキから採れるタマムシなんていないと思うが…)




少し気になったのはこの植物。
分かりづらいですが、よく見ると緑色の花が咲いています。
別の場所ですが、去年は確かこの花からニンフホソハナカミキリを得ています。
見た目はアレですが集虫力はあると思うので、一応掬ってみました。




左: シロトラカミキリ
Paraclytus excultus Bates,1884

右: トゲヒゲトラカミキリ
Demonax transilis Bates, 1884

普通にカミキリ入ってきた(笑)

個人的に好きなシロトラカミキリと、初採集のトゲヒゲトラカミキリでした。
この手のトラカミキリなんかはカエデの花の時期に合わせて出てくるものだと思い込んでいたので驚きました。
他にはヒナルリハナカミキリも入りました。


前回の下見の範囲は見終えたので、ここから折り返して帰りのルートです。




左: ミヤマセセリ
Erynnis montanus (Bremer, 1861)

右: スギタニルリシジミ
Celastrina sugitanii sugitanii (Matsumura, 1919)

道を歩いていると足元を飛び交う蝶も多く目に付きます。
所々水が染み出しているポイントがあって、スギタニルリシジミが多数見つかりました。
こういうポイントにはミヤマカラスアゲハが給水にきたりするんだろうか…

トラフシジミとかコツバメもいましたが…最近は蛾を採り過ぎて展翅板の余裕が無いのでスギタニルリ2頭とキアゲハのみで抑えるつもりでした。


ある時、不意に目の前に着陸して翅を広げた1頭の蝶を見て…迷わず網を被せました。




クジャクチョウ
Inachis io geisha (Stichel, 1908)

紛れもなくそれは…クジャクチョウでした。
基本的に標高高めの山地にいる蝶、みたいなイメージです。
個人的にこれまで全く縁がなくて生まれて初めて野外で生きている姿を見ました。

越冬明けの個体でスレていますが、また一つ昔からの憧れの虫に出会えて感激です。
新成虫が出る頃にまた探しに来たいです。




帰りも、行きでは見落としていた場所でこの花を掬ってみました。




ヤマトシロオビトラカミキリ
Kazuoclytus lautoides (Hayashi, 1950)

なんか違和感のあるシラケトラだなーと思って持って帰って確認したら…初採集種ヤマトシロオビトラカミキリでした。
本種の寄主植物であるモミは前回の下見の際に数本確認しています。
(トゲフタオとかいないかな)

さらに、思いもよらぬ虫が入って来ました…




コボトケヒゲナガコバネカミキリ
Glaphyra (Glaphyra) kobotokensis (Ohbayashi, 1936)

「グラフィラ!?」

なんだ、もう出てきてるのか…というかグラフィラも別にカエデじゃなくていいのか(汗)
実際去年はミズナラスウィーピングでオニヒゲナガコバネ採った訳だし、カエデ掬いが出来ないだけで諦めてはいけない虫なのですね。



この日の採集はこれで終了。
タマムシはクロヒメヒラタとナミガタチビのみでしたが、綺麗なチョッキリとカミキリ、クジャクチョウなど色々採れて充実した採集になりました。

去年散々通った「谷」と比較して、こっちの谷は日当たりのいい場所が多く、タマムシ的にいい樹種も豊富なので…完全に上位互換に思えます(笑)
この地が本気を出すのはまだまだこれからのはず。

今後がとても楽しみになりました!


【結果】 ※色付きは自己初採集

クロヒメヒラタタマムシ
Anthaxia reticulata shinano Y. Kurosawa, 1963
5exs.

アカガネチビタマムシ
Trachys tsushimae Obenberger, 1922
1ex.

マルガタゴモクムシ
Harpalus bungii Chaudoir, 1844
3exs.


ヤホシゴミムシ
Lebidia octoguttata Morawitz, 1862
1ex.

ナミテントウ
Harmonia axyridis (Pallas, 1773)
1ex.

未同定テントウムシ
2exs.

ウンモンテントウ
Anatis halonis Lewis, 1896
1ex.

ウスキホシテントウ
Oenopia (Synharmonia) hirayamai (Yuasa, 1963)
1ex.

シロジュウシホシテントウ
Calvia (Anisocadvia) quatuordecimguttata (Linnaeus, 1758)
2exs.

コボトケヒゲナガコバネカミキリ
Glaphyra (Glaphyra) kobotokensis (Ohbayashi, 1936)
1ex.


シロトラカミキリ
Paraclytus excultus Bates,1884
2exs.

ヤマトシロオビトラカミキリ
Kazuoclytus lautoides (Hayashi, 1950)
1ex.

トゲヒゲトラカミキリ
Demonax transilis Bates, 1884
2exs.


ミヤマルリハナカミキリ
Kanekoa azumensis (Matsushita et Tamanuki, 1942)
1ex.

ヒナルリハナカミキリ
Dinoptera minuta (Gebler, 1832)
1ex.

ドロハマキチョッキリ
Byctiscus puberulus puberulus (Motschulsky, 1860)
11exs.

イタヤハマキチョッキリ
Byctiscus venustus (Pascoe, 1875)
4exs.

ファウストハマキチョッキリ
Byctiscus fausti Sharp, 1889
4exs.

コブルリオトシブミ
Euops (Kobusynaptops) pustulosus Sharp, 1889
1ex.

ナラノチャイロコガネ
Proagopertha pubicollis (Waterhouse, 1875)
1ex.

カメノコハムシ
Cassida nebulosa Linnaeus, 1758
1ex.

コガタカメノコハムシ
Cassida vespertina Boheman, 1862
1ex.


クビカクシナガクチキ
Scotodes niponicus Lewis, 1895
1ex.

キアゲハ
Papilio machaon hippocrates C. et R.Felder, 1864
1ex.

スギタニルリシジミ
Celastrina sugitanii sugitanii (Matsumura, 1919)
2exs.
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