2018GW 奈良遠征1日目: 星が3つ足りなくてもいい!



去年の夏、奈良に帰った時。私は…



こんな事を言っていた。

父「じゃあGW帰ってくるか?」

そんな父の提案により、GW奈良採集遠征が実現する事になったのです。
期間は4/28〜30の3日間。普段の帰省より日数が少ないためかなりキツキツのスケジュールになります(汗)





2018.04.27(0日目)

実習を終えて帰宅後、準備を整えたら駅へ向かいます。
駅から電車で別の駅へ向かい、そこから夜行バスに乗り込みます。
(GWなので…近くから乗れるバスを取るのに失敗してしまった)

少し早めに目的地の駅に着いたので、周囲の街灯を見回ることにしました(笑)




左: ゴミムシ
Anisodactylus signatus (Panzer, 1797)

右: キンイロキリガ
Clavipalpula aurariae (Oberthür, 1880)



あまり虫は多くなかったけど、綺麗なキンイロキリガに出会えました。
初めて訪れる場所で出会った蛾の名前が分かることが何故か少し嬉しかった。

時間になり、夜行バスで大阪まで向かいます。
夜行バスに乗るのは人生2回目でした。確か前に乗ったのは_____

隣の人は呼吸が荒い人で、寝るのに苦戦するかと思いましたがあっさり寝れました(笑)
前回の夜行バスもボロ泣きしながらぐっすり寝てたしな…(笑)


こうやって普通に奈良に帰れるって事はとても有り難い事なんだよな…




2018.04.28(1日目)

朝7時ごろに大阪に到着。
今回は乗り換えに苦戦せずにスムーズに実家近くの駅まで帰れました。
駅で父親と合流し、車で初日の目的地へ向かいます。



風景写真を全く撮っていない

普通に撮り忘れました。
向かったのは県北部の山。先日ようやく県内の採集禁止区域を把握できたので、「ここなら間違いなく大丈夫」な場所を選びました。
一応、目標はオオムツボシタマムシ

時期的に少し早いかもしれませんが、各地で活動個体がすでに確認されているようなのできっと採れるはず。

クヌギやコナラの林を求めて山道を登っていきますが…それらしいものが全然見当たらない(汗)
植生図ではクヌギ-アベマキ群集になっていたような気がするんだけど…入る場所を誤ったようです。

周囲にあるのはヤマハンノキやミズキばかりでしたが…一応スウィーピングをやってみました。



「タマムシが全く入らない…」

カシ類とかカエデとか、タマムシが入りそうな樹木のスウィーピングも行なっているのですが全く入る気配無し。
「この時期に奈良に来ればいつもの帰省よりたくさんタマムシが採れるはず!」という話があったからこそ、この奈良遠征が実現しているわけであって…ここで全くタマムシが採れないというのは流石にマズい。
せっかくの休みにわざわざ付き合ってくれている父親のためにも、しっかり奈良に来て良かったと思えるようなタマムシを勝ち取って帰りたい。

場所を変えようにも正直良さげな場所が無さそうで。
スウィーピングも全く手応えが無くて、本格的に焦り始めた11:30頃…ようやく1頭目のタマムシが入りました。


父「それは初めて見るやつか?」

私「なんだろう…初採集かもしれない
(これはシラケナガっていうオチだな…)

一応今シーズンのスウィーピングでのナガタマムシ第一号という事で採集。




入ったのはミズキからでしたが…フジも周囲にそこそこ生えていました。
という事でもちろんん?
(結末は最後)



この後シラケナガを1頭採集し、流石に何も採れなさすぎるので場所を変えることに。




左: ヒシモンナガタマムシ
Agrilus discalis E. Saunders, 1873

右: マルガタチビタマムシ
Trachys inedita E. Saunders, 1873

移動しつつ良さげな木を掬っていく。
エノキからヒシモンナガ、ムクノキからはナミガタチビとマルガタチビタマムシが採れました。
マルガタチビタマムシを樹皮めくり以外で採集したのは初めてでした。


近くの田んぼで小さめのトンボがたくさん飛んでいたので気になって見にいくと…






ハラビロトンボ
Lyriothemis pachygastra (Selys, 1878)

初めて見る、ハラビロトンボでした。
幼い頃から見てみたいと思っていた虫の一つで結構感動した…
めっちゃテネラルだったけど♀1頭だけ採集しておきました。
シオヤトンボも沢山飛んでいたので1ペア採集。

アラカシを掬っていると、今回の遠征で絶対に採りたいと思っていたあの虫が入ってくれました。





ミツボシナガタマムシ
Agrilus trinotatus E. Saunders, 1873

初採集のミツボシナガタマムシ。
カシ類を寄主とするタマムシなので、西南日本に多いそう。
関東でも海辺の地域や埼玉でも…近場で一応採れる種のようですが、関西に比べれば照葉樹林が少ないので場所は限定されるみたい。
だからこそ奈良で採っておきたかった…これで奈良に来た甲斐があったと少しは思える(汗)

このミツボシタマムシを新たに加えて…自己採集タマムシが60種に到達しました。


一度スタート地点まで戻って、今度は別の道から山に入って行ったのですが…こっちはクヌギやコナラも多かった。
こっちが正解だったらしい(汗)




オグマサナエ
Trigomphus ogumai Asahina, 1949

池の周りを飛んでいたトンボも採集。今回はトンボも結構採っている…
あまり縁のないサナエトンボの仲間で、無論初採集でした(笑)





ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983

クヌギを掬ったらヒメアサギナガタマムシが入ってくれました。
大図鑑では★★★(やや少ない)となっており、クヌギは散々掬ってるのに出会ったのはこれで人生2頭目。これは嬉しいです。
アサギナガに似てると思ってましたが、実はそうでもない(汗)

前胸背の側縁部が強く平圧され、金色に輝くのが特徴です。
あとは…今まで出会った個体は全て、アサギナガよりデカイです(笑)




山の方へ入っていきます。
倒木や落ち枝が割と目立ち、ナラ枯れも多く見られました。




ナラ枯れ関係ないかもしれませんが、結構デカいコナラが倒れていました。
これがクヌギだったらオオムツボシも飛んで来そうだけど…

ホソアシナガタマムシは沢山飛来していました。
倒木に近づくとフワフワと付近を飛んでいる虫が視界に入って来たのでネットイン。

網の中に入っていたのは思いもよらない虫でした…




「クラルア!」

和名忘れたけど…(笑)
これは確か「クラルア」と呼ばれる関西ならではのカミキリムシだったはず(汗)
カエデの花掬いとかで採る物だと思い込んでいたので、既にカエデが散っている今回の遠征では出会えないと思っていましたが…ラッキーでした。

この時はラッキーなどと思っていましたが…




すぐ近くに咲いていたウワミズザクラ?のスウィーピングでもあっさり入った(笑)




クビアカモモブトホソカミキリ
Kurarua rhopalophoroides Hayashi, 1951

林内には本種の寄主植物であるソヨゴの倒木も多くあり、多数の個体が材周辺をフワフワと飛び回っていた…
もちろんソヨゴの材にはアオマダラの脱出孔が空いていることが多かった(汗)

ここではごく普通の虫だということがよく分かりました(笑)




ミドリカミキリ
Chloridolum viride (Thomson, 1864)

その後もコナラ倒木の周辺でスウィーピングをしつつ、タマムシが何か飛んでこないか見ていましたが…特に何も来ませんでした…




林内には所々開けている場所があって、スウィーピングにはもってこいな日当たり抜群の木がいくつもありました。
立派なクヌギ立ち枯れも何本かありましたがオオムツボシの姿は見当たらなかった。





オオウグイスナガタマムシ
Agrilus asiaticus igai Y. Kurosawa, 1963

クヌギのスウィーピングでオオウグイスナガタマムシが入りました。
埼玉の河川敷以外で採集するのは初めてです。
右の個体のような色(前胸赤or金、上翅黒)が基本のように思いますが、ここでは左のような全体が金色の個体が得られました。

他にはウグイスナガタマムシやアオグロナガタマムシなど…
普通種ですが、奈良で採るのは初めてなのでしっかりキープです。



2018051522421402f.jpeg
ちなみに、この日からは新しく導入した8.9m竿を使い始めました。
(前使ってた7m竿はまだ使えますが予備って事で保管)
取り回しに苦労するけど、掬える枝がかなり多くなったおかげかナガタマムシもそれなりに調子よく採れてくれています。

ただ…ハラビロトンボを採ろうと無茶して初日で少し亀裂が入った(汗)
マジでそろそろ学習しよう…




左: ダンダラチビタマムシ
Trachys variolaris E. Saunders, 1873

右: ハイイロヒラタチビタマムシ
Habroloma (Parahabroloma) griseonigrum (E. Saunders, 1873)

その後はクヌギからダンダラチビ、アラカシからハイイロヒラタチビを得ましたがそれ以上タマムシに出会う事はなく、時間切れとなりました。

この後はいつも通り、夜に南部の父親の実家に帰りました。
今回は南部の父親の実家まで、全て運転しました。後半は目が疲れて本当にヤバかった(汗)
ほんとはライトのポイントも見ていきたかったんだけど、それどころではなかった…

2日目へ続きます。





結局この日は目標のオオムツボシどころかタダムツボシさえ見かけませんでした。
良さげな環境はいくらでもあったんだけど、本当に縁がないのか…?

とりあえずミツボシナガタマが採れてくれただけでも、初採集0にならなかっただけ良かった。
そしてこの後、全く想定外のサプライズもあったわけで…



【結果】 ※色付きは自己初採集

2018.04.27

ゴミムシ
Anisodactylus signatus (Panzer, 1797)
1ex.

キンイロキリガ
Clavipalpula aurariae (Oberthür, 1880)
1ex.



2018.04.28

ヒシモンナガタマムシ
Agrilus discalis E. Saunders, 1873
2exs.

ウグイスナガタマムシ
Agrilus tempestivus Lewis, 1893
1ex.

オオウグイスナガタマムシ
Agrilus asiaticus igai Y. Kurosawa, 1963
2exs.

ホソアシナガタマムシ
Agrilus ribbei Kiesenwetter, 1879
1ex.

ミツボシナガタマムシ
Agrilus trinotatus E. Saunders, 1873
1ex.


ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983
1ex.

アオグロナガタマムシ
Agrilus viridiobscurus E. Saunders, 1873
2exs.

シラケナガタマムシ
Agrilus pilosovittatus E. Saunders, 1873
1ex.

ニセシラケナガタマムシ
Agrilus masumotoi Ohmomo, 2011
1ex.


マルガタチビタマムシ
Trachys inedita E. Saunders, 1873
2exs.

ダンダラチビタマムシ
Trachys variolaris E. Saunders, 1873
2exs.

ナミガタチビタマムシ
Trachys griseofasciata E. Saunders, 1873
1ex.

ハイイロヒラタチビタマムシ
Habroloma (Parahabroloma) griseonigrum (E. Saunders, 1873)
1ex.

アトグロジュウジアトキリゴミムシ
Lebia idae Bates, 1873
1ex.

ホシハネビロアトキリゴミムシ
Lebia calycophora Schmidt-Gobel, 1846
1ex.


アミダテントウ
Amida tricolor (Harold, 1878)
1ex.

ミドリカミキリ
Chloridolum viride (Thomson, 1864)
2exs.

ベニカミキリ
Purpuricenus temminckii (Guerin-Meneville, 1844)
1ex.

クビアカモモブトホソカミキリ
Kurarua rhopalophoroides Hayashi, 1951
6exs.


キスジコガネ
Phyllopertha irregularis Waterhouse, 1875
1ex.

セマダラコガネ
Blitopertha orientalis (Waterhouse, 1875)
1ex.

アカクビナガオトシブミ
Paracentrocorynus nigricollis (Roelofs, 1874)
1ex.


オジロアシナガゾウムシ
Mesalcidodes trifidus (Pascoe, 1870)
1ex.

キイロナガツツハムシ
Smaragdina nipponensis (Chujo, 1951)
1ex.

ヨツモンクロツツハムシ
Cryptocephalus nobilis Kraatz, 1879
1ex.

未同定ハムシダマシ
1ex.


フトヒメツノゴミムシダマシ
Toxicum morii (Masumoto et Akita, 2008)
1ex.

ヒメクチキムシダマシ
Elacatis ocularis Lewis, 1891
1ex.

アカサシガメ
Cydnocoris russatus Stal, 1866
1ex.

オグマサナエ
Trigomphus ogumai Asahina, 1949
1ex.

ハラビロトンボ
Lyriothemis pachygastra (Selys, 1878)
1ex.


シオヤトンボ
Orthetrum japonicum japonicum (Uhler, 1858)
1ex.



【ニセシラケナガタマムシ】

結果欄に書いた通りです。
この日一番最初に採集したナガタマムシが、同定した結果ニセシラケナガタマムシでした。

ニセシラケナガタマムシはシラケナガタマムシに非常によく似たタマムシで、両者は混生しているという。
大図鑑によれば、前胸背の内側隆線、前胸腹板突起、雄の交尾器などで判別できるようですが…これまで交尾器は抜いてこなかったし(何故なのか)、内側隆線や前胸腹板突起も見てもイマイチ分からない個体が多くて悩んでいました。

2015年11月号(537号)の月刊むしに、大図鑑の方には書かれていなかった両者の違いが書かれていて、それが…

前脚の爪の形が違う。

という事でした。
ここは両種で全然違うので、爪さえ見られれば一発で確実に同定できる事を知った(汗)


今回は普通にシラケナガだろうと思って、とりあえず展足後の写真だけ撮ってみたのですがそこで爪の先が見えて初めて違和感に気づきました(汗)


以下、左がシラケナガタマムシ、右がニセシラケナガタマムシです。
(一部日本産タマムシ大図鑑より引用)



まずは前胸背側縁部から。
後角付近にある線が内側隆線、前角付近、側縁部に沿ってある線が側隆線、 だったと思う(汗)
シラケでは内側隆線は前縁部分まで伸びて側隆線と繋がっていますが、ニセシラケでは途切れて不明瞭になっています。

写真の撮り方によってはシラケでも途切れてるように見えたりするのでここだけだと自信もって判断できません…




前胸腹板突起。
シラケは両側がほぼ平行で明瞭に縁取られ、中央がやや窪み、乳白色長毛を密生。
ニセシラケは先端が広く丸まるという…

確かにシラケの方は真ん中が凹んでて先は少し尖り気味な気がするし、
ニセシラケは平らで先も丸い感じはするが…
ここもかなり分かりにくい。

写真もそのうちちゃんと撮り直します(汗)




最後に前脚の爪です。
(今回の個体は雌だったので交尾器の比較は出来ませんでした)

シラケは爪の先が二裂、ニセシラケでは根元から大きく4つに分かれるような形になります。
TG-4で限界まで拡大してもボケボケの写真になってしまいますが… 違っているのがはっきり分かりました。








ニセシラケナガタマムシ
Agrilus masumotoi Ohmomo, 2011

という事で、これがニセシラケナガタマムシになるようです。
大図鑑では寄主植物は未知、珍品度は★★★となっています。
嬉しい初採集種ですが、まさか奈良で採れるとは…(汗)

分布が限られたりする種ではないようなので、同定の難しさがこの種に出会いにくく、気づきにくくさせているのでしょう。

これを読んでいる方の手元にシラケナガタマムシの標本があれば、今後シラケナガタマムシに出会う事があれば。
その中にはもしかするとニセシラケナガタマムシが混じっているかもしれません…

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コメント

非公開コメント

No title

大変ご無沙汰しております。
ミツボシナガ、、、、西南日本に多い種、という事で石川県では「採れないかも?」と諦めていたヤツですが、
2016年に石川県で採集がかないました。一頭だけなので、追加を得たいと思っていますが、その後がありません。
普通に沢山いる種である地域ではウザイ種かも知れませんが、こちらでは命がけで追いかけねばならない種であります。
切ないですね。

No title

ニセシラケの爪は参考になりました。
先ずはシラケを採らねば(+o+)

>>ガラリオさん

なんと…石川県にもいるんですか…
長野県でも狙えるなら狙いたいのですが、近くにカシ類の林が全然ありません(汗)
公園とか神社とかを探すべきなんでしょうかね。

難しそうです…

(ニセシラケの方も見つかると良いですね!)