スウィーピングの答え合わせ


前回の記事の最後の部分で、河川敷採集に関する色々を書ききるつもりだったのですが早く寝たかったのでやめました(笑)

おかげでタイトルの意味が分からない感じになった…(汗)
今回でちゃんとまとめます。





2018.05.04

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今日も一日河川敷での採集を行います。
朝から河川敷へ向かい、過去にも何度か訪れている写真のポイントへ。

今日はスウィーピングの技術を磨くとともに、いつもの場所で新たなタマムシを狙っていきます。




今日の狙いの一つであるフチトリヒメヒラタタマムシは、クヌギのひこばえや新芽を狙うとよく採れるようです。
一応、そんなに遠くない所で記録があるみたいなので…この河川敷にもいるはず。見つけ出してみせる。

写真のような若いクヌギが多いこのエリアは多分かなり期待できるんじゃないかと思いました。
ちなみに…この木からはやはりアサギナガタマムシが入ってきました。




大きめのクヌギの葉からアサギナガタマムシが採れることはやはりありませんでした。
大きい木でも新しい葉っぱに絞って徹底的にスウィーピングすれば採れるんじゃないかと思ったりもするのですが…枝先の葉を丁寧に掬ってみても全く入りませんでした。




オオウグイスナガタマムシ
Agrilus asiaticus igai Y. Kurosawa, 1963

アサギナガと同じくクヌギに付くオオウグイスナガタマムシは、あまり状態の好みが無いらしい…
しっかりスウィーピングすれば、低木でも高木でも同じように採ることができます。




こんな木とか、


こんな木からも入ります。アサギナガタマムシと一緒に入ったりもします。





ダンダラチビタマムシ
Trachys variolaris E. Saunders, 1873

葉のルッキングではダンダラチビタマムシが見つかります。
うまくスウィーピングしないと落ちない事も多いです…
スウィーピングした後の葉についている個体も何度も見かけた(汗)




ムネアカナガタマムシ
Agrilus imitans Lewis, 1893

エノキや、その近くのクヌギのスウィーピングではムネアカナガタマムシが何頭も入りました。
スウィーピングではあまり採れない虫のイメージでしたが、このポイントでは多くの個体に出会えました。




ホソアシナガタマムシ
Agrilus ribbei Kiesenwetter, 1879

クヌギのスウィーピングでホソアシナガタマムシが入りました。
本種は伐採木の常連ですが…実は埼玉のこの河川敷では初めての遭遇になります。
これまでスウィーピングではもちろん採れなかったし、去年の伐採木にも全く飛来していなかったのでこの河川敷には完全にいないものだと思っていた…

まさか何度も通ってる場所から採れるとは(汗)


高木のスウィーピングをある程度やったら、低木を探して藪こぎしていきます。
藪から飛び出しているクヌギの若木を目指します。

若木を掬えばやはりアサギナガが入る。アサギナガが入る。オオウグイスも入る。
掬っては藪をこいで進み、進み…



こんな木を掬っていた時の事でした。
網の中にタマムシの姿を確認したのですが、どうもナガタマムシでは無いっぽい。

活発に動き回るそのタマムシをしっかり掴み取り、確信する。




「うわああ…マジか、本当に採れた(汗)」




フチトリヒメヒラタタマムシ
Anthaxia (Haplanthaxia) rubromarginata Miwa et Chûjô, 1935


いつかきっと採れると信じてはいたけど、まさか今日採れてしまうとは(汗)
ちゃんとセオリー通りって感じの木から採れた…しっかり狙って採ることができて本当に嬉しいです。
また一つ、河川敷で見られるタマムシが増えました。





採集したフチトリヒメヒラタは♂。頭部はで前胸側縁は黄色からオレンジ、腹部側縁部は
4色の美しいグラデーションに縁取られた、小さいけど非常に美しいタマムシです。
(♀はこんなグラデーションにはならない??)


とりあえずこれで今日の大きな目標の一つは達成されました。
この後は周辺でスウィーピングを続けたものの特に成果はなく(河川敷では初採集になるシラケトラカミキリが採れたくらい)、場所を変えることに。




昨日全然ダメだった林縁ポイントに戻ってきました。
昼間なら何か変わるかなと思って。

スウィーピングを始める前に気になったことがあって…




足元にたくさんいる…


これ、ひょっとして全部…!?




ネギオオアラメハムシ
Galeruca extensa Motschulsky, 1861

結構たくさんいる虫だったんだ…ていうかこれは大量発生とかそんなレベルなんじゃ無いのか!?
地面を徘徊する個体が無数に見つかる状況で、足の踏み場に困るほど。いくらなんでも多すぎる(笑)
とりあえず4頭だけ採集しておきました。


再びスウィーピングを開始。
昨日全然ダメだったエノキは今日もやっぱりダメだった(汗)
エノキもエノキで、木によって何となく雰囲気が異なるような気がしています。
食害や虫こぶがすごく多かったり、葉っぱがかなり小さかったり。
↑みたいな木ではあんまりタマムシが入らないような気もしている…




日当たりのいいクヌギの低木。
葉上にはヒシモンナガタマムシが止まっていた(逃げられた)
他、ホソアシナガタマムシも止まっていました(こちらは回収できた)

低木のスウィーピングではオオウグイスナガタマムシがちゃんと入りました。
ただし高木のスウィーピングは昨日と大差なかった…(汗)


スウィーピングの感覚が掴めそうで掴めない…
再び昨日のアサギナガポイントに戻り、色々な樹木をスウィーピングしていると、エノキの周辺を飛んでいるアカボシゴマダラを見つけました。
夏型のようで、採ろうと頑張ったのですがやはり素早く一瞬で逃げられてしまいます(汗)

それからしばらくして、再び現れた個体が幸運にも近くのクヌギ低木に止まってくれたので網を近づけて…!?




ゴマダラチョウ 日本本土亜種
Hestina persimilis japonica (C. Felder et R. Felder, 1862)

「ゴマダラじゃん!!」

それはこの河川敷では初めて見る…ゴマダラチョウでした。
こちらも幼虫がエノキを食べる蝶で、外来のアカボシゴマダラとの種間競争で数を減らすことが心配される虫。
アカボシゴマダラだらけになってしまったこの河川敷でも、力強く生き残っていてくれたことに感動しました。

よく見ると数本のエノキの周辺に限って何頭かゴマダラチョウが飛び回っていました。

そういえばこのポイントでもクズからマメチビタマムシが1頭採れました…
普通にいたんだね(笑)


この後はまた大きく場所を変えて。


ちょっと時期が早いかもしれませんが…もう一つの目標であるホソツツタマムシを求めて、この種が付くという「カモジグサ」を夕方までずっと探し回っていました。
結果、良さげなカモジグサ群落を発見できたので夏に帰ってきた時にまた確認しにきたいところ。

この日の採集はこれで終わりにしました。
ダメ元だったフチトリヒメヒラタが無事に採れて、スウィーピングの方でも様々なナガタマムシが採れて大変満足な河川敷採集でした。



【結果】 ※色付きは自己初採集

フチトリヒメヒラタタマムシ
Anthaxia (Haplanthaxia) rubromarginata Miwa et Chûjô, 1935
1ex.


ムネアカナガタマムシ
Agrilus imitans Lewis, 1893
3exs.

ウグイスナガタマムシ
Agrilus tempestivus Lewis, 1893
1ex.

オオウグイスナガタマムシ
Agrilus asiaticus igai Y. Kurosawa, 1963
7exs.

ホソアシナガタマムシ
Agrilus ribbei Kiesenwetter, 1879
2exs.

アサギナガタマムシ
Agrilus moerens E. Saunders, 1873
4exs.

アオグロナガタマムシ
Agrilus viridiobscurus E. Saunders, 1873
4exs.

クワナガタマムシ
Agrilus komareki Obenberger, 1925
1ex.

マメチビタマムシ
Trachys reitteri Obenberger, 1930
1ex.

ダンダラチビタマムシ
Trachys variolaris E. Saunders, 1873
2exs.

シナノクロフカミキリ
Asaperda agapanthina Bates, 1973
1ex.

エグリトラカミキリ
Chlorophorus japonicus (Chevrolat, 1863)
1ex.

シラケトラカミキリ
Clytus melaenus Bates, 1884
1ex.

ムーアシロホシテントウ
Calvia (Eocaria) muiri (Timberlake, 1943)
1ex.

ヒメカメノコテントウ
Propylea japonica (Thunberg, 1781)
1ex.

モンクチビルテントウ
Platynaspidius maculosus (Weise, 1910)
1ex.


ネギオオアラメハムシ
Galeruca extensa Motschulsky, 1861
4exs.

クロボシツツハムシ
Cryptocephalus signaticeps Baly, 1873
1ex.

ゴマダラチョウ 日本本土亜種
Hestina persimilis japonica (C. Felder et R. Felder, 1862)
1ex.

アシブトチズモンアオシャク
Agathia visenda curvifiniens Prout, 1917
1ex.





【同じ場所だから分かること】

河川敷採集をやり始めてから今年で5年目になります。
毎年毎年同じ場所へ行って、同じような虫を採るだけ?
採集記としては面白みのないものになっているかもしれません。
また河川敷行ってんのかコイツ、と。

この数年間の河川敷採集、本当に同じことの繰り返しだったと思いますか?



20140503184235154.jpg
2014年、私はウグイスナガ2頭とダンダラチビ3頭を採集して大満足で帰宅した。
(→採集記



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2015年、私はムネアカナガ、クワナガ、アオグロの初採集3種を含む9種類のタマムシを採集して大満足で帰宅した。
(→採集記



20160824232054d8c.jpeg
2016年、私はオオウグイスナガ1頭を初採集して大満足で帰宅した。
(→採集記



20170512203826293.jpg
2017年、私は初採集のシラケナガとベニナガ2種を含む11種のタマムシを採集し、気を失いそうになりながら帰宅した。
(→採集記



そして今年、私はフチトリヒメヒラタを含む10種のタマムシを採集し、大満足で帰宅した。

どの年も行ってる時期や場所、やってる事は大して変わっていないけど…必ず新しいタマムシが採れている。
ある年は僅かにしか採れなかった種や場所でも、今ではちゃんと採れるようになっていたり、新しいタマムシを見つける事が出来たり。
種数もそうですが採集せずスルーした個体とかも含めて考えると、年々出会えるタマムシの数は増えている傾向にあります。
2016年はちょっとアレですが…(笑)

この河川敷採集には自分自身、一年間でどれくらいタマムシが採れるようになったか確認するという意味があるんです。


同じ場所で採集するからこそ、

・ここでは去年はたくさん採れたけど今年は採れない
・去年は採れなかった虫が新たに採れた
・全体として去年より採れたor採れなかった

というような変化が得られるのです。
その変化をもたらしているものが何なのか考える機会を与えてもらえます。
天気や時間帯、採集道具の変化、そして…技術の問題。

去年と比較して網がかなり変わったので、今後長野の方の新しいフィールドでタマムシ採集をやっていくにあたって、もう一度タマムシのスウィーピングを見つめ直す必要があると感じていました。



【タマムシのスウィーピング採集】

今回の採集で、これまでに引っかかっていたタマムシ採集に関わる色々な問題を解決する鍵が得られたような気がします。

それは…



自分のスウィーピングが、



死ぬほどヘタクソだったということ(笑)

前日にスウィーピングをする時に「秀、優、良、可、不可」と頭の中で自己評価した事があったのですが…

ほぼ不可だった。
タマムシスウィーピング落単確定だった。
とてもタマムシ屋さんに見せられるものではないと確信した(笑)


今年から9mの玉の柄を導入して、高所のスウィーピングを行うようになったのですがこれがとんでもなくヘタクソで(汗)
枝先に枠が引っかかってほとんど掬えてなかったり、枝先にしっかり被せようとするあまり枠が下を向くような形になってしまっていたりしている事が非常に多かったのです。

これじゃあいくら頑張っても採れないものは採れない。
高い所を掬おうとすればするほどスウィーピングは下手になっていく。


一方、低い所のスウィーピングはどうなのかというと…大して変わらない。
枠が大きくなった分、周囲の枝に引っかかって十分に深くまで葉を網に収めきれずほとんど掬えないなんて事も。
低い位置のスウィーピングでは網の口をやや上向きにして、下で受ける形で掬う事が多かったのですが、伸びる枝の形に合わせて調整した方がよく採れるように感じました。

クワとか上向きに伸びる枝には上からサッと被せて、瞬時に口の向きを調節して網の中に落とし、すぐに引くようなやり方でやるとかなり効果がありました。
下で受ける形だと上に飛んで逃げられてしまっている可能性も高いですしね…


高度に関係なく、網を伸ばしたままスウィーピングをダラダラやっていると掬っている最中に逃げられる事も多いと思われたので、今回の採集では網の口を開く(葉を掬う)時間を極力短くして、基本的にネットを折り返して口を塞ぐ事を心がけました。
そのおかげか、今回は今までで一番ナガタマムシがスウィーピングで多く採れた河川敷採集になった気がします。


高い所から掬おうとすると、網の影が下の部分にある葉を横切ってしまい、触れていなくてもタマムシに逃げられている可能性もありそうです。(網の外側にナガタマムシが付いている事が結構あった)
高さよりも自分のスウィーピング能力との兼ね合いを考えて、いい感じの枝は優先して掬うように心がけた方がいいかなと思いました。

よく考えてから掬う枝先を決めて、フワッと網を被せて、軽く揺すってサッと引く。…みたいな感じでしょうか。
飛んで逃げられる事を恐れて網を一気に被せようとするとどこかの枝に引っかかって、ただ枝先を揺らすだけで終わってしまいます(典型的な不可パターンでした)


あとは時間帯の問題。

夕方のスウィーピングが良い…?とか言ってた時期がありました。
夕方になると各種のタマムシの活動が鈍ってくるので、スウィーピングが多少ヘタクソでも逃げられにくくなるのではないかと(笑)
それと、これまで夕方のスウィーピングで成果を上げた場所のほとんどが低い位置です。
低い位置のスウィーピングなら力加減もしやすいし、多少荒々しくやっても周りのタマムシに逃げられにくく、結果的によく採れているように感じられたのかもしれません。

今回は夕方のスウィーピングで高木を掬いましたが全然ダメで…結局掬い方や力加減の問題が大きいように感じます。
夕方と曇りの高木のスウィーピングは力が強過ぎて周りの個体を吹っ飛ばし続けているか、弱過ぎて落ちてないかだと思う(汗)


これは今回の採集とはあまり関係なく後々分かってくる事ですが…朝、日が出てからの割と早い時間帯から午前中にかけて(〜10時くらいまで?)では手が届くような日当たりのいい低い位置の植物の葉にナガタマムシが止まっている事が何故か多いです。
寄主植物であるかどうかに関わらず。

動きも鈍くて簡単に採集できますし、とんでもないものが混じっていたりするので見逃せません…



結局のところ…今の私は、

昼間のスウィーピング(特に高木)ではほとんどのタマムシに逃げられていて、
夕方や曇りの日の高木スウィーピングは全く出来ていない。


という事だと思うのです。

曇りの日のルイスナカボソ(やや高所)に完敗。
高所のコクロナガ(石川)が全く採れなかったのに奈良では採れた(やや低所だった)
高所からエサキキンヘリが思い通りに採れなかった、夕方の低木で採れた。
2016年の河川敷採集の不調…(夕方かつ高木ばかり掬っていた)


これまで感じていたスウィーピングの疑問の数々はこれでほとんど納得ができてしまうのです。


夕方や低木でも、むしろその方がタマムシ採れる!?と去年まで思っていましたが、たぶん逆なんです(笑)
私が出会えているタマムシは、ほんの僅かな部分に過ぎなかったということ。


昼間に一体どれほどのタマムシに逃げられているのか…想像もつきませんが、昼間にちゃんとタマムシが採れるようになれば、それがきっとスウィーピングの正解という事になるのだと思います。

言葉が足りなさすぎて意味不明になってるかもしれませんが…
自分の中では目指すべきスウィーピングの形が定まりつつあります。

そんなわけで、今年もまだまだスウィーピング頑張ります!!!

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