やっとナガタマムシの季節


2018.05.19

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もうタマムシのスウィーピング採集には十分な時期になったはず。
本格的にスウィーピングをやるべく、今週もまたA谷へ向かいます。
8:30頃には谷の入り口に到着して採集スタート!




クズノチビタマムシ
Trachys auricollis E. Saunders, 1873

まずは前回シロオビナカボソタマムシがたくさん見られた場所でクズノチビタマムシを採集。
南信では初採集なのでこれもしっかり採っておきます。




クズノチビタマムシを取っていた時に、ふと目の前にあるこの植物が気になりました。
葉が出たばかりの頃はエゾエノキの幼木だと思っていたけど…全然違う。

これ…もしかしてコウゾか?

ザラついた表面、短い葉柄、それっぽい実の跡。
そして。


葉っぱについてるチビタマムシ。

って…





コウゾチビタマムシ
Trachys broussonetiae Y. Kurosawa, 1985

「コウゾじゃねーか!!!」



コウゾチビタマムシを見つけた事によりこの木はコウゾ(ヒメコウゾ?)と判明。
今まで結構見落としていた事、案外たくさん生えていた事、コウゾチビタマムシもそこそこいる事が分かった(笑)
やっぱ奈良で初採集決めといて良かったな…(笑)

コウゾチビタマムシは非常に活発なタマムシで、指でつまんでいても一瞬の隙をついて飛んで逃げようとします。
(普通は擬死したりするものですが…)
そのせいなのかスウィーピングでも中々上手く採れず、ほとんどルッキングと手掴みで3頭採集したのみとなりました(汗)


コウゾチビタマムシを探している最中に、何故かコウゾの葉に止まっているナガタマムシを見つけました。(時刻8:55)




「なんだこれ」

やけに光沢が強い青色が気になるが…まさか違うよな。
茂みをかき分けてみると…




「バイカウツギじゃねーか!!」

対生で荒い鋸歯、側脈は葉縁に達していない。
ちゃんと予習してきた通りの特徴を持っている…これは間違いない。

てことは、あのナガタマムシは…




アサギナガタマムシ
Agrilus moerens E. Saunders, 1873

「アサギナガじゃねーか!!」

ちょっと綺麗なアサギナガタマムシ♀でした。当然か(笑)
まあアサギナガはアサギナガで、埼玉の河川敷以外の場所では初採集になるので普通に嬉しいです。




バイカウツギに関してはこの日、道沿いで他にも2個体ほど見つけました。
非常に少ないものの無いことはない、という感じか。

このバイカウツギに付くという非常に美しく珍しいタマムシ…ツヤナガタマムシ。
一応シーズンが来たら記録のある某所に狙いに行くつもりではいるけど、地元で出会える可能性はあるのだろうか…


バイカウツギの場所をしっかり記憶した上でコウゾ群落を後にします。




マメチビタマムシ
Trachys reitteri Obenberger, 1930

足元のヤブマメにはマメチビタマムシがいました。
去年も採りましたが、大学構内にヤブマメは多くこのチビタマムシもかなり多いです。
大学構内では間違いなく1番出会うのが簡単なタマムシです(笑)




ソーンダースチビタマムシ
Trachys saundersi Lewis, 1893

ソーンダースチビタマムシも相変わらず良く見つかります。
決まったウツギ類に多いわけではなく、ミツバウツギにいたりバイカウツギにいたり(汗)
今回は写真のみでスルーです。




いつも訪れる谷沿いの道にはこの時期にスウィーピング採集やるには面白い樹種が少ないので、今回は初めて行く別の道を攻めてみる事に。

こちらはコナラが比較的多いです。
掬って入ってきたのは…




ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983

ヒメアサギナガタマムシでした。
自分の中でちょっとレア的なポジションだった本種ですが、奈良、静岡、長野と最近は連続で出会えています。
今年はこのタマムシとなにかと縁があるみたいです…

最初はただのラッキーなどと思っていたが。





(両方ヒメアサギナガタマムシ)
上の写真は♀。アサギナガタマムシ同様♀は全体が青くなるみたい。

どうもこのタマムシ、この谷では個体数が多いようで…スウィーピングするとヒメアサギばかり入ってきました(汗)
普通のアサギナガも何頭か採れました。

アサギナガが高木から採れるってことはまだ葉が成熟(?)していないという事なのかも。
埼玉の河川敷でも最初にアサギナガが高木スウィーピングで採れる時期を挟んで、入れ替わる形でウグイスが採れるようになってたし。
ヒメアサギももしかするとこの時期以外では中々採れない虫だったりするのかもしれない(汗)

採れる時にしっかり採っておきます。




ヒメアサギナガとアサギナガを並べてみました。

やっぱりヒメの方が大きい(笑)
どっちが好きかと聞かれると私は…アサギナガタマムシの方が好きです(深い意味は無い)





吸水に訪れたミヤマカラスアゲハとオナガアゲハ。
所々でこんな光景が見られました。
ミヤカラが群がるような光景はさすがに見られませんでした。
(見られそうな場所の心当たりはあるけど、午前中にはそこまで辿り着けなかった)




左: ヤナギチビタマムシ
Trachys minuta salicis (Lewis, 1892)

右: シラケナガタマムシ
Agrilus pilosovittatus E. Saunders, 1873

ネコヤナギの葉にはヤナギチビタマムシ。フジのスウィーピングではシラケナガタマムシが採れました。
タチヤナギのスウィーピングでナガタマムシが入って、シンリョクかと思っていたのですが持ち帰って確認したらただのウグイスナガタマムシだった…

ウグイスナガタマムシは他に、ヤシャブシのスウィーピングでも入ってきました。


ある程度進むとあんまり葉が出てないオニグルミやハリエンジュ、アブラチャンなどが多くなってきてつまらなくなってきたので引き返しました。




ウスバシロチョウ
Parnassius citrinarius citrinarius Motschulsky, 1866

わりと黒化気味な個体が得られました。
ウスバシロチョウはめちゃくちゃいますが、基本的にこのポイントの個体は白い奴ばかりです。


カエデの花は終わって、今の時期はミズキの花が咲いています。
カミキリが入る事を期待して、見つける度に何回か掬ってるのですがイマイチ。
ヒナルリハナが数頭入るだけなんてことも多いです(汗)
掬い方が悪いのかな…



ヤツボシハナカミキリ
Leptura annularis mimica Bates,1884

この日の花掬いで採ったカミキリはヤツボシハナカミキリ位でした。
初採集です。他にはヒメハナカミキリを1頭採りましたがただのセスジだった…




シラホシナガタマムシ
Agrilus decoloratus Kerremans, 1892

道の端で飛んでいるナガタマムシが視界に入ったので追いかけてネットインしたら…シラホシナガタマムシでした。
倒木や伐採木がないと中々採れないナガタマのイメージなので、これはラッキー。

この辺りは基本的にエゾエノキしか生えてないのでおそらくエゾエノキから発生しているものだと思います。
もう一種のシラホシは果たしてこの地域にも生息しているのだろうか…




今日はハンミョウも何頭か見つかりました。
少し前まではニワハンミョウでしたが、今は完全に入れ替わってハンミョウになっていました。
写真は途中で諦め(笑)、2頭採集。




サカハチチョウ
Araschnia burejana burejana Bremer, 1861

さっきから吸水に訪れている個体とか狙っていたのですが、ことごとく逃げられ…
花に止まっている個体をようやく見つけて1頭採れました。
既採集種ですが、標本作りに失敗した記憶があるので改めて。

改めて見るとすごいカッコいい模様。日本の蝶だよなこれ…(謎の違和感)


さらに歩いていると、突如道路の真ん中から蝶が飛び立ちました。
その蝶は高速で飛び回った後、近くの木の枝先に止まった。

「あれは……!!」

ずっと前から憧れていたあの蝶だ。
このチャンスを逃すわけには…



逃した(泣)

網をゆっくりと枝先に近づけていたのですが、飛び立たれて呆気なく終了。
またダメだった…と諦めそうになった時、この蝶が“テリ張り”をするという話があった事を思い出しました。

一度その場を離れ、しばらく別の場所でスウィーピングして時間をあけた後戻ってみると、その蝶も同じ場所にしっかり戻ってきてくれていました。
地面近くを高速で飛び回る蝶を見ながら、ここぞというタイミングを待つ。

自分の正面に飛び込んで来たところをネットイン!!

今度は上手くいった!







スミナガシ
Dichorragia nesimachus nesiotes Fruhstorfer, 1903

「ああ…これはスミナガシてるわ……」

初採集のスミナガシでした。
随分昔からの憧れの虫の一つで、何度も逃げられて悲しい思いをして来たものです…
翅は真っ黒なようで青みを帯びた渋い美しさを持つ。
流れるような白い紋は名前ともピッタリはまっていてどこか涼しさを感じさせる。

写真だけではどうしても伝わりきらない部分があるので、これは実物を見てもらいたい虫です。
スミナガシという名前にきっと納得できるはず。私はすごく納得出来て感動しました。


この後もスウィーピングは続けていきます。



移動中に畑の跡地を通った時、見覚えのある物体が草地の中から飛び出して来ました。
強風に立ち向かっていてほとんど動かなかったので、簡単にネットインできた…




キバネツノトンボ
Ascalaphus ramburi MacLachlan, 1875

県によってはかなり珍しいというキバネツノトンボですが…この地域では草地でわりと普通に見ることができる虫のようです(汗)
この場所ではこの1頭しか見てないけど、もっと近場で多数見られる場所も知っています。


この後スウィーピングやったり伐採木を見にいったりもしたのですが…ホソアシナガタマムシくらいしか採れず特に目立った成果はなく終了という形になりました。


なんだかんだでナガタマムシも本格的に採れ始めて「いよいよ」という感じです。
A谷での採集はしばらくお休みにして、次回は違う環境を求めてポイント開拓を頑張ることにしました。
いつか来るヤマハンノキチャレンジのために…


【結果】 ※色付きは自己初採集

シラホシナガタマムシ
Agrilus decoloratus Kerremans, 1892
1ex.

ウグイスナガタマムシ
Agrilus tempestivus Lewis, 1893
2exs.

アサギナガタマムシ
Agrilus moerens E. Saunders, 1873
3exs.

ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983
4exs.

シラケナガタマムシ
Agrilus pilosovittatus E. Saunders, 1873
1ex.

クズノチビタマムシ
Trachys auricollis E. Saunders, 1873
1ex.

ヤナギチビタマムシ
Trachys minuta salicis (Lewis, 1892)
2exs.

マメチビタマムシ
Trachys reitteri Obenberger, 1930
1ex.

コウゾチビタマムシ
Trachys broussonetiae Y. Kurosawa, 1985
3exs.

ハンミョウ
Cicindela chinensis japonica Thunberg, 1781
2exs.

ヤツボシハナカミキリ
Leptura annularis mimica Bates,1884
1ex.


カラカネハナカミキリ
Gaurotes (Paragaurotes) doris Bates, 1884
1ex.

セスジヒメハナカミキリ
Pidonia (Cryptopidonia) amentata amentata (Bates,1884)
1ex.

ワモンサビカミキリ
Pterolophia (Hylobrothus) annulata (Chevrolat, 1845)
1ex.


ケブカクロナガハムシ
Hesperomorpha hirsuta (Jacoby, 1885)
1ex.


キバネツノトンボ
Ascalaphus ramburi MacLachlan, 1875
1ex.

ウスバシロチョウ
Parnassius citrinarius citrinarius Motschulsky, 1866
1ex.

スミナガシ
Dichorragia nesimachus nesiotes Fruhstorfer, 1903
1ex.


サカハチチョウ
Araschnia burejana burejana Bremer, 1861
1ex.

トゲアリスアブ
Microdon oitanus Shiraki, 1930
1ex.

未同定アブ
1ex.

マライセヒラクチハバチ
Leptocimbex malaisei Takeuchi, l939
1ex.

ハネモンリンガ
Kerala decipiens (Butler, 1879)
1ex.


ダビドサナエ
Davidius nanus (Selys, 1869)
2exs.
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