トラウマを打ち破れ


2018.06.09

20180629202130598.jpeg
前日が雨か何かで、少し余裕を持って出発。
向かったのは…A谷です。

そろそろいい時期という事で…今回はヤマハンノキを徹底的に攻めに来ました。
流石にエサキキンヘリとかは厳しいと思うけど、やるだけやってみようという事で。

ヤマハンノキにつくタマムシはなにもエサキキンヘリだけでは無いから…


朝の谷ではすさまじい数のエゾハルゼミが鳴いていました。
低い位置で鳴いている個体が非常に多く、スウィーピングでもやたらと入ってくる(汗)
セミは午前中の方が採りやすい的な話がありますが…エゾハルゼミはそれの典型例って感じがしました。





ヤマハンノキ。
前回確認した木の他にも何本か新しく見つけることができて、一本一本気合いを入れて掬っていきます。

葉はまだ濡れていて…網はすぐびしょびしょに(汗)
無理にスウィーピングしてたら竿が本当に折れそうになったので、途中でしばらく休憩して乾かしたりしました(汗)


写真全く撮ってなかったですが、途中で日当たりが良く掬いやすいケヤキを新たに発見…ダイミョウナガタマムシの爆産地でした(笑)
これで今年もダイミョウナガに困る事は無さそうです。

去年…中信で採集したダイミョウナガはみんな金色の毛からなる模様を持っていたのですが、こちらのダイミョウナガには白色の毛からなる模様を持つ個体もたまに混じっていました。
ただの個体変異だろうと思うけど…

ダイミョウナガはいっぱい採れるものの、シロテンナガは全く入らないし、ケヤキナガはもちろん皆無…
ケヤキナガに関してはキャンパス内でもいることを知ってはいるのですが狙うのはなかなか難しそうです(汗)




開始から3時間以上。
スウィーピングしながら歩き続けて…かなり奥まで来ました。
ここに来るのは初めてA谷を訪れた時以来か!?

この辺りも日当たりが良く、ヤマハンノキがあるのではないかと疑っていましたが…やはり何本かありました。
ひとつひとつ掬っていく…ものの、やはり何も入ってはくれない。


とても厳しくて、心が折れそうになる。




タゾエナガとか採れないかなと、クズがいい感じに絡んだ木を見つける度に掬っていました。
この木も中々いい感じ…ってこれヤマハンノキじゃないか(汗)

見落とすところだった…



なんとなく掬って、網の中を見ると怪しげな虫のシルエットが見えた…






「ふわあ…!?!?」

変な声が出た(笑)
シロオビナカボソっていうお決まりのパターンでない事は瞬時に分かった。
明らかに立派で、重みを感じた。自分にとって、とてもとても重い一頭…




ルイスナカボソタマムシ 原名亜種
Coraebus rusticanus rusticanus Lewis, 1893


「ありがとう…俺なんかの前に現れてくれて………」

その場に立ち止まってしばらく余韻に浸っていた…

思い出す、ルイスナカボソタマムシのトラウマ(→採集記
あの時は本当にひどい目にあった(笑)
もう泣いてしまいそうだ…

やっと会えた、やっと網に入ってくれた。
単なる偶然みたいなところもあるけど…この一頭は自分にとっても大きな自信につながりました。


ここから調子を上げていきたいところでしたが…この後は掬えるヤマハンノキもなくなり道路の終点へ。




ミヤマカラスアゲハ
Papilio maackii Ménétriès, 1858

ここの標高は1000mちょいくらいなのですが…まだ綺麗なミヤマカラスアゲハが採れました。
この日見かけたのはこの1頭だけでした。




ここからはもっと山深い場所にあるヤマハンノキを目指して山道を登っていきます。

日当たりのいい場所が少ない山の中でのタマムシ採集は基本的に苦手で、今まで割と避ける傾向にありました。
ただ、今日はルイスナカボソタマムシに背中を押してもらったので頑張ってみようという気になれました(笑)




ヒメリンゴカミキリ
Oberea hebescens Bates,1873

木漏れ日の差し込むアブラチャンの多い場所で飛んでいたヒメリンゴカミキリをネットイン。
この仲間は飛んでる姿を見ても一瞬で「リンゴ系」と分かるので有り難いです(笑)

小さくて急で登りづらい、山道特有の階段を手をつきながら登っていると…かなり悪意のある位置に獣の落し物があった(笑)
手をつきそうになったところをギリギリで回避すると、落し物から離れて逃げていくハネカクシの姿を捉えました。

前々から見てみたかったあの虫だと確信し、迷う事なく素手で取り押さえる(笑)




サビハネカクシ
Ontholestes gracilis (Sharp, 1874)

一見地味ですが、青い斑紋はハンミョウモドキのようで美しい大型ハネカクシです。
見た目はカッコいいハネカクシですが、やっぱり動物の糞によく集まる虫だそうです…(笑)


こういうのがいるので足元にも気を配らなければなりませんが、基本的には上を見てギャップを探しつつ山道を登ります。



こんな小さなギャップでも、日が当たる葉を掬えばナガタマムシは採れます。
(ここではダイミョウナガが1頭採れた)

わりと良さげな倒木とかもあったのですがそちらには何もおらず…

倒木とか立ち枯れに来るタマムシを採集するためにはスウィーピングではなく、こういった登山採集が必要なのをつくづく感じていますが…なかなかいい環境が分からず難しいです。




大きめなギャップがあっても、木がデカすぎるとほとんど掬えない場合もあります…
それでも長竿を限界まで伸ばして、ギリギリ届く位置のクリの葉を掬うとヒメアサギナガタマムシが1頭採れました。

普段よりしんどいスウィーピングと登山で体力は削られますが、日光に晒されないからそれほど暑くないのが救いです。


林内ではまだウツギの花も残っていて、ハチがたくさん訪れていました。
日当たり的に微妙かなと思いつつ掬うと…




ミヤマドウボソカミキリ
Pseudocalamobius montanus Hayashi, 1951

あまりにも長すぎる触角が特徴のミヤマドウボソカミキリが採れました。
普通のドウボソカミキリはもっと黒色になるらしいです。
あんまり花を訪れそうな虫には見えないので、近くにこの虫がつくというコマガタケスグリという植物があったのかもしれません。

無理だろうなとは思ったけど、やっぱり触角はいい感じには伸ばせなかった…




ウスバシロチョウ
Parnassius citrinarius Motschulsky, 1866

6月9日ですが…この谷ではウスバシロチョウはまだちょくちょく見かけます。
標高1200mのこの場所ではついに、羽化直後の個体に出会えました(笑)

ここで気づく。

ここまで来てしまったら、仮にヤマハンノキがあってもエサキキンヘリが出てない可能性が(汗)

無事にヤマハンノキも見つけましたが日当たりも悪く、今の私の網ではほとんど良い枝先が掬えませんでした(汗)
このまま帰ろうかなとも思いましたが、せっかくここまで来たので…




石起こしやって帰ろう(現実逃避)

ここは以前の採集でも訪れてチビゴミムシ狙いの堀りをやった場所です。

この登山でかなり時間を使ってしまったため、多分これから戻ってスウィーピングしてもどうにもならない(汗)
ここでなんか良いゴミムシでも採れればまあ…




思いつきのゴミムシ採集のため、掘りの道具もろくに持っておらず…適当に水辺沿いの礫を掻き分けてみる。





思いのほかあっさりゴミムシが出てきました…
これは多分前回も採集したヒラタゴミムシの何か(汗)

春先では頑張って掘って、たった1頭だけでしたが…今日はこのゴミムシが一番多かった(汗)




ツヤヒラタゴミムシの仲間も出てきました。
テネラルだったみたいで形が崩れてしまい、ちゃんと同定してない…




こちらはよく分からないヒラタゴミムシ…
全然検討もつかないようなゴミムシばかり(汗)

そんな中、出てきた瞬間に分かったゴミムシがいました。





キバナガゴミムシ
Stomis prognathus Bates, 1883

キバナガ!!

長い大顎が特徴的なキバナガゴミムシもこういう環境で採れるゴミムシの一つ(完全に忘れてた)
見てみたかった虫の一つだったので嬉しかったです。これでここまで登った甲斐もあっただろう(笑)

という事でゴミムシ採集も終了。
なんか…冬場にチビゴミムシ採集やるのがすごく馬鹿馬鹿しく思えた。
わざわざ副産物に乏しい時期にやらんでも良いじゃないか。

秋頃、今年は去年より早めに来てみよう…


下りはスウィーピングもろくにせず、さっさと山を出ます…




ルリクワガタの産卵加工痕。

この辺りで採れるという事を教えてもらったので道沿いを探してみたら、立ち枯れや落ち枝にはごく普通にルリクワガタの産卵マークがありました(汗)
自転車で探しに来れるのはありがたいなあ…


道路に戻り、自転車で一気に道を下る。
途中でヤマハンノキ掬ってたら網の底の部分(ゴムのやつ)がぶっ飛んで行方不明になりました…ルイスナカボソタマムシの代償か(汗)

良い感じに直せる技術や素材がなく、今は石とティッシュと切り取った床マットをギチギチに詰めて使ってますが…いつまで持つだろうか(汗)




ブロイニングカミキリ
Saperda ohbayashii Podany, 1963

夕方に活発になるタイプのカミキリなのか、帰り道で2頭採れました。
2頭ともオニグルミを掬っていたときに飛び出してきた個体をネットイン、という形。
普通にスウィーピングで入ってくれないあたり、自分の技術力の無さを痛感する…

そして相変わらずカラカネチビナカボソは採れない。




クロナガタマムシ
Agrilus cyaneoniger E. Saunders, 1873

伐採木溜まり場の近くにある倒木ミズナラのひこばえから、クロナガタマムシの追加を得て本日の採集は終了。

色々脱線したりもしたけど…どうにか今回でルイスナカボソタマムシの採集を成し遂げ、一つのトラウマを打ち破る事が出来ました。
エサキキンヘリなど夢のまた夢…なのか。

正直、まだ少し諦めきれてない部分もある。
エサキキンヘリはともかく、ヤマハンノキにつくもう一つのタマムシとか、オニグルミのアレとか採れるんじゃないかって…

まだもう少しだけ、頑張っても良いかな……?



【結果】 ※色付きは自己初採集

ルイスナカボソタマムシ 原名亜種
Coraebus rusticanus rusticanus Lewis, 1893
1ex.


クロナガタマムシ
Agrilus cyaneoniger E. Saunders, 1873
1ex.

ダイミョウナガタマムシ
Agrilus daimio Obenberger, 1936
2exs.

ホソアシナガタマムシ
Agrilus ribbei Kiesenwetter, 1879
1ex.

ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983
1ex.

キバナガゴミムシ
Stomis prognathus Bates, 1883
1ex.


ホソヒラタゴミムシ
Pristosia aeneola (Bates, 1873)
1ex.

未同定ヒラタゴミムシ
6exs.

未同定ヒラタゴミムシ
1ex.

未同定ツヤヒラタゴミムシ
1ex.

ブロイニングカミキリ
Saperda ohbayashii Podany, 1963
2exs.

ヒメリンゴカミキリ
Oberea hebescens Bates,1873
1ex.

ミヤマドウボソカミキリ
Pseudocalamobius montanus Hayashi, 1951
1ex.

オオヒメハナカミキリ
Pidonia (Pidonia) grallatrix (Bates, 1884)
1ex.


未同定マメゲンゴロウ
1ex.

アシナガオトシブミ
Phialodes rufipennis Roelofs, 1874
1ex.

サビハネカクシ
Ontholestes gracilis (Sharp, 1874)
1ex.


アオハナムグリ
Eucetonia roelofsi (Harold, 1880)
1ex.

ミヤマカラスアゲハ
Papilio maackii Ménétriès, 1858
1ex.

ヒメシジミ
Plebejus argus micrargus (Butler, 1878)
2exs.

アカスジキンカメムシ
Poecilocoris lewisi Distant, 1883
1ex.

エゾハルゼミ
Terpnosia nigricosta (Motschulsky, 1866)
1ex.
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント