中信採集遠征 1日目: 疑惑は確信へ。


2018.06.16

6/16,17の二日間は、いくつかのタマムシを目標にして、私が去年1年を過ごした場所… 中信の方で採集を行いました。
直前になって天気が心配され、雨の中頑張る覚悟も決めていましたが…幸い雨に降られることはありませんでした。

朝9時前頃、目的地の駅に到着。数ヶ月前までお馴染みだった駅も今となっては懐かしいものに…
駅前には無料で利用できるレンタサイクルがあるので、不要な荷物をロッカーに預けて自転車を借ります。

1日目はここから夕方までの間で、行きたいポイントを自転車を駆使して巡っていく作戦です。




まずはここ。
ここは今回の遠征の目標種の一つ、ホソナカボソタマムシの産地の一つとされている場所です。
天気が良くなくて気温も低めなのが不安だけど…時期的には充分狙えるはず。




ホソナカボソタマムシがつく、ナワシロイチゴ。
道沿いに生えているこの植物を地面に伏せたりしながら丁寧にルッキングしていく…(笑)

間違いなくこの辺りのはずなのですが、自分が思っていたよりも遥かにナワシロイチゴは少なかった。
ここじゃなくてもっと立派なナワシロイチゴの群落がある所も知ってるけどそっちじゃダメなのか…?


ルッキングを開始してから15分ほど。
突っ伏して眺めていたナワシロイチゴの低い葉に、 細いタマムシの姿を捉えた…

「あれか!?」





「あれ…だよな!?」





シラケナガタマムシ
Agrilus pilosovittatus E. Saunders, 1873

「誰なんだよお前は…」

何故か地面近くに生えるナワシロイチゴについていたのはシラケナガタマムシでした(汗)
悪意がありすぎる…


とりあえず今日の天気でもナガタマムシが活動してるという事は分かった。
けど、ナワシロイチゴの葉によくついているヒラタチビタマムシが全く見当たらない…

なんとなく葉裏の方を探してみると、見つかりました。





ヒラタチビタマムシ
Habroloma subbicorne (Motschulsky, 1861)

見つかるヒラタチビタマムシは全て葉裏に止まってお休み中でした。
活動するかしないかはタマムシの種類によっても変わってくるみたいです。

シロオビナカボソタマムシが雨の日でも活動しているのを前日に目撃したので、ホソナカボソもいるなら見える位置に出てくる位はしてくれるはず…
ナワシロイチゴをこれでもかというくらいルッキングした後、スウィーピングも行いましたが手応えはなく。


一つ目のナワシロイチゴポイントを後にしようとした時のことでした。




ヒコサンナガタマムシ
Agurilus yamabusi Miwa et Chûjô, 1940

何気なく眺めていた林縁の低木…オニグルミか何かの葉上で ヒコサンナガタマムシを発見しました。
時刻は10:01。まだいける気がする。

周辺の低木をさらに見ていくと、次々にナガタマムシが見つかりました。




ウグイスナガ、アオグロナガが至る所に。




左: ヒコサンナガタマムシ
Agurilus yamabusi Miwa et Chûjô, 1940

右: アオグロナガタマムシ
Agrilus viridiobscurus E. Saunders, 1873

どれも寄主植物とは無関係に思える、 林縁の低木あるいは草本の葉の上。
どうも単なる偶然ではないらしい…

思い出されるつい先日の谷採集。

フキの葉上で採れたツヤナガタマムシ、ツヤケシナガタマムシ。
バイカウツギの葉上で採れたダイミョウナガ。


どちらも午前中の出来事で…夕方に同じ場所を見た時や、昼間のルッキングでは同じようにナガタマムシが採れた事はほとんど無かった。
心当たりはこれ以外にもあった…

ツヤナガを1頭採った時から可能性は感じていた。



午前中のナガタマムシは、明るい林縁部の低い位置に好んで集まるという説。

何故かは分かりませんが、朝の時間帯なら陽の当たる場所、曇ってても明るい場所で寄主植物を無視して複数種のナガタマムシを簡単に素手で採ることが出来るようなのです…

私はこれ以降、この方法を…朝摘みと呼ぶ事にした。

ネーミングセンスはともかく(笑)、この方法は今後きっと役に立つ。
そう信じて、「朝摘み」をタマムシの新しい採集方法の一つとして記憶しておきました。


効果を実感するまではそう時間はかからなかった…




マサキナガタマムシ
Agrilus euonymi Toyama, 1985

早速、マサキやソメイヨシノにつくはずのマサキナガタマムシをケヤキの葉上に召喚することに成功した(笑)
寄主植物を無視できるという強さがこういう幸運をもたらしてくれる(ヒコサンナガタマムシもまたしかり)

もっといいタマムシが召喚できるかも…と、しばらく周辺のルッキングを続けていると、




アカスジキンカメムシ
Poecilocoris lewisi Distant, 1883

変色しているのではなく、もともとこの色。

ごく稀に現れるという黒化型のアカスジキンカメムシを見つけました。
さらに、すぐ近くでもう1頭追加した(汗)

黒化型の多産地だったりして…?
アカスジキンカメムシ自体がかなり多かったのでひたすら見ていけばこの場所では案外見つかるものなのかも?と思ったり。




ムネアカナガタマムシ
Agrilus imitans Lewis, 1893

その後も、エノキ倒木の近くで、イネ科植物の葉上に止まっていたムネアカナガタマムシを採集したり、ケヤキのスウィーピングでシロテンナガタマムシを採集したりしました。
天気の悪さの割に、朝摘みのお陰もあってナガタマムシはかなり充実している…


その後も周辺の探索を続けていると…ソーラーパネルを発見。
これが原因でホソナカボソタマムシの産地がもう消滅してたとかだったら最悪だな…

林縁部のカエデをスウィーピングしていると、何故かゼフィルスが入ってました。




ミヤマカラスシジミ
Fixsenia mera (Janson, 1877)

今年もゼフィルスの季節。入ったのは初採集のミヤマカラスシジミでした。
アゲハの方のミヤマカラスと違って、こちらは非常に地味(汗)
幼虫はクロツバラにつくそうです。クロツバラなんて生えてるんだな…




タゾエナガとか採れそうだなーと思ったこんな枯れ蔓からは、



ヤハズカミキリ
Uraecha bimaculata bimaculata Thomson, 1864

初採集のヤハズカミキリが採れました。

他にはアトモンサビ的なやつとシロオビゴマフ的なやつも落ちました。
今まであんまり意識して掬って来なかったけど、カミキリってこういう枯れ枝から結構落ちるんですね。
基本みんな地味なやつだけど…

他には大した成果もなく、ポイントを後にすることに。




移動中も、ナワシロイチゴを見つける度に立ち止まってじっくりルッキングしました。
11:30辺りからはようやく晴れて来て、日も差し込んで気温も上がり始めました。

日当たりのいい葉上ではヒラタチビタマムシが見つかるようになりましたが、相変わらず葉裏でじっとしている個体も結構見つかりました。


次のポイント…河川敷へ。
ここではホソツツタマムシを狙ってみようと思ったのですが…行った場所にはカモジグサが全然生えてなくて爆死。

あまり時間がないので早めに切り上げて最後のポイントへ向かいます。


自転車を押して坂道をを登っていく…






道中もルッキングで見つけた蛾やキクスイカミキリ、ハスジカツオゾウムシなんかを摘みながら登る。





ジュウジクロカミキリ
Clytosemia pulchra Bates, 1884

道端の枯れ草に止まっていたのはジュウジクロカミキリ。
大きさや形、模様が自分的に丁度良くてお気に入りのカミキリです。

これに関しては我ながらよく見つけられたと思う(笑)


ぶっ倒れそうになりながらも小休止を挟みつつ、なんとか坂道を登りきり…目的の場所へ到着しました。





20180706125935145.jpeg
「帰って……来た…!!!」

ここは去年何度もお世話になった伐採地です。
川から山の上まで登るの、ほんとにしんどかった…(笑)

天気も大分良くなって来たし、残りの時間はここで色んなタマムシを狙っていきます!




ネムノキ。
去年何回か通った場所に生えていたのですが、今まで全然気付かなかった(汗)

こんな環境ならあのタマムシが採れるはず…





ネムノキナガタマムシ
Agrilus subrobustus E. Saunders, 1873

ネムノキといえばこれ、ネムノキナガタマムシです。
思ったよりたくさん入りました…(汗)
去年も谷の方で採りましたが、南信の方ではまだ採れていないので少し多めに採っておく。




ヒメヒラタタマムシ
Anthaxia (Haplanthaxia) proteus E. Saunders, 1873

これもまだ何故か南信で採れていない…ヒメヒラタタマムシ。
クリの花がいい感じに咲いていたので掬ってみると恐ろしいほどたくさん入ってきました(笑)

カミキリの方はチャボハナカミキリばかりで特に目新しいものは入りませんでした。




ホソトラカミキリ
Rhaphuma xenisca Bates, 1884

代わりに(?)、下草に止まっていたホソトラカミキリを確保。これは初採集でした。




花掬いもほどほどにして伐採木の多い場所に向かおうか…と思った時、ある虫のことを思い出しました。
その虫はクリの枯れ枝を掬う事でたくさん採れる事が最近判明したとかで…たしか時期も今くらいだったはず。

去年はクリの枯れ枝なんて掬わなかったから全く採れなかったけど…地域的には充分狙える虫だった気がする。


物は試し、という事で掬いづらいクリの枯れ枝に網を被せて揺さぶってみる…

数本掬った後、網の中を見てみると…何もいませんでした。
流石にそんなに甘くないよなと、網を裏返してゴミを払おうとすると外側にカミキリがついていた…






クロサワヒメコバネカミキリ
Epania septemtrionalis Hayashi, 1950

「これだよ!!!!」

これこそが期待していたクロサワヒメコバネカミキリです。
ヒゲナガコバネカミキリの仲間と良く似た姿をしている、大型で非常に格好いいカミキリです。

本当にクリの枯れ枝掬いなんかで採れるものなんだな…

同じ木の枯れ枝をさらに掬って、1頭追加個体を得ました。


さて…そろそろ伐採地のタマムシを探しに_____




「なんかだいぶ雰囲気変わったな…」

↓去年の同所(8月)


去年と比較して、幼木が成長して緑がかなり目立つようになっていました。
まあタマムシ的にはそんなに問題ないだろう、などと甘く考えていたのですが…

ひこばえや枯れ枝など、どこを見ても…ナガタマムシの姿が見当たらない。
去年、クロホシタマムシがたくさん見られた場所にも行きましたが…1頭も見つからなかった。

最低でもクロホシタマムシは採れると思っていたのに…これは大誤算でした(汗)
天気や時期的には絶望的なレベルではないはず。

この場所がタマムシの天国と化していたのは去年だけだったのか…!?

切り株を見てもクロナガタマムシは見つからない、スウィーピングしても全然ナガタマムシが入ってこない。
マジか…こんな事があるのか…

なんで去年もっとクロホシタマムシを採っておかなかったんだ…

激しく後悔するとともに、これ以降、伐採地などで湧いてるタマムシは後々後悔しないように採ることを心に誓った…(汗)


確かに去年のような成果は無かったものの、何も得られなかったわけでもなく。





ニセホソアシナガタマムシ
Agrilus adelphinus Kerremans, 1895

iPhoneのGPSが死んでて座標は取れなかったのですが…コナラ辺りのスウィーピングで入った怪しげなナガタマムシを1頭持ち帰ったらこれが見事に当たり、ニセホソアシナガタマムシを引き当てました。

今回の個体も前胸腹板突起周辺の長い毛が目立つ個体でした。

さらにもう一つ。




ツマムラサキセイボウ
Chrysis (Chrysis) splendidula Rossi, 1790

何度目の正直になるのだろう(笑)
今回のは紛れもなく…自己初のセイボウの採集にようやく成功しました。
幼木が成長したおかげで、掬いやすい葉上に止まってくれて簡単に採集する事ができました…ラッキーだった。



ここからは、長野県にお住いの虫屋さんである薫さんと合流。
ここから2日目の昼までは薫さんにお世話になります。

伐採地まで来ていただいたので少しだけ一緒に採集したのですが…上記の通り(タマムシ的には)絶望的な感じだったので早めに切り上げて伐採地を後にする事に(汗)

レンタサイクルを駅に返却し、ロッカーに預けていた荷物を回収。
ここからは薫さんの車で今回の遠征の大本命である…キンヘリタマムシの記録がある某所へ連れて行っていただきました。


到着した時点で周囲はだいぶ暗くなっています。
せっかくなので灯火採集をやろうという事で場所を探したりしましたが…正直どんな場所でやったらいいのか全然分かっていない(論外)ので、車道から少し逸れた場所にある草地を適当に選んで、灯火採集の道具(サークルで所有してるHIDライトを借りて持ってきました)をセットします。

まあこれといって期待してる虫とかもいないので…




20時頃から点灯して灯火採集スタート!
白布の方は100均のカーテンなのですが…これ薄すぎじゃね?(汗)
ライトほぼ貫通してたし(笑)

こんな適当なセットで大丈夫だろうかと不安になってましたが、開始直後から多数の蛾が飛来しました。




左上から、
オオミズアオ
Actias artemis aliena (Butler, 1879)

アミメオオエダシャク
Mesastrape fulguraria consors (Butler, 1878)

ナカスジシャチホコ
Nerice bipartita Butler, 1885

ゴマケンモン
Moma alpium (Osbeck, 1778)

ツガカレハ
Dendrolimus superans (Butler, 1877)

クワゴモドキシャチホコ
Gonoclostera timoniorum (Bremer, 1861)

オオミズアオは今回で無事に初採集となった(笑)

飛来した蛾は多いのですが、中々落ち着いてくれなくてほとんど写真は撮れなかった…
上の写真の他にはアオセダカシャチホコなどを採集しました(未同定も何頭か)
ゴマケンモンだと思って採集した2頭はどちらもキクビゴマケンモンのようでした。

蛾は多数飛来してくれますが、甲虫はさっぱりでした。
甲虫が飛んできた!と思ったら大体ジョウカイボンという悲しい出来事が続く…

開始から2時間近く経った時、薫さんが甲虫らしき物体が飛行しているのを発見。
私がネットインして確認してみると…


「ああ、センチコガネですね(笑)」

「いや、違う…!?」




ミヤマダイコクコガネ
Copris pecuarius Lewis, 1884

「ダイコク!!!!」

♀とはいえ、私はこんなに大きなダイコクコガネを見たのは初めてで…二人で大興奮でした。
大型甲虫は飛来しないかと諦めかけていたところにこれは本当に嬉しかった…
(元々は薫さんが見つけたものですが譲っていただきました)




22時ごろ。それなりに蛾は集まりました。
この写真を撮った数分後にライトの電池が切れ、灯火採集は終了となりました。

ミヤマダイコクは採れたもののそれ以外の大型甲虫は皆無という…微妙な結果に終わりました(汗)
蛾の方はそれなりに見れたので良かったのですが、種類が分からないとまだまだ楽しめないなあと強く感じました。

片付けたら車に戻って、この日の採集は終了。
翌日の採集に備えてすぐに就寝…



【結果】 ※色付きは自己初採集

ヒメヒラタタマムシ
Anthaxia (Haplanthaxia) proteus E. Saunders, 1873
3exs.

シロテンナガタマムシ
Agrilus sospes Lewis, 1893
2exs.

ネムノキナガタマムシ
Agrilus subrobustus E. Saunders, 1873
5exs.

マサキナガタマムシ
Agrilus euonymi Toyama, 1985
1ex.

ヒコサンナガタマムシ
Agurilus yamabusi Miwa et Chûjô, 1940
2exs.

ムネアカナガタマムシ
Agrilus imitans Lewis, 1893
1ex.

ニセホソアシナガタマムシ
Agrilus adelphinus Kerremans, 1895
1ex.

アオグロナガタマムシ
Agrilus viridiobscurus E. Saunders, 1873
1ex.

シラケナガタマムシ
Agrilus pilosovittatus E. Saunders, 1873
1ex.

ヒラタチビタマムシ
Habroloma subbicorne (Motschulsky, 1861)
3exs.

クロサワヒメコバネカミキリ
Epania septemtrionalis Hayashi, 1950
2exs.

ホソトラカミキリ
Rhaphuma xenisca Bates, 1884
1ex.

ジュウジクロカミキリ
Clytosemia pulchra Bates, 1884
1ex.


キクスイカミキリ
Phytoecia (Phytoecia) rufiventris Gautier,1870
1ex.

ニイジマチビカミキリ
Egesina (Niijimana) bifasciana bifasciana Matsushita, 1933
1ex.

ヤハズカミキリ
Uraecha bimaculata bimaculata Thomson, 1864
1ex.


チャボハナカミキリ
Pseudalosterna misella (Bates, 1884)
1ex.

ミヤマダイコクコガネ
Copris pecuarius Lewis, 1884
1ex.


アシナガオニゾウムシ
Gasterocercus longipes Kono, 1932
1ex.

ホホジロアシナガゾウムシ
Mecysolobus erro (Pascoe, 1873)
1ex.

ハスジカツオゾウムシ
Lixus acutipennis (Roelofs, 1873)
1ex.

ミヤマカラスシジミ
Fixsenia mera (Janson, 1877)
1ex.

オオミズアオ
Actias artemis aliena (Butler, 1879)
1ex.

アミメオオエダシャク
Mesastrape fulguraria consors (Butler, 1878)
1ex.

キクビゴマケンモン
Moma kolthoffi Bryk, 1948
1ex.

アオセダカシャチホコ
Rabtala splendida (Oberthür, 1880)
1ex.

エゾギンモンシャチホコ
Spatalia jezoensis Wileman et South, 1916
1ex.

ツガカレハ
Dendrolimus superans (Butler, 1877)
1ex.

クワゴモドキシャチホコ
Gonoclostera timoniorum (Bremer, 1861)
1ex.

ナカスジシャチホコ
Nerice bipartita Butler, 1885
1ex.

キマダラコヤガ
Emmelia trabealis (Scopoli, 1763)
1ex.

ツマムラサキセイボウ
Chrysis (Chrysis) splendidula Rossi, 1790
1ex.


アカスジキンカメムシ
Poecilocoris lewisi Distant, 1883
2exs.

ミツモンハチモドキバエ
Paradapsilia trinotata Chen, 1947
1ex.
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