遠い谷の奥地を目指して


2018.06.24

今後の予定を考えると、今期に地元で新地開拓が行えるのは今回が最後になるのではないだろうか。
最後…つまりまだ終わらないというのが私の中ではいつもの流れですが(笑)、次回からはこれまでに開拓したポイントの中から良さげな場所を攻めていきたいし、遠征も入ってくる(気がする)ので…今回で一区切りにするつもりです。

適当に航空写真を眺めながら「この辺り良さそうだなー」と思った、13km先のC谷の奥地を目指し…朝7時を過ぎてからの出発。
(前日の雨があったので、早く出過ぎると朝摘みもスウィーピングも出来ないと思われた)

去年冬の河川敷採集で14kmまでは貧弱な私の体力でも割と行けることが分かったのですが…あれはあくまで低地の話。
目的地が山奥になっている以上、苦行は避けられないものと思われた…



8時頃。意外にもあっさり谷の入り口の近くまで来れました。
まだまだ余裕がある…ここまでで8kmくらいでした。



若干終わりかけてますが…花が残っているクリがあったので掬って行くことに。




まだ雲が出てて日差しは弱いですが…明るいクリの葉上ではシラケナガタマムシやヒメヒラタタマムシが見つかりました。
ヒメヒラタタマムシに関しては前日に花に来てた個体の居残りだと思うけど…




左: ミヤマホソハナカミキリ
Idiostrangalia contracta (Bates, 1884)

右上: ニンフホソハナカミキリ
Parastrangalia nymphula (Bates, 1884)

右下: タテジマハナカミキリ
Parastrangalis tenuicornis (Motschulsky, 1861)

ここの栗の花掬いでは細いハナカミキリが多く入りました。
ミヤマホソハナカミキリとタテジマハナカミキリは初採集です。

今までニンフホソハナカミキリを採集するたびに触角の白い部分が何節あるか数えていましたが、今回ようやく2.5節(ニンフホソ)じゃない2節(タテジマ)を引き抜くことが出来ました…見る癖をつけてなかったら絶対に気付かずにスルーしてた(汗)




ヤマトキモンハナカミキリ
Judolia japonica (Tamanuki, 1942)

あとはこちらも初採集。ヤマトキモンハナカミキリです。
他にはまだ南信に来てからは採れていなかったヒメヒラタタマムシの♂も採れました。
泥まみれのゾウムシが入ったと思ったらトホシオサゾウムシだったり(笑)

クリの他にはオニグルミがあったのでこちらも掬っていく。




左: オオアオゾウムシ
Chlorophanus grandis Roelofs, 1873

右: オニグルミノキモンカミキリ
Menesia flavotecta Meyden,1886

前日の採集でも見られたオオアオゾウムシの他、今年初確認のオニグルミノキモンカミキリも採れました。
季節の進行に伴ってオニグルミで採れる虫が変化したようです…あのタマムシもそろそろ出ているに違いない。

今回の採集の目標をあえて挙げるならカラカネチビナカボソタマムシです。
オニグルミにつくタマムシですが、いまだに自力で採集出来ていない…自分的に手強い相手(汗)

とにかく今日は見つけたオニグルミを片っ端から掬いまくるという頭悪そうな作戦で挑むことに(笑)
とはいえ、採り方が掴めないうちはやっぱりこの方法が一番正解なんでしょう…


ある程度スウィーピングをやった所で、少し移動して低木のクリなんかを掬っていたらヒコサンナガタマムシが採れました。
今シーズンはありがたい事にヒコサンナガタマにもかなり縁があるような気がする。
(今回の個体はゴム化した挙句バラバラになったけど…)




アカマツの枯れ木に巻きついたクズ。

これはいけるだろう、と今年何回目になるか分からないそんな考えのもとで頑張って枯れ蔓や葉を掬ってみる。

なかなか上手く掬えなくてダメかなと思ったのですが、網を下ろした時に空中を浮遊する細長い甲虫のシルエットが見えました。

ゆっくり飛んでいてくれたので、落ち着いてしっかりネットインできました。
網の中に入っていたのはやはり…








タゾエナガタマムシ
Agrilus tazoei Y. Kurosawa, 1985

クズにつくものの少ないといわれる虫、タゾエナガタマムシでした。
出会うのは2回目で、長野県で採るのは今回が初めてです。

ムネアカとはまた違う独特の色がいい!

いい感じに太めの枯れ蔓とかがあるようなクズがやっぱり好きなのか?
(さすがに追加は得られなかったけど…)




マツシタトラカミキリ
Anaglyptus (Anaglyptus) matsushitai Hayashi, 1955

近くにあったクリの木から飛び立ったカミキリをネットインすると、マツシタトラカミキリでした。
何度出会っても嬉しい、とても格好いいカミキリです。




少し進んで、オニグルミがあったら掬う。
そんな事をやっている最中の…突然の出来事でした。




カラカネチビナカボソタマムシ
Nalanda ohbayashii Y. Kurosawa, 1957

「あれ……!?!?!?」

カラカネチビナカボソ、もう採れてしまった(笑)
これまで縁がなかったのが嘘みたいな呆気なさでした。

単純に季節や場所の問題だったってことなんでしょうか…

追加個体が得られないか、さらにスウィーピングしたものの他には採れませんでした。




タゾエナガやカラカネチビナカボソが採れて既に満足気味なのですが…ここから谷に入っていきます。




しばらく進むと、クリの大木がありました。
こちらの花は今がピークって感じで、たくさんの虫が集まっているのが下からでも確認できました。

掬ってみるとカミキリもたくさん入りましたが…大体一度見たようなものばかりです。
ちょっと大きめの甲虫が入ったと思ったらキンイロジョウカイだったりアオジョウカイだったり(汗)

新しいカミキリは採れそうにないかな…と思い始めた時。

やたらとデカイ甲虫が花に止まるのが見えました。
ジョウカイボンにしか見えなかったのですが、頭をよぎったカミキリがいたので…長竿を伸ばして網に落としてみる。



「ああ…なんだ、やっぱりアオジョウカイ_____」




「じゃない!!!」
「アオジョウカイじゃねえよこれは!!!!」





フタコブルリハナカミキリ
Stenocorus (Eotoxotus) caeruleipennis Bates, 1873


アオジョウカイに擬態していると言われている…フタコブルリハナカミキリ、初採集でした。
想像以上に大きく、上翅の青も美しい…とても良いカミキリでかなりテンションが上がりました。

花掬いを続けていればいつか採れるかな…くらいには思っていましたが、今年はもう遅いものなのかと(こっちの地域だと今が出始めになるとか!?)


花掬いはこの辺りにして、谷の奥地へ向かう…




割と期待していたヤマハンノキもありましたが、見つかるのは川を挟んだ反対側ばかりで毎回網が届かない(汗)

そしてここで…行き止まりにぶつかった。
なんとまた道を間違えてしまっていたらしく…頑張って登った道を引き返して、別の道から最終目的地の谷の奥へ向かう事に(汗)


ここからが地獄だった…


坂道は急で、途中からは荒れた道となり…進んでも進んでもなかなか目的地に近づかない(汗)
道は基本的に鬱蒼とした林の中を通っており…スウィーピングもまともに出来そうな感じではない。



2018070712091055c.jpeg
ちょっと明るい場所に出た。
麓の町はもはやほとんど見えません。

どんだけ山奥まで来てんだ…(汗)

ここでは嬉しい虫に出会えました。




オオトラフコガネ
Paratrichius doenitzi (Harold, 1879)

何気ない低木の葉上で圧倒的な存在感を放っていたのは…オオトラフコガネ。
前々から見てみたかった虫の一つで…その大きさや模様の格好良さに感動。まだまだ先は長いですが頑張る気になれました。




引き返して正規ルートを登り始めてからおよそ2時間。
「絶対に引き返してやるものか」と、もはや謎の意地を張りながら汗だくで自転車を押し続け…目的地の谷の奥地へ辿り着きました。




「こんな所まで自転車押して登ってきたの!?」
「君、根性あるねぇ」


途中で出会った釣り人のおじさんからはそんな事を言われ(笑)、缶ジュースを一本恵んでくださりました。
いただいた缶ジュースをここで飲み干して…気合いを入れ直す。




オオトラフコガネ
Paratrichius doenitzi (Harold, 1879)

ここではオオトラフコガネの追加個体を2頭得ました。
さっきは黒っぽい個体でしたがこちらはより綺麗で、これぞまさしくオオトラフコガネという感じ。


ミズナラやヤシャブシ、ヤマブドウなどのスウィーピングを行なっていきますが…タマムシは入らない(汗)
ヤマハンノキがあることを期待していたのですがそれらしきものもさっぱり。




「タニガワハンノキじゃねえか…」

絶望して、掬うことすらせずにスルーした木があったのですが…今改めてみたらヤマハンノキな気がしてきたんだが(汗)

いずれにせよヤマハンノキは少なく、思い描いていた環境はそこには無かった…




スウィーピングを続けていると…70cm枠が破損。
予備で持ってきていた60cmメッシュネットと交換します。
(70cm枠は帰宅後に直して復活させました)

そして…目的地だった場所の最終地点まで辿り着いた。




「帰るか。」

最後の方は鬱蒼とした森の中…熊出没の看板(笑)
スウィーピングする気にもならなかった。

このポイントも場所によっては雰囲気はかなり良さげだったけど、掬えるヤマハンノキが無かったしやっぱりダメそうだな…
もっとヤマハンノキが生えてる場所…いい感じに掬える場所を見つけないとエサキキンヘリには辿り着けない。
近場でやるには時期的にもそろそろ限界な気がするし、ポイント開拓は来年に持ち越しの課題になりそうです。

ここまで運んできた自転車がここで力を発揮し、採集もやりながら4時間ほどかけてここまで登ってきた道を、帰りは1時間以内で下りきった。


最初にカラカネチビナカボソを採った辺りまで戻ってきて、近くのオニグルミをさらに掬ってみる事に。
見逃していたオニグルミを発見し、ここからオニグルミノキモンカミキリの追加個体を得ました。






ネムノキナガタマムシ
Agrilus subrobustus E. Saunders, 1873

さらにはネムノキも発見し、南信では初採集となるネムノキナガタマムシも無事に採れました。

このネムノキの奥にもオニグルミが2本ある事に気づいて、両方適当に掬った後に網の中を確認すると…


「!?」





カラカネチビナカボソタマムシ
Nalanda ohbayashii Y. Kurosawa, 1957

「ここが発生源だな…!?」

1頭目が採れた場所からはそう離れていない。多分あの1頭もここから飛んで行ったものなんだ…

網の中には4頭のカラカネチビナカボソタマムシが入っていました。
今度は2本のオニグルミを1本ずつ掬って網の中を確認してみると…片方の木からはさらに4頭の追加個体が得られました。




ということで、これがカラカネチビナカボソタマムシの発生木のようです。
右奥に写っているすぐ隣のオニグルミからは追加個体は得られず、この一本からはしっかりと追加個体が得られました。
なんでこんな一箇所に集中しているのかはイマイチ分かりませんが…周囲の雰囲気をしっかり覚えておきます。




とりあえずこれで、カラカネチビナカボソタマムシの自力採集は達成って事でいいでしょう!
やっぱりオニグルミローラー作戦は正しかったんだ!(笑)




ハラビロトンボ
Lyriothemis pachygastra (Selys, 1878)


ベニカミキリ
Purpuricenus (Sternoplistes) temminckii (Guerin-Meneville, 1844)

その後は成熟したハラビロトンボ♂を採ったり、序盤で掬ったのと同じクリの花掬いで前胸がかなり黒いベニカミキリを採ったりしたところで…この日の採集は終わりにして帰宅する事に。




トゲアトキリゴミムシ
Aephnidius adelioides (MacLeay, 1825)

帰り道…路上を突っ走っているトゲアトキリゴミムシを拾うという軽い奇跡を起こしてフィニッシュ(笑)


かなりしんどい採集でしたが、フタコブルリハナやオオトラフコガネなど嬉しい初採集種もあり、タゾエナガやカラカネチビナカボソなどタマムシ的にも(既採集ですが)充実していて頑張って行った甲斐はあったかなと思います!


ただ…あんなに奥まで登る必要は無かった(笑)



【結果】 ※色付きは自己初採集

ヒメヒラタタマムシ
Anthaxia (Haplanthaxia) proteus E. Saunders, 1873
1ex.

カラカネチビナカボソタマムシ
Nalanda ohbayashii Y. Kurosawa, 1957
9exs.

ネムノキナガタマムシ
Agrilus subrobustus E. Saunders, 1873
2exs.

ヒコサンナガタマムシ
Agurilus yamabusi Miwa et Chûjô, 1940
1ex.

タゾエナガタマムシ
Agrilus tazoei Y. Kurosawa, 1985
1ex.

トゲアトキリゴミムシ
Aephnidius adelioides (MacLeay, 1825)
1ex.

オニグルミノキモンカミキリ
Menesia flavotecta Meyden,1886
3exs.

マツシタトラカミキリ
Anaglyptus (Anaglyptus) matsushitai Hayashi, 1955
1ex.

フタコブルリハナカミキリ
Stenocorus (Eotoxotus) caeruleipennis Bates, 1873
1ex.


カラカネハナカミキリ
Gaurotes (Paragaurotes) doris Bates, 1884
1ex.

ヤマトキモンハナカミキリ
Judolia japonica (Tamanuki, 1942)
1ex.


フタスジハナカミキリ
Etorofus (Nakanea) vicarius (Bates, 1884)
1ex.

ミヤマホソハナカミキリ
Idiostrangalia contracta (Bates, 1884)
4exs.


ニンフホソハナカミキリ
Parastrangalia nymphula (Bates, 1884)
1ex.

タテジマハナカミキリ
Parastrangalis tenuicornis (Motschulsky, 1861)
2exs.


ニセヨコモンヒメハナカミキリ
Pidonia (Cryptopidonia) simillima Ohbayashi et Hayashi, 1960
3exs.

オオヒメハナカミキリ
Pidonia (Pidonia) grallatrix (Bates, 1884)
1ex.

ベニカミキリ
Purpuricenus (Sternoplistes) temminckii (Guerin-Meneville, 1844)
1ex.

アメイロカミキリ
Stenodryas clavigera clavigera Bates, 1873
1ex.

オオトラフコガネ
Paratrichius doenitzi (Harold, 1879)
3exs.


アオウスチャコガネ
Phyllopertha intermixta (Arrow, 1913)
1ex.

トホシオサゾウムシ
Aplotes roelofsi (Chevrolat, 1882)
1ex.

マダラアシゾウムシ
Ectatorhinus adamsii Pascoe, 1871
1ex.

ケナガクビボソムシ
Neostereopalpus niponicus (Lewis, 1895)
1ex.


キンイロジョウカイ
Themus episcopalis (Kiesenwetter, 1874)
1ex.

コムラサキ
Apatura metis substituta Butler, 1873
1ex.

ミズイロオナガシジミ
Antigius attilia attilia (Bremer, 1861)
1ex.

ツノゼミ
Orthobelus flavipes Uhler, 1896
1ex.

オビマルツノゼミ
Gargara katoi Metcalf et Wade, 1965
1ex.


ハラビロトンボ
Lyriothemis pachygastra (Selys, 1878)
1ex.

キスジセアカカギバラバチ
Taeniogonalos fasciata (Strand, 1913)
1ex.


ヒメカマキリモドキ
Mantispa japonica MacLachlan, 1875
1ex.
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