胸が熱くなる夜


今年の夜回りの目標として挙げていた虫。

セアカオサムシ、エゾカタビロオサムシ、ダイミョウアトキリゴミムシ、ヤママユ(他の場所で達成)…

まだ残っている虫が2種くらい浮かびますが、その一つが出現し始めたという情報を先輩から教えていただきました。

2014年の初夏に東京で死骸を見ただけに終わり、
ここ4年くらい、秋になると埼玉の方の公園で夜間ルッキングやって探したりしたのですが何の手がかりも得られていないあの虫が_____





2018.09.03

埼玉から長野に戻ってきた日。
帰りに夜回りポイントの街灯を軽く流し見て帰りました。

灯りの周りにたくさんいたエゾゼミやヒグラシは一切居なくなり、カブトムシやクワガタもかなり少なくなっていました。(最近は完全に見かけなくなった)

この日はオオフトヒゲクサカゲロウを1頭採集しただけでした。
わりと少ない虫かと思ってましたが全くもってそんなことはないと後で思い知ることになります(笑)





2018.09.06

この日は謎の使命感に駆られて夜回りへ。




オオフトヒゲクサカゲロウ
Italochrysa nigrovenosa Kuwayama, 1970

この日も2頭のオオフトヒゲクサカゲロウに出会いました。
夜回りではわりと常連なのか…




フトクチヒゲヒラタゴミムシ
Parabroscus (Parabroscus) crassipalpis (Bates, 1873)

オオクロツヤヒラタとかその辺のツヤヒラタゴミムシの類に混じって明らかに初見のゴミムシが。
その場では自信が持てませんでしたが、持ち帰って見てみると太い口髭。初採集のフトクチヒゲヒラタゴミムシでした。

生息環境がイマイチはっきりしない虫のようですが…このポイントではポツポツ見られます。




ヒトリガ
Arctia caja phaeosoma (Butler, 1877)

姿を見るまで完全に忘れてましたが…これも今年の夜回り目標種の一つでした。
去年の実習で近くを訪れた際に、昼間の道端に居るのを見つけたのですが採ることができず悔しかった…
今年はそのリベンジを果たしたいと思っていたのです。忘れてたけど(笑)

上翅も下翅もド派手で大型のとてもカッコイイ蛾で、感動でした。




ハスモンヨトウ
Spodoptera litura (Fabricius, 1775)

有名な農業害虫ですが、成虫は割と格好いい模様を持っています。
成虫の姿を知らなかったので同定に苦戦したし、知った時も衝撃でした…(笑)




ヒメシロシタバ
Catocala nagioides Wileman, 1924

夜回りポイントでは初採集のCatocalaとなるヒメシロシタバも採れました。
幼虫はカシワを食べるとか(カシワなんて生えてたっけ…?)
このポイントでは少ない虫ではないそうで、後日追加が得られました。

この日は他にキシタバも採れました(結構ボロかった…)

この日は偶然、毒瓶に酢酸エチルを含ませるのを忘れてしまって、アンモニアで代用を試みたのですが…これが正しかったようでCatocalaが素早く綺麗に〆れて感動しました。

そんなに変わるものとは思ってなかった…
以降、アンモニア(ガス)を使うようになったのでした。




ヤママユ
Antheraea yamamai yamamai (Guérin-Méneville, 1861)

ヤママユにも2頭出会えたのですが、ボロだったのでスルー。
(夜回りポイントでは9/3の時点で初遭遇を果たしていました)
台風とかもあったし、時期的にも今年はもう完品に出会うことは厳しそう…




夜回りを終えて採集装備を片付けていた時、足元を通りかかった虫を見逃しませんでした。
こういう事があるから最後まで気を抜いてはならない…




ダイミョウアトキリゴミムシ
Cymindis (Menas) daimio Bates, 1873

まだ居てくれました…(モモグロ)ダイミョウアトキリゴミムシ。
ダイミョウアトキリの出現範囲が大体絞れてきた…

そんな感じで、この日の夜回りは割と充実してたかなと思います。





2018.09.11

この日は先輩に、いい灯りのあるポイントに連れて行っていただけることになりました。
合流するまで少し時間があったので私は例の虫を求めて夜回りを…




ヒトリガ
Arctia caja phaeosoma (Butler, 1877)

この日は前より綺麗なヒトリガが採れました。
(この後、この個体よりさらに綺麗なヒトリガが採れました…)




ヒゲナガカミキリ
Monochamus (Monochamus) grandis Waterhouse, 1881

まさかこのポイントで採れるとは思ってなくて驚いた…初採集のヒゲナガカミキリです。
先輩曰く、毎年非常に少ないながら見られる虫のようです。


アンモニア忘れて取りに行ったり、網を置き去りにしてたり…無能なミスを連発してしまい、例の虫が濃いとされるポイントをしっかり見る前に時間が来てしまいました(汗)

ここからは先輩の車で灯りのポイントに連れて行っていただきました。

気温が低かったためか蛾は少なかったようですが、私には十分すぎる程色々見られました。
この場所では灯りの周りにオオフトヒゲクサカゲロウがベタベタ付いていて、完全に普通種化してました(汗)
一応長野県ではⅡ類(2015)になってるんですけどね…




ハコベヤガ
Xestia kollari plumbata (Butler, 1881)

この蛾はいつもの夜回りポイントにはいないそうです。
こういう蛾は…とても好きです。
(もう1頭くらい採っても良かったとか思う位)

他にはキシタミドリヤガ、ハイイロキシタヤガ、シロモンヤガ、ジョナスキシタバ、オオシロシタバ、ヤママユなどが見られました。
まともに写真撮れなかったけど、キクキンウワバは嬉しかった…(あれぐらい金色部分の多いキンウワバは初でした)

灯りのポイントの先には不気味な雰囲気のトンネルがあります。
一人だったら絶対入らない(笑)

灯りに来る虫的には余り期待できないものの、先輩に入るかどうか聞かれ…なんとなく「入りましょうか」と答える。

これが大正解でした…


入ってすぐ、トンネルの壁の隙間に頭を突っ込んでるゴミムシを見つけました。
脚を見る限りゴモクムシだけど、見覚えのないサイズ感。そして何より脚の色がいつもと違う…




「あれ!?」

「これってもしかして…!?!?」


明らかに初見のゴモクムシだけど、こんな見た目のゴモクムシに心当たりがある。
その場で調べて…確定した。




ミカゲゴモクムシ
Harpalus (Pseudoophonus) roninus Bates, 1873


「当たりですよ、これ!!」

この時期の灯下でよく見られるケゴモクムシの仲間ですが大型で、他の種では黄褐色の脚は真っ黒、漆黒で艶消しの異様なオーラを放つこの虫は…ミカゲゴモクムシ

生息環境とかよく分かんないけど、ただ少ない虫だという事だけは知っていた(汗)

多分相当ラッキーだった…
調べたら思いのほか近場(こことは離れてますが)で記録があったので、夜回りで出会う可能性もゼロでは無いかも…




シロオビハイイロヤガ
Spaelotis lucens Butler, 1881

同じくトンネルで見つけたこの蛾。地味だけどなんとなく良さみが深いなと思いましたが…本当に結構少ない虫だったようです(汗)

トンネル入ってほんとに良かった…


日をまたいだ後はいつもの夜回りポイントまで戻ってきました。




シロシタバ
Catocala nivea nivea Butler, 1877

ここで初となるシロシタバを採集できました。
去年標本を見ているはずなのですが、今まで採集してきた他のCatocalaとは明らかに異なる大きさにちょっとビックリする(汗)

この個体を〆るのは先輩にやっていただいたのですが、網の上から注射器で一突き。速すぎて全く意味が分からなかった(笑)
いつかはあんなテクニックを身に付けたい…




ダイミョウアトキリゴミムシ
Cymindis (Menas) daimio Bates, 1873

さらにここで、2タイプのダイミョウアトキリがほぼ同時に現れるというミラクルが。
無事に両方確保できました。
これで確認したモモグロ:普通=3:2になりますが、先輩が採集したダイミョウアトキリもモモグロタイプらしい(?)ので、このポイントではもしかするとモモグロの方が多いのかもしれません。

採集はこんなところで…先輩とはここでお別れ。
帰り際にあの虫を頂いてしまいました。

自分で採りたいと思ってたので迷ってたけど死骸なら…と甘えた。

それから10分も経たずの事だったと思う。




「____っはあ!!」

よく建物やトイレに迷い込んだ個体が見つかるという話を聞くので、そういう場所を無意識に見て帰っていたのですが…まさしくそれらしい虫がひっくり返ってるのを見つけたのでした。

これは間違いなく…




ムネアカセンチコガネ
Bolbocerodema nigroplagiatum (Waterhouse, 1875)


初めてその姿(死骸)を見たあの日(→採集記)から4年…
めっちゃ頑張って探した、という訳ではないもののずっと憧れだったムネアカセンチコガネの生きている個体にようやく出会う事が出来ました。

このポイントどころかこの付近では色んなところで拾われる、決して珍しくない虫のようで…夜回り目標種の一つでした。
先程先輩から頂いたのもムネアカセンチコガネ。あちらは♀でしたがここで採れたのは小さなツノのある♂でした。

何にせよめちゃくちゃ嬉しい…今日はもう100点だよ(笑)
などと思いながらもまだ途中にある街灯を見ながら帰っていく。




シロシタバ
Catocala nivea nivea Butler, 1877

シロシタバも追加を見つけましたが、翅が欠けてたのでスルーです。
そういえば、この日シロシタバを採集した事で日本のシロシタバ5種(シロ、オオ、エゾ、コ、ヒメ)が全て揃いました。
全部未採集だったのに、幸運にも1シーズンで全て揃えることができました。




クスサン
Saturnia japonica japonica (Moore, 1872)

私は今シーズン初確認になる、クスサンも居ました。
まだ出始めのようで綺麗な個体だったのでこれは採集。同じ街灯にヤママユも来ていましたがこちらはやっぱり欠けてたのでスルーです。




そして最後に見つけたのがこのスズメガでした。
マツクロスズメか、それとも…

以前も同様に悩んで持ち帰ったら、ただのボロいマツクロスズメで萎えた事があったのでここは慎重に見極めなければ。

しかしこの個体もかなりスレてて微妙…
悩まされていると、ちょうど先輩が通りかかったので見ていただきました。
それで…




オビグロスズメ♀という回答をもらいました(汗)

オビグロスズメはモミを寄主植物とし、本州では最も珍しいとか言われてるスズメガです。
この夜回りポイントでも極僅かに確認例があるという話を聞いていたので、怪しいスズメガを見つける度に悩まされていましたが…今回はどうやら当たりだったようです。

しかも♂より少ないという♀。
極めつけは、さっきの写真はフェロモンを放出して♂を呼んでいる最中だったという(何故気がつかなかったのか)

とにかく滅多にない貴重なものを見れたという事でした…

私はムネアカセンチとかミカゲゴモクとかでもう充分満たされていたので、このオビグロスズメは先輩に託しました。
これで採集は本当に終了となりました。この時点で3時回ってた(笑)



20180914004513763.jpeg
大変充実した夜間採集になりました…

これで思いつく夜回り目標種は後一つ…ヒメヤママユ(未採集)になりましたが、そんなに気合い入れて狙うような虫では無い(はず)なので気楽に、今後も夜回りを行なっていこうかなと思います。

ムネアカセンチに関しては夕方狙う方が良さそうなので近いうちに1度は夕方の採集もやってみようかなと思っています。
感覚が掴めたら埼玉の方でも夕方採集で改めて狙ってみたいですし。



【結果】 ※色付きは自己初採集

2018.09.03

オオフトヒゲクサカゲロウ
Italochrysa nigrovenosa Kuwayama, 1970
1ex.



2018.09.06

ダイミョウアトキリゴミムシ
Cymindis (Menas) daimio Bates, 1873
1ex.

フトクチヒゲヒラタゴミムシ
Parabroscus (Parabroscus) crassipalpis (Bates, 1873)
1ex.


キシタバ
Catocala patala Felder et Rogenhofer, 1874
1ex.

ヒメシロシタバ
Catocala nagioides Wileman, 1924
1ex.

ハスモンヨトウ
Spodoptera litura (Fabricius, 1775)
1ex.

ヒトリガ
Arctia caja phaeosoma (Butler, 1877)
1ex.




2018.09.11

オオクロナガゴミムシ
Pterostichus (Eosteropus) japonicus (Motschulsky, 1860)
1ex.

フトクチヒゲヒラタゴミムシ
Parabroscus (Parabroscus) crassipalpis (Bates, 1873)
1ex.

ミカゲゴモクムシ
Harpalus (Pseudoophonus) roninus Bates, 1873
1ex.


エリザハンミョウ
Cylindera elisae novitia Bates, 1883
1ex.

ヒゲナガカミキリ
Monochamus (Monochamus) grandis Waterhouse, 1881
1ex.


アトモンサビカミキリ
Pterolophia (Pterolophia) granulata (Motschulsky, 1866)
1ex.

クリシギゾウムシ
Curculio sikkimensis (Heller, 1927)
1ex.


ヒメシロシタバ
Catocala nagioides Wileman, 1924
1ex.

ジョナスキシタバ
Catocala jonasii Butler, 1877
1ex.

ハコベヤガ
Xestia kollari plumbata (Butler, 1881)
1ex.

シロオビハイイロヤガ
Spaelotis lucens Butler, 1881
1ex.

ハイイロキシタヤガ
Xestia semiherbida decorata (Butler, 1879)
1ex.

キクキンウワバ
Thysanoplusia intermixta (Warren , 1913)
1ex.


ヒトリガ
Arctia caja phaeosoma (Butler, 1877)
1exs.



2018.09.12

ダイミョウアトキリゴミムシ
Cymindis (Menas) daimio Bates, 1873
2exs.

ムネアカセンチコガネ
Bolbocerodema nigroplagiatum (Waterhouse, 1875)
1ex.

シロシタバ
Catocala nivea nivea Butler, 1877
1ex.


クスサン
Saturnia japonica japonica (Moore, 1872)
1ex.

ヒトリガ
Arctia caja phaeosoma (Butler, 1877)
1exs.
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コメント

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>>(非公開)さん

特別好きな虫でなくても珍しいと分かった途端に魅力的に思えてくるアレですね…(笑)

クロカタビロは分かりませんが、エゾカタビロオサムシはまだ狙えます。
そこそこ自然度の高い公園(山奥ではない)で街灯の周辺を重点的に見ていけば会えるかもしれません。

上野の特別展は私も行きましたが中々面白かったですよ!