中信採集遠征 2日目: 朝摘みツヤナガ


2018.06.17

朝5時…アラームで目を覚ます。

「寒い」

標高が高い沢沿いのためか、気温は確か10℃を下回っていた…
こうなることを恐れて上着を持ってきていたのですが、それを着てても普通に寒かった。

ゆっくり準備して、6時過ぎごろに採集を開始。



ヤマハンノキとかハルニレとかたくさんあるんだろうな、などと思っていましたがそんなものは無く、なんかやたらとミツデカエデが多い林道を進んでいきます。
タイムリミットはお昼まで。



20180706192251890.jpeg
最初雨予報だったのが嘘のようにスッキリとした晴天になりました。

陽当たりの良い場所でスウィーピングしていると、奥にヤマボウシがあるのに気づきました。





ヒゲナガシラホシカミキリ
Eumecocera argyrosticta (Bates, 1884)

ヤマボウシを掬ってみると、初採集のヒゲナガシラホシカミキリが入りました。
シラホシという名ですが、実際の斑紋は水色がかったとても美しい色をしています。

山奥ならではのはカミキリって感じ…ハルニレを掬って採る虫のイメージがある。
近くにハルニレもあるのか!?

すぐ近くでケヤキからもう一頭を追加し、こちらは薫さんへ譲りました。





シロテンナガタマムシ
Agrilus sospes Lewis, 1893

ヒゲナガシラホシ2頭目を採ったのと同じケヤキから、暗めのシロテンナガタマムシが採れました。
ブナとかも生えてたけど、コガネナガに化けてくれることは無かった…





スウィーピングしながらひたすら歩き続け、ここでようやくヤマハンノキを発見。
掬ってみるも、何も入らなかった…

シナノキがあったので掬ってみるも、タケウチトゲアワフキすら入らなかった…

なんだか嫌な予感がしてきた。



ある時、薫さんが葉上に止まっている蝶を見つけて教えてくれました。


「あれは!!」




メスグロヒョウモン
Damora sagana liane (Fruhstorfer, 1907)

思った通りでメスグロヒョウモンの♀、初採集でした。
こんな見た目でもオレンジ色のヒョウモンチョウの仲間だというから…信じられない。




こんな感じの道沿いで、陽当たりの良い葉を狙って掬います。
ヤシャブシが多く、スウィーピングしているとナガタマムシが何種か入りました。





ロニノナガタマムシ
Agrilus nicolanus Obenberger, 1924



ミドリツヤナガタマムシ
Agrilus sibiricus fukushimensis Jendek, 1994

他にはウグイスナガタマムシやシラケナガタマムシも。
ヤシャブシと関係なさそうなナガタマムシが入るのは朝摘みと同じ様な現象が高い位置でも起こっているってことなのかな…


その後、どれだけ進んでもハルニレが現れることはなく、ヤマハンノキも見当たらない。

これは…あれだ。

ポイント選び、ミスったね…

出発から3時間経過。残りは3時間。
取れる時間を考えるとこれ以上先に進むのは無謀に思えたので、ここで引き返すことに。
キンヘリが採集されたポイントもこの辺りだろうと思ったんだけどな…完全に失敗した。
ハルニレなんて一体どこにあるんだ…(汗)


スウィーピングは行きでもやったので、帰りは自然と低木に目を向けるように。




ウグイスナガタマムシ
Agrilus tempestivus Lewis, 1893

時刻は8:55。朝摘みにはもってこいの時間です。
早速見知らぬ植物の上にウグイスナガタマムシが見つかりました。


それからわずか…2分後の事でした。


キイチゴの葉上に止まっている甲虫が視界に入った。
不自然なまでに強い光沢からハムシの類かと思ったのですが、なんか気になって近づいて見ると…それがナガタマムシである事に気付いた。


「ヤバイやつだこれ!!(汗)」

それが普通のナガタマムシではない事はすぐに分かった。
さらに薫さんが同じ木にいる2頭目を発見(汗)

かなり焦りましたが、すぐに飛び立ちそうにはなかったので落ち着いて慎重に写真撮影を試みる。





(同個体)
頑張ったけどこんな程度で精一杯でした…
2頭ともしっかり確保して、その輝きを確かめる。




ツヤナガタマムシ
Agrilus cupes Lewis, 1892

それは紛れもなく…ツヤナガタマムシでした。
前回の個体も綺麗に思えたのですが、この個体はそれを遥かに上回る強烈な光沢を放っていました。
まさしく大図鑑に載ってる個体のような、本物のツヤナガタマムシって感じがする。




今回ツヤナガタマムシがいたキイチゴ。
前回と同様にバイカウツギは周囲に見当たらず、どこから来たものなのかさっぱり分からなかった…

でも間違いなく言える。

朝摘みはツヤナガタマムシにも通用する採集方法だ…




ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983

この後も色々スウィーピングを頑張ったものの、クヌギやコナラからヒメアサギが複数採れたくらいで特に何事もなく昼になり、時間切れとなってしまいました…
キンヘリタマムシどころかハルニレにすら出会えないという惨敗でしたが、それを補って余りあるほどにツヤナガタマムシは強い。

車で駅まで送っていただいて、ここで薫さんとはお別れ。
私はというと、もちろんこの後も採集を続行します(笑)

前日と同様に灯火機材などの荷物をロッカーに預け、レンタサイクルを借りる。

昨日と同じくホソナカボソタマムシの産地(とされている場所)付近に向かいました。
天気が良ければもしかしたら、という期待もありましたがそれ以外にも気になっていた場所があって。




エノキの伐採木。

昨日はこの付近でムネアカナガタマムシを得た他、伐採木では複数のアシナガオニゾウムシを確認しています。




アシナガオニゾウムシ
Gasterocercus longipes Kono, 1932

このゾウムシが湧いているエノキには天気が良ければあのタマムシも飛来するはず…
予想は当たっていました。





シラホシナガタマムシ
Agrilus decoloratus Kerremans, 1892

そのエノキ材にはシラホシナガタマムシが多く飛来していました。
数頭飛来しているくらいなら見た事があったのですが、ここはかなり個体数が多いようで…採っても採っても次々と飛来してくるような状況でした。

クロホシの反省を活かして、しばらくシラホシナガタマには困らないだろうというくらいの個体数を確保しておきました。
個体ごとの色の違いも楽しいナガタマムシで、どこかでブレーキをかけないと無限に採りそうになってしまう(汗)

エノキ材には他にヒシモンナガタマムシやシロテンナガタマムシも飛来していましたが、ムネアカナガタマムシは1頭も見かけませんでした。
長野では少ない虫なんだろうか…?


ナワシロイチゴもチェックしましたがヒラタチビタマムシ以外見つからず、もう一つの気になるポイントへ。



針葉樹の土場…的な所。

ちょっと小規模だけど(汗)
こんな環境、天気が良ければマスダクロホシタマムシが飛んでくるに違いない!
そう思ってしばらく張ってみたのですが…全くそれらしき虫の姿は見られなかった。

網を畳んで移動する準備を始めた頃…目の前に急に現れて材に止まった虫がいました。


「!!」


玉の柄と分離した、網部分だけを持ってその虫に接近し網の中に落とす…
しかし落とした直後飛んで逃げられる(汗)



「お前嘘だろ…」

「これはないわ…」


その場に立ち尽くして自分の無能さに呆れた…
再び網を畳んで完全に帰ろうとした時、少し奥の材の上をその虫が歩いているのが一瞬見えた。

もう迷ってる暇は無い。
必死にその材を覗き込んで、裏から出てきた虫を材の上からガッシリと掴む。
あの時と同じように…







ヤマムツボシタマムシ
Chrysobothris igai Y. Kurosawa, 1948

「良くやった…本当に良くやったよ……」

自分にとって生涯2頭目となるムツボシタマムシの仲間。
既採集種ですが、この仲間には本当に縁がないので不完品だとしてもめちゃくちゃ嬉しいのです…




カラマツ的な材に無数に空いていたこの脱出孔は、ヤマムツボシタマムシの仕業だったのかもしれない…
もう少し見つかるかなとも思いましたが、追加は得られませんでした。

その後は前日と同様にナワシロイチゴを一通り見回りましたが、とうとう最後までホソナカボソタマムシが現れることはありませんでした。完敗です。
アカスジキンカメムシ黒化型、ミヤマカラスシジミの追加個体は得られました。

この日の採集は早めに終了となり、そのまま夕方からのサークルの飲み会に出て終電で南信に帰ったのでした。





という事で、中信遠征採集は終了。

目標だったホソナカボソタマムシやキンヘリタマムシには全く出会えず、手がかりも全く得られないまま終了。
伐採地のクロホシタマムシも採れずじまい。

初採集のタマムシは0種。

しかし、朝摘みのおかげでツヤナガタマムシとの再会を果たすことが出来ました。
これだけで充分許せる。行った甲斐があった!

その時はそう思えた。今は…………?



最後に今回の採集に付き合って下さった薫さん、本当にありがとうございました。
採集記を書いてて思ったのですがヒドイですよね、これ(汗)

全然甲虫が飛んでこないライトトラップ、朝から昼までひたすらスウィーピングし続けるだけの採集。
薫さんは長竿を持っていないので、日当たり悪めだったあの場所の採集では私以上に虫が採れていないはず(汗)

こんな苦行みたいな採集に付き合わせてしまって本当に申し訳ありません…
薫さん的に、わざわざあの場所まで行った甲斐があったと思えるような成果が果たしてあったのか、かなり疑問なのですが…とにかくお疲れ様でした。

今度はもうちょっと楽しそうな所で、またご一緒できたら良いですね…(笑)



【結果】 ※色付きは自己初採集

ヤマムツボシタマムシ
Chrysobothris igai Y. Kurosawa, 1948
1ex.

シラホシナガタマムシ
Agrilus decoloratus Kerremans, 1892
10exs.

シロテンナガタマムシ
Agrilus sospes Lewis, 1893
2exs.

ウグイスナガタマムシ
Agrilus tempestivus Lewis, 1893
1ex.

ツヤナガタマムシ
Agrilus cupes Lewis, 1892
2exs.

ミドリツヤナガタマムシ
Agrilus sibiricus fukushimensis Jendek, 1994
2exs.

ロニノナガタマムシ
Agrilus nicolanus Obenberger, 1924
1ex.

ヒメアサギナガタマムシ
Agrilus hattorii Nakane, 1983
3exs.

シラケナガタマムシ
Agrilus pilosovittatus E. Saunders, 1873
1ex.

ヒゲナガシラホシカミキリ
Eumecocera argyrosticta (Bates, 1884)
1ex.


キクスイモドキカミキリ
Asaperda rufipes rufipes Bates,1873
1ex.

ミドリカミキリ
Chloridolum viride (Thomson, 1864)
1ex.

カラカネハナカミキリ
Gaurotes (Paragaurotes) doris Bates, 1884
1ex.

カタキハナカミキリ
Pedostrangalia femoralis (Motschulsky, 1860)
1ex.


ナガバヒメハナカミキリ
Pidonia (Pidonia) signifera (Bates, 1884)
1ex.

キッコウモンケシカミキリ
Exocentrus tetsudineus Matsushita, 1931
1ex.

クリイロチビケブカカミキリ
Terinaea atrofusca Bates,1884
2exs.


シロオビチビカミキリ
Sybra (Sybrodiboma) subfasciata subfasciata (Bates, 1884)
1ex.

キムネツツカッコウムシ
Teneroides maculicollis Lewis, 1892
1ex.

ツツオニケシキスイ
Librodor subcylindricus Reitter, 1884
1ex.

セコブナガキマワリ
Strongylium gibbosipenne Nakane, 1963
1ex.

マルツノゼミ

1ex.


アカスジキンカメムシ
Poecilocoris lewisi Distant, 1883
1ex.

メスグロヒョウモン
Damora sagana liane (Fruhstorfer, 1907)
1ex.


ミヤマカラスシジミ
Fixsenia mera (Janson, 1877)

クワゴモドキシャチホコ
Gonoclostera timoniorum (Bremer, 1861)
1ex.



薫さんからの頂き物。

クロシデムシ
Nicrophorus concolor Kraatz, 1877
1ex.
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