野焼き後採集最速ルート


今年の某所でのヨシ焼きは3/16に行われました。
タイミング的に野焼き後採集はできないかと思っていたのですが……このタイミングに合わせて帰省することができたので今年も野焼き後採集に行くことにしました。

今年の目標は……

まだ見ぬゴミムシを求めてひたすら枯れ草を起こす。
あえて種名を挙げるなら、オオトックリゴミムシだろうか……(まだ採れてない)

セアカオサムシ? アリスアトキリ? 
時期が悪いから、もう野焼き直後の採集で狙うのを諦めてしまっている。

この期に及んでまだ上の2種狙いの石起こしをやろうなんていう発想になるわけもなく丸一日使ってがっつり枯れ草を起こしまくろうじゃないか、というのが当初の考えでした。

が、ここで当然の疑問が生じました。


(枯れ草起こすだけなら)別に野焼き後に行く必要なくね?

わざわざこのタイミングで行く理由がないよなあ……
枯れ草起こし以外にやりたい事って何かあっただろうか。

そういえばひとつだけあった……


普通に野焼きを見に行きたい。
わりと前から思っていた事でした。
しかし野焼きの当日は現地が立ち入り禁止になるため、採集を行うことができません。なので野焼きを見ることと採集を行うことを同日にというのは不可能なこと……いやまてよ。

こんな感じでやればいいのでは、と私が考えたプランは以下の通りです。

・3/16、まずは普通に野焼きを見に行く。
・満足したら場所を変えて、近くの河川敷とかで採集して時間をつぶす。
・立ち入り禁止が解除されたら某所に戻り、夜間ルッキングを行いながら目的のポイントへ。
・翌朝から日が暮れるまで枯れ草を起こす。

これなら枯れ草起こしのための時間が目一杯確保できる!

野焼きが行われた当日の夜であれば、地表面の温度は普段より少なからず上がっていそうだし、活動中(あるいは越冬場所を失って移動中)のオサゴミが見られたりするのではないだろうか……
去年初めてTwitterに歩行個体の採集報告があがった日やその夜の気温とかを考えても、この時期でもセアカオサムシが動き始めている可能性だって普通にある。

なんの確信もないけど、やってみよう。
これでセアカオサムシとか採れたら最高に面白いじゃん……ワクワクするじゃん……(笑)



2019.03.16

始発とかで行くほど頑張らなくてもいいかな、と昼頃に現地に着くように家を出た。
そして現地の最寄り駅に着いて初めて気づく。雨が降っている(汗)

野焼き中は煙が雨雲レーダーに反応するというけど、ガチの雨雲があるとは思わなかった……
雨合羽や折りたたみ傘はそもそも持ってきていなかった(長野に全部置いてきた)
雨に打たれるまま歩き、野焼きを見に行ってみると……




「ほとんど終わってんじゃねえか……」

遠くの方で炎が上がる瞬間が少し見えた程度でした。
しかもこれ見に来る場所も良くなかったよね。ここからだと間近で炎が上がる様子が全然見れなさそうだ……
雨が降ったおかげで地表面の温度も下がるだろうし、夜間ルッキングもほぼダメだろう(笑)

「え、これもう今日来た意味無くね?」

いろいろとガバガバなスケジューリングのせいで計画が早くも崩壊しそう。
このまま帰ってしまいたくなったけど、ここで引き下がったら明日もう一度ここに来る気にはなれない気がしたので、グッと堪えて移動を決意。

電車で数駅移動して、あらかじめ良さげな場所を調べておいた近くの河川敷へ。




適当に林に入って材割りでもしようかと思ってたけど、視界の隅にペットボトル群が見えたので体はそのまま吸い寄せられていった(笑)




思った通り、そこにはすさまじい量の枯れ草とゴミがたまっていました。
場所によっては、たまった枯れ草があまりにも分厚くなりすぎて軽く起こした程度では地面が出てこないほどでした。
カブトムシの幼虫が出てきたほどである(笑)




枯れ草の中に埋もれた朽木をなんとなく起こしていると、ゴミムシが1頭出てきました。

ああメダカチビカワ……え、なんでこんなところに?

あれ…これまさか……?





コハンミョウモドキ
Elaphrus (Elaphroterus) punctatus Motschulsky, 1844

「おまえ何やってんだよ!?!?」

去年も枯れ草の下から越冬個体と思われるコハンミョウモドキを採りましたが、今回は普通に活動中の個体がたまたま朽木の下に居た感じでした……どうしてこんなところに(汗)
洪水で流されてきて、そのままゴミとともに越冬したのでしょうか。

まさか2年連続でこんなミラクルに恵まれるとは思いませんでした。そろそろ普通の出会い方をしたいものです。


近くでしばらく枯れ草を起こしてみましたが、どうも地面の感じが良くなくて、そもそもゴミムシが全然出てきませんでした。
材を起こしたり割ったりする方がゴミムシが採れそうな感じがしたので、そっちの方向に転換。



チビアオゴミムシ
Chlaenius (Eochlaenius) suvorovi (Semenov, 1912)

多数のアオゴミムシに混じって、時々チビアオゴミムシが出てきました。
埼玉の河川敷にもいるゴミムシですが、最近はあの辺りでの材割りをあんまりやらなくなったので、もう2年以上見ていません。ほぼ野焼き後採集でしか出会えない虫になってしまいました。
(ここ某所じゃないけど……)




ヒメマイマイカブリ
Carabus (Damaster) blaptoides oxuroides (Schaum, 1862)

大きな朽木の下からはマイマイカブリも。
写真で見るとそうでもなく見えてしまいますが……やっぱりこの辺りのマイマイカブリは綺麗だな、と思いつつ採集しました。
埼玉や長野の近場で採れるヒメマイマイカブリとは比べ物になりません。


そしてここでちょっとうれしい出会いが。





オオクロナガゴミムシ
Pterostichus (Eosteropus) japonicus (Motschulsky, 1860)

よく似た名前のクロオオナガゴミムシが土中や石の下などで越冬するのに対して、こちらは朽木中で越冬する事が知られている大型のナガゴミムシです。
初めて某所に採集行った時(→採集記)に何頭か採集できたのですが、それ以来どこへ行ってもなぜか全く出会うことができず。実に5年ぶりの再会を果たしました(笑)

次に出会えるのは何年後だろう……(笑)


途中、結構強めの雨が降ってきたりもしましたが、上下ヤッケ+長靴という状態でその辺の防御は完璧。気にせず採集を続けていました。
いつしか雨は上がり、気がつけば日が暮れていました。




夕日を見送ったらここでの採集を切り上げて、駅に向かって歩きます。
来たときに降りた駅にそのまま向かえばよかったのに、なぜか遠い方の駅に向かってしまいました。
最近、採集用に作業靴を買って長靴を履かない時はそれを履くようにしたのですが、サイズが全然合ってなくて指先が擦れて歩くたびに痛みが走る、ほんとにキツかった(汗)

少しずつ痛まない歩き方のコツをつかみ始め、なんとか駅にたどり着く。
そこから電車で某所の最寄り駅まで戻ってきた頃には野焼きは終了しており、立ち入り禁止も解除されていました。


さて……ここからどうしようか。
昼間の雨に加えて夕方にも一雨あったので、地面は湿っており、ルッキングやるにはもはや絶望的にすら思えました(汗)
時刻は19時を回った頃。気温は確か9℃前後くらいで体感的には「ゴミムシは全然動きそう」な感じでした。
去年一年間の夜回りで、ゴミムシが活動できる気温の感覚を少しはつかめている気がする。この気温ならゴモクとかマルガタくらいは出てこれるんじゃないだろうか。

しかしこれから時間がたって気温が下がったらそれこそやる事がなくなってしまう……と思ったときに思い出した。



石起こしやればいいんじゃん

他のことに気を取られすぎて完全に忘れていた……
ヘッドライトのみで見つけられる石には限界があるけど、このタイミングならば普段は起こされてしまっているような分かりやすい位置にある石を起こしてゴミムシを採ることができるかもしれない。

思えば今までの野焼き後採集は早くても野焼きから2日後とかになってしまってて、石は一度起こされてしまったものばかりなんてことが普通だった。これは絶好のチャンスなのでは!?
さすがに前日から現地入りして徹夜で石起こしなんかやるやついるわけが……自分がゴミムシ屋だったら毎年そうしたかもしれない(汗)

同業者に会ったら間違いなくガチのゴミムシ屋さんだな……(汗)
もはや申し訳なくなる。




とりあえずそんな感じで、おおよそこの後の予定が固まってきたところでまずはルッキングを開始。
セアカオサムシがいるなら絶対この辺りだろうな、と思った草丈の低い草地をルッキングしていく。





ツヤアオゴモクムシ
Harpalus (Harpalus) chalcentus Bates, 1873

開始数分でツヤアオゴモクムシを見つけました。
春先、早い時期から見られるゴモクムシの一つです。さすがに歩き回れるような気温ではないのか、この個体は草の中でじっとしていました。




キクビアオアトキリゴミムシ
Lachnolebia cribricollis (Morawitz, 1862)

草地に光るものが見えたので近寄ってみると、キクビアオアトキリゴミムシでした。
交尾中のペアの他に、すぐそばでもう一頭見つかりました。
これも去年の夜回りでかなり早い時期から見られたゴミムシの一つ。
地表近くで越冬するアトキリゴミムシの仲間はみんな活動開始時期が早い、とかそういうことはさすがにないよな……?




結局、草地のルッキングでこれ以外のゴミムシやセアカオサムシなんてものがが見つかることはなく、ここからはヨシ焼きが行われたエリアに入っていきました。
石起こしをやるつもりで場所を選んだわけではなかったのですが、この辺りはたまたま今まで石起こしで訪れたことのないエリアでした。
だから今年は○○というのが全然分からない……

石があるかどうか不安でしたが……結構あった。




そしてもちろん……まだ手がつけられていない。
どんなに分かりやすい位置にある大きな石であっても、起こされた痕跡がない。謎の感動……

石を起こしたら、基本はそのまま戻す。
この時、接地面積が一番大きな面を下にして戻せば、翌年以降の採集成果の向上が望めるかも。
(毎年微妙に違う場所でやるから確かめられてないけど)

地面の状況次第では、一発踏んでめり込ませるくらいの方がいいかも。
ほとんど地面に埋まってしまっている石や、下が完全に水につかってしまってる石は移動させてほどよく地面にめり込ませておくのもいいかも。


起こした石は戻しましょう。

というのは採集者のモラルとか石の下の生き物への配慮的な意味で言われることが多いですが、採集者にそんな気持ちが持てると思っていないので……フツーに採集者のため、来年の自分のためと思ってやってやればいいんじゃないかと思います。
それが結果的に生き物のためになるんじゃないですかね。そう思ってなくても。




最初のあたりはとにかくアオゴミムシとオオホソクビゴミムシが多くて、大きな石の下や礫が積み重なってできた隙間からはちょっと気持ち悪いくらい大量に出てきました。


ひときわ大きなコンクリの塊みたいなやつを起こしてみると、4つの黄色い紋が目に入りました。




オオヨツボシゴミムシ
Dischissus mirandus Bates, 1873

「うわぁうれしいなあ……」

開始から2時間ほど。
この虫に関しては、私にとってはその年多いとか少ないとか関係なく「1頭でも出会えたら喜んでよし」な虫です。
もう何年も野焼き後採集やってるのに、石起こしで出たのは初採集の時(→採集記)以来……人生2回目というレベル(笑)

野焼き後採集における満足度の最低ラインはぶっちゃけこれで満たされてしまう。それくらい大きな存在でした。
考えてみればこの野焼き後採集で目新しいゴミムシが採れることへの期待ってあまり無くなってしまってるんだよな……
コハンミョウモドキも何か採れてしまってるし、本当にこのあと何も採れなくても満足して帰れるのではないかと思ってしまった。

ここからはのんびり撮影の練習でもしながら夜を明かそう。
お散歩採集の時と同じ、「ゆとりのある採集」感が出てきたな。
やっぱり「ガチ昆虫採集!!」ウォアアアアァァってやるより(?)こっちの方が良い。もう今の私にあんな元気はありません……歳をとってしまいました(21)




ヨツボシツヤナガゴミムシ
Abacetus tanakai Straneo, 1961

石下からヨツボシツヤナガゴミムシが出たのは初めてでした。
去年は枯れ草下から何頭か採集して、全部酢酸エチルで〆たらかなりひどい色になってしまったので今回はちゃんと亜硫酸てま処理しました。
場所は限られましたが1個の石から数頭出る、ということが何度かありました。




ムネアカマメゴモクムシ
Stenolophus (Stenolophus) propinquus Morawitz, 1862

こちらも石下から出てきたのは初めてかも? ムネアカマメゴモクムシです。
何頭か見かけた中でこの個体は上翅のオレンジ色の部分がかなり広い個体で、ここまでのものは初めてみました。
ちゃんと亜硫酸使ったのに変色してしまいショックでした……

ヨツボシツヤナガとかムネアカマメみたいな水分の多い湿地で見られるようなゴミムシが石下から出るってことは湿地までしっかりヨシ焼きの炎が回ったって考えることもできるような。湿地まで焼けたからこそ石下に逃れてきていると考えることができる。
少なくとも去年よりは良く焼けてるみたいだし。
石の下にいるゴミムシが炎から逃れて潜り込んだのか、元からいたのかは見ても分からないんですけどね……





熱にやられて死んだと思われるアカガネオサムシも目撃したし、ヨシ焼きの影響で越冬場所を求めて移動するオサムシやゴミムシが少なからずいるのは間違いないとは思います。
石起こしでの採集成果の変化はヨシ焼きとか前の年の洪水とかを反映しているのでしょうか……

枯れ草起こしでの手応えからすると、今年は洪水があんまり強くなくて乾燥地や草地のゴミムシが良く採れる年になっていそうだなと思いましたが、さて今回の結果はどうだったでしょうか……




石を起こすだけではなくて、こういうちょっとした崖や斜面を調べることも忘れてはなりません。
通常であればアシが生い茂っていて簡単には掘ることのできない根元を掘ることができる、これは野焼き後採集の大きなメリットの一つです。アシの根元や周辺の土中で越冬しているゴミムシも少なくありません。
私にとってもアトスジチビゴミムシの例(→採集記)があるので、怪しいと思った所は積極的に掘っていくようにしています。


まあ、この時はふと思い出したから掘って写真撮っただけで、まさかゴミムシが出るとは思っていなかったのですが……

こういうのがあるから、この場所は……




適当に掘って出てきたのは、何てことのないゴモクムシのように見えました。
しかし何かがおかしい。妙にツヤツヤのハネ、虹色の光沢。

唯一可能性がありそうだったのはニセクロゴモクムシでしたが、前胸背後角が角ばっていないのを確認して初めて見るゴミムシだと確信しました。
心当たりはあった……

頭部に赤斑、あるんだっけ? ないんだっけ?




タナカツヤハネゴミムシ
Harpalomimetes orbicollis N. Ito, 1995


「違うよね? 騙されないからな……」

結局、何てことのないゴモクムシに化けるとしか思えなかった(汗)
予想と違った時のショックが大きそうなので、この時点ではあまり期待はしないで先に進むことにしました。
結果、予想は当たっていたのでした……

こんな訳の分からない採り方をしてしまうと、越冬環境をつかむことも出来なければ追加のしようもないな……




左: フタモンクビナガゴミムシ
Archicolliuris bimaculata nipponica Habu, 1963

右: チビアオゴミムシ
Chlaenius (Eochlaenius) suvorovi (Semenov, 1912)

掘りで出てくるゴミムシの中で圧倒的に多いのはアオヘリホソゴミムシ、その次がフタモンクビナガゴミムシ。
その次はチビアオゴミムシが意外と多いです。
アオヘリホソゴミムシは本当にどこ掘っても出てくるレベルで多いです……

さらに石起こしは続く。




チビカタキバゴミムシ
Badister nakayamai Morita, 1992

当地では初採集になるチビカタキバゴミムシが出ました。
2016年辺りの野焼き後採集でも一度出会っていて、ロストしたような記憶があります(汗)
今回も1回ロストしましたが、結果的に2頭採集できました。




キバネアシブトマキバサシガメ
Prostemma kiborti (Jakovlev, 1889)

過去にこの場所で採ったことがあるようなないような。
今回は石起こしで2度ほど見かけました。





チョウセンゴモクムシ
Harpalus (Harpalus) crates Bates, 1883

チョウセンゴモクムシが石の下から出る時は2パターンあって、
・そのまま石の下に潜っている時
・石の下にさらに穴を掘って、頭を上にして入っている時
後者は他の地域の採集でも確認していて間違いなく越冬だなと分かるのですが、前者はヨシ焼きから逃げてきた個体の可能性もある……
普通に活動開始後の個体の可能性もありますが(汗)




クロモンヒラナガゴミムシ
Hexagonia insignis (Bates, 1883)

クロモンヒラナガはここ数年の中だと確かに少なかったような気がします。
前に採ったことのある場所の近くでも全然見かけなくて、全体で2,3頭しか見た覚えがありません。





粘土質でいい感じの崖がありました。
掘ってみるとやはりアオヘリホソゴミムシがボロボロ出てくるのですが、それに混ざって一頭。




形やサイズ感に見覚えのないゴミムシが出てきました。
よーく見て、それが今日の本命であることに気がついた……

「これだ!! 間違いない!!」




オオトックリゴミムシ
Oodes vicarius Bates, 1873


今まで何度も見てきたニセトックリゴミムシとは、大きさも幅も全然違う……紛れもなくオオトックリゴミムシでした。
すごい少ないというわけではないと思うのですが、縁がなくて今まで出会えていないゴミムシの一つでした。
まさかこんな形で採れてくれるとは。やっぱり掘りやっといて良かった……




アオゴミムシ
Chlaenius (Chlaenius) pallipes (Gebler, 1823)

こちらは何の変哲もないただのアオゴミムシですが……現在23時35分。気温は5℃もなかったと思いますが野外を歩いてました……
近くを掘ってないところを歩いていたので、掘り出したあとの個体ではないはず。
よく見ると近くに他の個体やチビアオゴミムシもいて、どれもゆっっくりと歩いていました。




崖を見ると、表面に空いた穴の奥にぎっしりとアオゴミムシが詰まっていました。
おそらくここから出てきた個体だと思われます。
野焼きのせいで穴を覆っていた枯れ草や土が失われて、穴が露出してしまったのでしょう。だから新たな越冬場所を求めて一部の個体が歩き出していたのかも……

……がんばれ。




左: チャバネクビナガゴミムシ
Odacantha (Heliocasnonia) aegrota (Bates, 1883)

右: ミズギワアトキリゴミムシ
Demetrias marginicollis Bates, 1883

どちらも、石起こしで出会うことはそんなに多くない気がするゴミムシ。
この2種はもう少ししてから、4月下旬のアシが数10センチくらいまで成長した時期にアシ原を訪れた時、葉の周囲や地面を昼間に歩き回る個体を多数見つけたことがあります。ミズギワアトキリなんかは夏場にアシのスウィーピングとかすると結構入ってきますよね。



2019.03.17


TG-4のライブコンポジットで夜の空を撮ってみる。下手くそなのでめっちゃブレる。
この後、調子に乗ってライブコンポジットを乱用していたらバッテリーの目盛りが残り1になってしまいました(汗)
おかしい。ちゃんとフルまで充電してきたはず……まだ本題にすら入っていないというのに。
確かにいつもよりは写真撮ってる気がするけど、1日で電池メモリ1まで減ったのは初めてのことでした。
持ちこたえてくれ……頼む。

体の方も疲れてきたのか、耳が熱くなってきました。
経験上、耳が熱くなった時が夜間ルッキングに疲れたサイン。持ってきていたカフェオレを飲んで糖分とカフェインを補給します。
ここでしっかり補給してある程度耐えると、眠気に襲われることはなくなります。

この辺りから時々霧が出て視界が悪くなることがありました。




「あれ……?」

普通に石起こしをしていた時、ついさっき見たような虹色光沢が目に入った(汗)
現地では写真に写すことができなかったけど、ヘッドライトの光を強く反射して虹色に輝くのでかなり分かりやすいです。
コガシラナガゴミムシとかも虹色光沢あるけど、この虫はそれらよりずっと大きいから……




タナカツヤハネゴミムシ
Harpalomimetes orbicollis N. Ito, 1995

何だこれ……当たり年か!?
この時点で同定に確信は得られないながらも、それ以外の可能性はないだろうと思っていた。




タナカツヤハネゴミムシは、そのどう見ても普通のゴモクムシな見た目に反して実はゴミムシ族(ただのゴミムシとか、ホシボシゴミムシとかの方)に属しているゴミムシの仲間で、生息地域は関東より西側の暖地性種。当地が分布北限のようです。
湿地のゴミムシで、西日本では時に多数見られることもあるようですが基本的に少ない虫で、東日本の個体は稀……だそうです。

しかし、これだけ採集者が入ってる場所なんだから……誰かが採集していてまともに同定もされないままタトウの中に封印されているに違いないと思っています。普通のゴモクムシとして見逃されている可能性も極めて高い。

・触角と脚は黄褐色、それ以外は艶のある黒色
・11-12mm
・頭部の赤斑はない
・背面全体がツヤツヤで虹色光沢を持つ
・前胸背後角は丸い

こんな特徴が当てはまる虫がタナカツヤハネゴミムシです。
ちゃんと覚えてあげてください……決して見落とすことのないように。




スキバジンガサハムシ
Aspidimorpha transparipennis (Motschulsky, 1860)

石の下から金色に輝くスキバジンガサハムシが出てきました。
カメノコハムシの仲間は樹皮めくりでもたまーに見かける虫ですが、普通は落ち葉の裏とかで越冬するらしく、越冬中の個体を狙って見つけるのは結構難しそう。
記憶が正しければ初採集です。




ヒメセボシヒラタゴミムシ
Agonum (Agonum) suavissimus (Bates, 1883)

何回か出てきましたが今回はスルーしたヒメセボシヒラタゴミムシ。
この虫も水気の多い湿地のゴミムシってイメージです。




珍しく石の下から出たキベリアオゴミムシ。
タナカツヤハネゴミムシのせいで感覚がバグってしまってアレかと思った……マジで心臓に悪い……





時刻は1時28分。視界が妙にキラキラしていることに気がつく。
周囲の焦げたアシがみんな凍って輝いている。
時々出てた霧の水分が凍ったのか……幻想的だけど、クソ寒い(笑)

気温は3℃とかそのくらいだったでしょうか。動かしてないと手がかじかんでキツかった。
最低気温が-1℃とかになるという予報だったので、貼るタイプのカイロを持ってきてました。これがめっちゃありがたかった……




キンナガゴミムシ
Poecilus (Poecilus) versicolor (Sturm, 1824)

この虫が出るのはきまって、地面にしっかりとめり込んでいるというか、やや埋まっている石である気がします。
草原環境にわりと多いゴミムシなので、この虫はセアカオサムシと同じ場所で得られることも多い。
はずなんだけど、長野の夜回りでこの虫見たことないな……オオキンナガはいたんだけど(汗)

それから30分後のことでした。
時刻は2時を回りました。さすがにちょっと心細くなってきて、片耳イヤホンで音楽を聴きながら採集を続けていました。





「!?」

起こした石の端のあたりに……赤く輝くものが見えました。
大抵はスジコガネのエリトラとかなのですが、この時の赤はそれよりもっと鮮やかで……





セアカオサムシ
Carabus (Hemicarabus) tuberculosus Dejean, 1829


「セアカ……!!」

セアカオサムシ。
何度かこの地を訪れて狙った。超当たり年、行けば誰でも採れるとまで言われたある年は徹夜もした。それでも採れなかったセアカオサムシだ……
出た環境はちょっと思ってたのと違う感じだったけど、思えばキンナガゴミムシが出た直後だったし、確かによく見たらここはアシ原ではなさそうだ……

去年、長野の近場でようやく出会うことができて感動した虫ですが、ここでの初遭遇はそれとはまた違った感動がありました。
長野で出会ったセアカオサムシと比べても明らかに綺麗な個体で、そういう意味でもとてもうれしい1頭でした。

すごく胸が熱くなった。ちょっと心細くなってきてたけど、このまま夜明けまで頑張れそうだ……!




カジムラヒメナガゴミムシ
Pterostichus (Eurythoracana) kajimurai Habu & Tanaka, 1957

その後しばらく石起こしを続けいると、カジムラヒメナガゴミムシが出ました。
1頭出ると周囲から必ず追加個体が得られる。そういう虫なので今回も周囲で複数個体確認しましたが、1頭採集してあとはスルーしました。




時刻は2時50分。月が赤い。
野焼き中は煙の影響で太陽が赤く見えたりするらしいですが、これもそれと関係……無かった(笑)
月はいつでも沈む前は赤く見えるんだそうで。知らなかった……

この日の夜は月明かりがかなり明るくて、精神的に助かっていたのですが月が沈んだ後は急に暗くなるし、気温は下がるし、霧は出るしで……結構ヤバかったと思う(汗)
採集に夢中になってる限りは忘れていられるけど、本来こういうのはすごい苦手だったはずなんだけどな(汗)

もし今、何か襲いかかってきたら……多分逃げることも声を上げることもできずにその場に崩れ落ちてしまうと思う。
ここでの徹夜採集ができているのは、遠くを見渡すと街の灯りが見えたり車の音が聞こえたりするのが大きくて、もしそれがなくてここが山奥だったら……

……考えるのやめよう。


3時を回る。なんだかんだで何度か来たことのある場所まで来た。




大きなコンクリを起こすと、ヒメマイマイカブリが何頭かまとまって出てきました。
そういえばこの日の石起こしでは初めて出てきた。
綺麗な個体や大きい個体だけ摘んでいく。




時刻3時25分。

もう出る虫はひととおり出たんじゃないだろうか。石起こしの単純作業感が強くなっていく。
じわじわと疲れを感じ始める中、見えるはずのないものが見えた。




「え……?」

完全に不意を突かれて、手に持っていたパイプハンマーを落としてしまった。

いや、そんなはずは……

だいぶヤバいかもしれない。
目をこすって、もう一度近くでよく見てみる。




アリスアトキリゴミムシ
Lachnoderma asperum Bates, 1883


「アリスうううぅぅぅぅ…………!!!!!」

喜びなのか、安堵なのか、よく分からない声が出た……
アリスアトキリゴミムシは初夏に繁殖期を迎えるそうで、その時期はアリの巣の外(石の下しかり)で見つかりやすくなるそうなのですが……野焼きの直後に採るのはそう簡単ではないようで今まで出会えずにいました。ぶっちゃけ諦めていたところがあった。
後々、今年はわりと採れる方の年であるということが分かってくるわけですが……

一時、野焼き後採集の目標として、

オオヨツボシゴミムシ
ワタラセハンミョウモドキ
アリスアトキリゴミムシ

なんて言っていた時期がありましたが……これでやっと3種そろいました。
ハンミョウモドキに若干納得いってないところあるけど、それはまたいずれリベンジするとして……これで当地での野焼き採集目標は全て達成された。

ホソツツタマムシとか、オビヒメコメツキモドキとか、オオルリハムシとか気になる虫はいくつか残っているものの、どれも野焼き後採集であえて狙うようなものではないでしょう……

まだ本題の枯れ草起こしもやっていないというのになんだこの充実感は……
これは枯れ草起こし爆死しても笑って許せるな(笑)
今回に関しては石起こしやって本当に良かった。

夜明けまであと少し。石起こしもラストスパートです。




アカバクビブトハネカクシ
Pinophilus rufipennis Sharp, 1874

ルリヒラタゴミムシ
Dicranoncus femoralis Chaudoir, 1850

石起こしで最後に採集したのはこの2種でした。
ルリヒラタゴミムシは野焼き後採集ではたまに見かける程度で、去年までは出会えたら普通にうれしいゴミムシだったのですが……南信に移ってからはスウィーピングで頻繁に見かけるようになり自分の中での価値が暴落してしまいました(汗)
イマイチ好む環境がよく分からない。

明るくなり始める前に切り上げて、去年お世話になったゴミだまりのポイントへ。




少し休憩して……ってリュック凍ってんじゃねーか(笑)
長野で少しは寒さへの耐性もついただろうか……どうにか一晩超えられた。正直もう当分やりたくない!

(結局この夜、同業者に会うことはなかった……)




もうすぐ日が昇る。
朝飯を済ませたら休憩を兼ねて、しばらくボーッと空を眺めていた……



しょうもないよなあ……

しょうもないプライド。しょうもない感情。
それらに振り回されて生きる自分はなんてしょうもないのだろうか。
何の感情も持っていなければ、もっと楽に生きられただろうか……

感情がないなら「楽」もクソもねーだろ馬鹿か、と心の中でツッコミを入れて立ち上がる。
すっかり明るくなった。日は登ってきてないけど止まってると手がかじかんで寒いからもう採集始めよう。





「あっダメだこれ」

去年コハンミョウモドキやワタラセミズギワアリモドキが採れた場所でしたが……すっかり景色が変わってしまった。
たまっているゴミは去年に比較して圧倒的に少なく、地表面が乾燥していてめくってもまともにゴミムシが出てくれませんでした……正直こうなるような予感はしていた。

念のため他のゴミだまりポイントも見ていく。




ここでようやく野焼き後の当地の写真が撮れる(笑)
確かによく焼けている感じですね。去年は道路使わない移動に本当に苦労させられたもんな……





オオヨツボシゴミムシ
Dischissus mirandus Bates, 1873

移動中にゴミの下からオオヨツボシゴミムシ。これで2頭目です。
やっぱり明るい時間に写真撮った方が綺麗だな……夜だとどうしても不自然な感じになってしまう。




アカガネオサムシ
Carabus granulatus telluris Bates, 1882

材割りや石起こしの過程でアカガネオサムシの生体にも何度か会えました。
格好良すぎるよな……長野では中信の河川敷でごくわずかながら採れましたが、南信の河川敷ではさすがに出会うことはできません(汗)




去年クビナガヨツボシとかいろいろ採れたポイント……ここもダメだ(泣)
新たなゴミだまりを探すしかなさそうです。





移動中に焦げた朽木の下からオオヨツボシゴミムシを追加していく。
最終的に8頭になりました。私的にはもう持って帰るかちょっと悩む量です(汗)
なかなか縁のない虫なので、今回は出ただけ持って帰って次があれば次からはもうちょっと吟味していこう、と思う……





前回見落としていたゴミだまりを見つけました。
ちょうど水辺の近くで、積もっている枯れ草は少ないものの下の地面は場所により充分に湿っています。
ヒメホソナガやアオヘリホソゴミムシも少ないながら出てきてくれたので、ここでしばらく粘ることに。




去年のような勢いはなく、なかなか厳しい時間が続きましたが……




トネガワナガゴミムシ
Pterostichus (Badistrinus) bandotaro Tanaka, 1958

どうにかトネガワナガゴミムシを出すことができました。
写真は頑張ったのですがこのくらいで妥協して、つまんでチャック袋に入れようとしたらいつの間にか指の間から消えている。
すぐ下の枯れ草をかき分けると出てきてくれました……良かってこれコホソナガじゃねーか!

もしかして最初から間違えてたかなと思い撮った写真を見返すも、写真の個体はやっぱりトネガワナガっぽい。大きさ的にもあれで間違いなかったと思う。ついにやらかしたな……

その後も30分くらい探しましたが再び現れることはありませんでした。
ここではカジムラヒメナガとかが出る事もなかった。


このあともゴミだまりを探しながら移動を続けましたが……特に何も見つからず普通に帰宅する流れになっていたのでした。



201903232233208bd.jpeg
そんな感じで今年の野焼き後採集は終了となったのでした。
カメラのバッテリーは最後までギリギリ持ってくれました。良かった……

野焼きはまともに見れないし、雨は降るし、枯れ草起こしはできなかったし……予定は狂いっぱなしだったけど、結果を見ればセアカオサムシやアリスアトキリ、オオトックリなど前々からの目標種だったり、タナカツヤハネゴミムシという当地の可能性を感じさせてくれる新たなゴミムシにも出会えて、本当に去年以上に充実した採集になったなあと思いました。

来年以降は野焼き後に狙う虫も思いつかないし、野焼き後採集は特別な理由がなければわざわざ来る必要もないのかな……
そう思うと少し寂しい気持ちもあるけど、この場所での経験はいろいろな場所やいろいろな採集で活きていくはず……
タマムシがあくまで一番なのは譲らないけど、ゴミムシ採集も引き続き頑張っていきたいです!

来年気が変わって普通に野焼き後採集行ってるかもしれないけど、その場合でも徹夜はもうしない。

徹夜だけは絶対にしない(笑)


【結果】 ※色付きは自己初採集

ヒメマイマイカブリ
Carabus (Damaster) blaptoides oxuroides (Schaum, 1862)
4exs.

セアカオサムシ
Carabus (Hemicarabus) tuberculosus Dejean, 1829
1ex.

アカガネオサムシ
Carabus granulatus telluris Bates, 1882
1ex.

コハンミョウモドキ
Elaphrus (Elaphroterus) punctatus Motschulsky, 1844
1ex.

ヨツボシツヤナガゴミムシ
Abacetus tanakai Straneo, 1961
3exs.

ヒロムネナガゴミムシ
Pterostichus (Argutor) dulcis (Bates, 1883)
1ex.

コホソナガゴミムシ
Pterostichus (Phonias) longinquus Bates, 1873
1ex.

カジムラヒメナガゴミムシ
Pterostichus (Eurythoracana) kajimurai Habu & Tanaka, 1957
1ex.

オオクロナガゴミムシ
Pterostichus (Eosteropus) japonicus (Motschulsky, 1860)
1ex.

ルリヒラタゴミムシ
Dicranoncus femoralis Chaudoir, 1850
1ex.

タナカツヤハネゴミムシ
Harpalomimetes orbicollis N. Ito, 1995
2exs.


ツヤアオゴモクムシ
Harpalus (Harpalus) chalcentus Bates, 1873
1ex.

チョウセンゴモクムシ
Harpalus (Harpalus) crates Bates, 1883
2exs.

ムネアカマメゴモクムシ
Stenolophus (Stenolophus) propinquus Morawitz, 1862
2exs.

キイロチビゴモクムシ
Acupalpus (Palcuapus) inornatus Bates, 1873
1ex.

スジアオゴミムシ
Chlaenius (Haplochlaenius) costiger costiger Chaudoir, 1856
1ex.

アオゴミムシ
Chlaenius (Chlaenius) pallipes (Gebler, 1823)
1ex.

キベリアオゴミムシ
Chlaenius (Chlaeniellus) circumductus Morawitz, 1862
1ex.

チビアオゴミムシ
Chlaenius (Eochlaenius) suvorovi (Semenov, 1912)
2exs.

オオトックリゴミムシ
Oodes vicarius Bates, 1873
1ex.


チビカタキバゴミムシ
Badister nakayamai Morita, 1992
2exs.

オオヨツボシゴミムシ
Dischissus mirandus Bates, 1873
8exs.

キクビアオアトキリゴミムシ
Lachnolebia cribricollis (Morawitz, 1862)
1ex.

アリスアトキリゴミムシ
Lachnoderma asperum Bates, 1883
1ex.


クロモンヒラナガゴミムシ
Hexagonia insignis (Bates, 1883)
1ex.

スキバジンガサハムシ
Aspidimorpha transparipennis (Motschulsky, 1860)
1ex.

アカバクビブトハネカクシ
Pinophilus rufipennis Sharp, 1874
1ex.


キバネアシブトマキバサシガメ
Prostemma kiborti (Jakovlev, 1889)
1ex.
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